ブロガーから広まった2つの人気ソフト

 2008年、ブロガーなどネットのヘビーユーザーに人気だったソフトウェアに「Dropbox」と「Evernote」があります。

 いずれもアメリカのベンチャー企業が提供しており、Webサービスとソフトウェアの組み合わせで成り立っています。英語のみのサービスですが、無料の会員登録を行い、専用のクライアントソフトをインストールするだけで利用できます。

 Webサービスとソフトウェアを組み合わせて利用するスタイルは、マイクロソフトが提唱する「ソフトウェア+サービス」と同じです。

同期機能に優れたストレージ「Dropbox」

 Dropboxは、オンラインでファイルを同期・共有するサービスです。無料アカウントでは2GB、有料では50GBの容量が利用できます。ソフトウェアはWindows、Mac、Linuxに対応し、iPhone向けにはWebの専用インターフェースが提供されています。

 特長は「同期の速さ」と「手軽さ」。一般的なオンラインストレージにファイルをバックアップしたい場合、バックアップ元からバックアップ先へ自分でファイルをコピーしなくてはなりません。しかしDropboxの場合は、インターネットにつながってさえいれば、特定のフォルダにファイルを置いた途端、自動的に同期が実行されます。

 また、ファイルの更新履歴が記録されているので、間違った内容で上書きしたり、誤って削除したりしても、簡単に復旧できます。

▼Dropbox
http://www.getdropbox.com/

テキストや写真を同期・編集できる「Evernote」

 Evernoteは「Remember Everything.(すべてを記憶しよう)」というキャッチコピーで表されているように、自分が接したあらゆる情報を記録し、必要に応じて取り出すためのツールです。

 テキストや写真、Webページ、音声など、さまざまな情報を記録し、検索できます。また英語のみですが、画像内にある文字を読み取り、テキストとして検索可能にするOCR機能も備えています。無料版では毎月40MBの容量制限がありますが、有料版では500MBに拡張され、ほかにいくつかの機能が強化されます。

 Webから利用できるほか、Windows、Mac、Windows Mobile、iPhoneに対応したクライアントソフトが提供されており、各デバイスで取り込んだメモを随時サーバーと同期し、ほかのデバイスから参照・検索・再編集が行えます。

▼Evernote
http://evernote.com/

デバイスとサーバーの両方でデータを管理

 DropboxとEvernoteは、どちらもWebサービスとソフトウェアを組み合わせて利用し、複数のデバイスにあるデータを同期するサービスである、という共通点があります。レッスン15で紹介したマイクロソフトの「Live Mesh」も同様で、多数のデバイスを使いこなすユーザーにとって、このようなサービスは実に重宝します。

 また、DropboxやEvernoteは、インターネットに接続していないときでもデバイス内で問題なく利用でき、接続されたら自動的にサーバーとデータを同期する点も特徴です。「Gmail」や「Googleドキュメント」のようなWebサービスは、基本的にはインターネットに接続していないと利用できません。Googleでは非接続時にも利用できるよう「Google Gears」を公開していますが、まだ十分な機能がない状況です。

 デバイスには一切データを置かず、常にネットに接続して作業をする「シンクライアント」も注目されていますが、現状の通信インフラ事情を考えると、デバイスにもサーバーにもデータを置き、適宜同期する使い方のほうが便利だと言えそうです。

[ヒント]2007年からの人気サービス「Twitter」と「Tumblr」

「つぶやき」とも呼ばれる短いメッセージを書いていくミニブログ「Twitter」、画像や文章をクリップして保存するのに適した「Tumblr」は、どちらも2007年にブレイクしたWebサービスです。企業がソフトウェアを直接開発・提供しているDropboxやEvernoteとは異なり、この2サービスでは企業側から提供されているソフトウェアはほとんどありません。しかし、ユーザーがAPIを利用して開発したソフトウェアやWebサービスが多数公開されており、便利に使えるようになっています。

[ヒント]「Amazon S3」を積極活用する海外Webサービス

Dropboxは全体のデータ保存に、Twitter、Tumblrは一部のデータ(画像)の保存に、Amazonが提供するクラウドのサーバーサービス「Amazon S3」を利用しています。アメリカでは、ベンチャー企業が新規事業を興す際にクラウドのサーバーを利用する例が多くなっており、コストダウンや開発の高速化といった恩恵を得ていると考えられます。2007年に話題になった3D空間でのコミュニケーションサービス「セカンドライフ」も、Amazon EC2/S3を利用しています。