「できるシリーズ」は、2014年に20周年を迎えました。このコーナーでは歴史を振り返ったり、関わってくださる方々を紹介したりしながら、「できるシリーズ」をより役立て、楽しんでいただくための情報を紹介していきます。

今回は「できるシリーズ」と同じく2014年に20周年を迎え、2014年8月1日〜8月31日の1カ月間、3階のコンピューター書売り場で「できるシリーズフェア」が開催されている、秋葉原の書店「書泉ブックタワー」をレポートします。

▼書泉ブックタワー
http://www.shosen.co.jp/tower/


2014年8月31日まで「書泉ブックタワー × できるシリーズ 20周年フェア」開催中!

書泉といえば、サイトに「趣味人専用」というキャッチコピーもあるように、各ジャンルのマニアックな商品を取り扱っていることで有名です。今回は、書泉ブックタワーのコンピューター書売り場リーダーの相場正継さんに、お店の20年と、オールジャンルでの店内の見どころについて、話をうかがいました。

▼フェアの紹介ページ
書泉ブックタワー×できるシリーズ20周年フェア

「書泉ブックタワー × できるシリーズ 20周年フェア」の売り場と、書泉ブックタワーの相場さん。手元の「できるもんバッヂ」は、期間中に「できるシリーズ」の書籍をご購入いただいたお客様へのプレゼント。ここでしか入手できないグッズです。

――書泉ブックタワーの開店は1994年だとのことですが、相場さんはいつからブックタワーにお勤めですか?

相場:新卒で入社して、最初にブックタワーに配属されたのが1995年でした。はじめの数年はコンピューター書を含めてさまざまな売り場を経験し、以降はずっと、コンピューター書を担当しています。

――1995年というと、Windows 95が発売になった年ですね。

相場:秋葉原では0時に販売を開始して、お祭りのような騒ぎでしたね。関連書籍もよく売れて、当時は今のようなPOS(コンピューターを使った販売管理システム)がなく、本のスリップ(販売管理のために書籍1冊ずつに挟んである小さな伝票)を毎日数えていたことを、よく覚えています。集計した表もワープロ専用機で作っていましたね。

書泉ブックタワーらしい、ちょっと意外な売れ筋

――「できるシリーズ」も、たいへんお世話になっています。

相場:今回、過去のデータから、当店でのこれまでの「できるシリーズ」の売上を集計してみました。すると、ちょっと意外に思われるタイトルが上位に入っています。

書泉ブックタワーの「できるシリーズ」歴代売上ランキング

1位できるExcel 2003 Windows XP対応(2003年)
2位できるAccess 2003 & 2003 Windows XP対応(2004年)
3位できる初音ミク&鏡音リン・レン
VOCALOID2 & Windows Vista/XP対応(2008年)

――「できる初音ミク&鏡音リン・レン」が、歴代の3位なのですね。

相場:そうなんです。当店では、初音ミクの体験版を収録した「DTMマガジン」2007年11月号(寺島情報企画)が発売になったときに、それまでの号の数倍を仕入れていたのですが、初日で完売してしまいました。そこで「できる初音ミク&鏡音リン・レン」も、力を入れて販売していましたね。

できる初音ミク&鏡音リン・レン VOCALOID2 & Windows Vista/XP対応(2008年2月発売)
ボーカル音源ソフト「VOCALOID2 初音ミク」と「VOCALOID2 鏡音リン・レン」の基本操作から、人間らしく歌わせるための歌声のチューニング方法、複数のキャラクターに合唱させる方法などを解説。

――ほかにも、書泉ブックタワーらしい売れ筋というと、どのような本がありますか?

相場:秋葉原という土地柄もあるのだと思いますが、いわゆる入門書よりも、やや難度が高めの本の売れ行きがいいです。Excelはよく売れていますが、その次はWindowsやWordよりもAccessの方が売れていたり、HTMLやSEOなどのWeb制作に関連したテーマ、「できるProシリーズ」のLinux系の本なども目立ちます。

――今回のフェアも、特徴的な品揃えにしていただきました。

相場:そうです。「できるシリーズ」というと入門書のイメージが強いと思いますが、当店ならではの品揃えで展開していますので、「こんな本も出ていたのか!」といった発見をしていただけると思います。

書泉ブックタワー自慢の売り場は「鉄道・アイドル・ラノベ」

今回の取材にあたって、いずれも特色がある書泉ブックタワーの売り場から、相場さんが選ぶ「自慢の"濃い"売り場ベスト3」を作っていただきました。

書泉ブックタワー自慢の"濃い"売り場ベスト3

1位鉄道・ミリタリー(5階)
2位アイドル写真集(9階)
3位ライトノベル・ゲーム攻略本(8階)

――鉄道とミリタリーが1フロアに集まっているのが、まずスゴいですよね。

相場:はい(笑)。「艦これ」ブームなどもあってミリタリーも盛り上がっていますが、何と言っても自慢の売り場は、鉄道です。

子ども向けのおもちゃやローカル線グッズのほか、鉄道各社で実際に使われている案内板など、鉄道グッズショップ並みの品揃えとなっています。中でも人気なのが「JR貨物時刻表」ですね。

プラモデルなどの鉄道グッズだけでなく、全国のローカル線が販売している食料品も鉄道売り場で販売しています。

――貨物列車の時刻表ですか!?

相場:貨物列車の写真を撮る方々が、撮影の計画を立てるために使うんですね。扱っている書店も少なく(*1)、非常にめずらしい商品です。

めずらしい「JR貨物時刻表」が、ワゴンに積まれて販売中。

――2位のアイドル写真集の売り場では、連動したイベントも盛んだそうですね。

相場:9階のフロアは、半分がアイドル写真集の売り場、あと半分がイベントスペースになっていて、イベントと写真集の販売を行ったりします。有名アイドルのイベントがあるときは、大変な盛況になりますね。

アイドル写真集売り場には、ここでしか手に入らないサイン本のコーナーもあります。

――なるほど。イベントのスケジュールを調べるには、どうするのがいいですか?

相場:店頭の掲示板や、書泉公式ホームページでイベントスケジュールを公開しているほか、Twitterやメールマガジンでも情報を提供しています。

書泉公式ホームページ:イベント情報(書泉全店)
http://www.shosen.co.jp/event/

書泉メールマガジン&ツイッター
http://www.shosen.co.jp/genre/entry_2064

Twitter:書泉ブックタワー(@shosen_bt)
http://twitter.com/shosen_bt

――3位のライトノベルは、最近の秋葉原にはライバルも増えていると思いますが、20年の歴史の強みでしょうか。

相場:ありがたいことに、昔から当店はライトノベルに強いと評価をいただいています。同じフロアにはTRPG(*2)なども扱っています。

――懐かしい! 黎明期のライトノベル(諸説ありますが)レーベル「角川スニーカー文庫」や「富士見ファンタジア文庫」と親和性の高いテーマですね。

相場:国内外のTRPGのルールブックがそろっており、ボードゲームやTRPGのイベントを開催することもあります。ぜひ、こちらもチェックしていただきたいと思います。

所狭しとポスターやパネルが置かれ、賑やかなライトノベル売り場。

――ありがとうございました。

コンピューター書は旧バージョンのソフトに対応した解説書も豊富

「できるシリーズ」などの解説書は、ソフトのバージョン順に過去の製品のものも豊富に取りそろえていて、「よそでは見つからなかった解説書も見つけていただけます」という点が自慢のことです。

コンピューター書と同じ3階のフロアには、語学学習や資格試験の参考書のコーナーがあります。IT系の資格試験が強いほか、海外のコミックスも扱っているためか、外国人のお客さんが語学のテキストを見に来ることも、近年では多くなったそうです。



※注1:「JR貨物時刻表」を発売している公益社団法人鉄道貨物協会のサイトによると、東京都内で貨物時刻表を販売している書店は書泉ブックタワー、書泉グランデ(神保町)を含む6店舗。新橋の「運輸情報センター」でも発売しているとのこと。

※注2:「テーブルトークRPG(ロール・プレイング・ゲーム)」の略。ルールブックによってゲームのルールを共有し、コンピューターを使わずに遊ぶのが特徴。シナリオを作ってゲームを運営する、コンピューターRPGでいうコンピューターの役割となる「ゲームマスター」と、キャラクターを演じるプレイヤーの会話によりゲームが進行する。