Sony Styleで最上位のCPUを選択

この秋に発売されたPCの中で、ソニーのVAIO Xは間違いなく話題性ではトップの機種でした。B5サイズで13.9mmのフルフラットボディ、公称約10時間駆動のLバッテリー搭載時でも765gという超軽量。すでに店頭にも並んでいる製品ですので、その薄さ、軽さに触れて驚いた方も多いと思います。

以前から持ち運びやすくて「打てる」キーボードを備えたモバイルPCを求め続けてきた筆者としては、これに手を出さずにはいられません。予約開始と同時に大混雑のSony Styleへアクセスし、なんとかVAIOオーナーメードモデルを注文。10月末には無事に入手できました。


筆者所有のVAIO X

ちなみにVAIO X入手前の筆者のモバイル環境は、なんとか携帯できる程度の大きさ・重さ(A4サイズ、約1.35kg)で、それなりにパワーもあるVAIO type Zがメインでした。

ポケットサイズPCのVAIO type Pも所有していますが、画面が小さい(文字が小さい)ため敬遠してしまうことが多く、それほどは活躍していませんでした。10年前はVAIO type Pと似たようなサイズのNECのモバイルギア(初代MS-DOS機:単3乾電池2本で約30時間駆動)を愛用していたというのに、歳を取ったということなのでしょうかね......。

今回購入したのは、以下のような構成です。

OSWindows 7 Professional 32bit版
カラーブラック(ベーシックカラー)
CPUIntel Atom Z550(2GHz)
メモリ2GB(オンボード)
ストレージSSD 256GB
WiMAX非搭載
Bluetooth搭載
バッテリーLバッテリー&Xバッテリー
合計価格 159,800円

CPUとストレージは最上位を選択し、バッテリーはLバッテリーに加えて、公称20時間駆動というXバッテリーもセットで購入し、159,800円となりました。最小構成は89,800円ですが、これはかなりの豪華仕様と言えます。

Lバッテリーで、激しく使っても4時間駆動

基本的に、筆者がビジネスユースでモバイルPCに求めることは、テキストエディタが使えてキーボードが使いやすいことで、それほど強力なパワーは必要ありません。と思いつつも、せっかくのオーナーメイドなのでCPUを最上位のAtom Z550としました。

ボディカラーは一番地味なブラックです。常に携帯するツールとして、派手さよりも、汚れを気にせずラフに使えるものを選ぶというのが筆者のスタンスです。

VAIO Xのマシン構成で魅力的なのは、以前のレポート記事でも紹介していますが、有線LAN端子と外部ディスプレイ端子を、この薄いボディに標準搭載している点です。ビジネスホテルなどでは有線LANはあっても無線LANは使えないことが多いので、有線LAN端子があることは非常に心強いです。また、外部ディスプレイ端子はプレゼンに必須です。これらの存在によって、テキスト入力マシン以外としても、さまざまな場面でVAIO Xを活躍させたくなります。

さっそく、Lバッテリーを装着しての駆動時間を計ってみました。ディスプレイを最高輝度設定の状態、かつ無線LANでインターネットに接続したままで、4時間持つか持たないかというところ。公称駆動時間(約10時間)を出すには相当な省電力設定が必要でしょうが、激しく使っても午前中の会議をまるまるACアダプターなしでこなせるというのは、安心できます。


キーストロークはほとんどありませんが、パームレストが十分あることもあって、少し慣れれば違和感なくキーボードが打てます。底部にあるスタンドでチルトアップすると打鍵感が向上し、より快適に使えます

有線LAN端子と外部ディスプレイ端子。内蔵になっていることで、予定外の場面でも活躍させられます

USB端子は左側に2ポートを搭載。サウンドポートはヘッドホン端子だけですが、マイクは内蔵しています。Webカメラもあるため、テレビ電話の利用も可能です


撮影旅行ではフォトストレージとしても活躍

ビジネスユースのモバイルPCへの要求は少ないのですが、筆者の趣味である写真にも付き合ってくれることを、VAIO Xには期待していました。つまり、フォトストレージとして、デジカメ写真の保存と写真の閲覧および簡単なレタッチにも利用したいと考えています。

2,000万画素クラスのデジタル一眼レフカメラでRAWデータ撮影をすると、「数打ちゃ当たる」的な筆者の写真の撮り方では、2泊3日程度の旅行でも100GB以上の写真データがたまってしまいます。

VAIO type Zには320GBのHDDを搭載していましたが、フォトストレージとして考えると同じくらいの容量は必要ということで、VAIO Xでも、ちょっと高価な256GB SSDを選択したという次第です。

旅行に持って出る交換レンズの本数が増えると、それだけでかなりの重量になります。これに加えてノートPCまで......となると、VAIO type Zはちょっと厳しい重さだったのです。

その点、このVAIO Xの軽さはすばらしい! 薄いのでザックの中でもかさ張らず、感覚的には背中に当たる部分に「底板」を入れているという程度。中でゴロゴロするようなこともなくありません。メモ用に持ち歩いているA6サイズの紙のノートの方がじゃまに感じられるくらいで、VAIO Xは、ザックに入れたまま存在を忘れてしまいそうなほどです。

残念ながらCFカードスロットはありませんが、SDカードとメモリースティックDuoのスロットを備えているので、写真の取り込みに重宝します。


SDカードとメモリースティックDuoスロットは、パームレストの手前に搭載

フォトストレージとしてのVAIO Xは、液晶ディスプレイの色再現性が高いことも魅力です。以前にVAIO type Sを使用していたことがあったのですが、このモデルはディスプレイの色再現性が低かったため、レタッチして旅先からブログにアップした写真を家のデスクトップPCで見たら、ものすごく濃い色になっていて驚きました。VAIO type Zに乗り換えたのは「NTSC比100%(一般的なカラーテレビと同等の色の範囲を再現可能)」という高い色再現性をうたっていることも、大きな要因でした。

VAIO Xは、VAIO type Zと同等の液晶パネルを使用しているということもあり、安心して使える素直な発色になっています。輝度も十分で、視野角もこのクラスとしては広いほうではないでしょうか。同じAtom CPUを搭載したいわゆるネットブックはもちろん、モバイルPCの中でも、かなり見やすい液晶だと言ってよいでしょう。


VAIO Xの液晶ディスプレイは、安心感のある素直な表示。写真の発色がいいのはもちろん、文字も読みやすいです

Photoshop Elements 8が十分に使える一方、ウィンドウの操作にはもたつきが

ちょっとした色調整やトリミングに使うため、先日発売されたフォトレタッチソフト「Adobe Photoshop Elements 8」を購入しました。Atom Z550では重いかな? と心配しましたが、高速なSSDのおかげもあってか、写真を1枚ずつ編集する程度なら、それほど不便を感じません。1,366×768ピクセルと広めのデスクトップで利用できることもあって、使い心地はなかなかのものです。

ただし、ちょっとした問題がありました。Photoshop Elements 8に付属しているRAW現像用のプラグイン「Camera Raw」はウィンドウの縦幅を768ドットより小さくすることができず、そのまま使うとウィンドウの下部がタスクバーに隠れてしまいます(上下幅が画面サイズピッタリ)。そこで、タスクトレイを自動で隠す設定に変更しました。

一方で、パフォーマンスの(グラフィックアクセラレーター「GMA500」の)限界を感じる場面もあります。ウィンドウの中の作業に集中する分にはPhotoshop Elementsも十分に使えるのですが、ウィンドウをドラッグしようとすると、動きがカクカクしてしまいます。複数のソフトを切り替えながら使う、というスタイルは、ちょっと荷が重いかもしれません。

ちなみに、標準でWindows Aeroはオフになっており、メーカーでもそれを推奨する記述がありますが、あえてオンにしてみると、想像以上に重くなります。

また、メモリは2GBで固定ですが、カメラユーザーとしては、4GB欲しかったかなというのが本音です。


Photoshop Elements 8を使用中。全画面表示で使うとちょうどよい感じになります。手前に表示しているCamera Rawのウィンドウは、縦が画面サイズぎりぎりになっています

標準ではWindows Aeroがオフになっています。オンにすることも可能ですが、ウィンドウの動作などを全体の動作が明らかに重くなってしまうため、おすすめできません


ボディを守り、小ささ・軽さを損なわないケースを工夫

とにかく軽くて薄いボディのメリットを感じたくて、ラフに裸のままカバンに突っ込んで数日持ち運んでいたのですが、気が付くと天板に早くも擦り傷が......。これでは先が思いやられると思い、ケースを購入することにしました。

とりあえず、シンプルでカッコいい純正の革キャリングケース「VGP-CKX1」を購入してみました。約1万円もするこのケースですが、質感も非常によく、デザイン面ではかなり気に入っています。

しかし重量は300g以上あり、Lバッテリー装着のVAIO Xと合わせると約1.1kg。厚みも増える上に、横幅もB5サイズで納まらなくなります。私が持っているビジネスバッグはB5サイズぎりぎりのものしか入らないのですが、本体だけならカバンに入るのに、キャリングケースに合わせてカバンを大きいものにするというのも、ちょっと悔しいところです。


純正の革キャリングケース「VGP-CKX1」。マグネットで開閉ができ、革の質感も上々。インナーケースとしてカバンに入れるのではなく、このまま持ち運びたい気がします

とにかく軽く、薄くを目指して、ケース代わりにA4クリアファイルを使用したところ。PC用のケースでなくても、普通の書類入れにそのまま収まります

個人的には、もっとチープでもよいので、傷付きにくい外装にしてもらえるとよいのですが、カーボンを使うことによるのボディ剛性を考えると難しいところなのかもしれません。

表面保護というだけなら、A4の封筒やクリアファイルに入れて運ぶことだって可能です。試しにクリアファイルに挟んでカバンに入れてみたら、取り出しやすくて気に入ってしまったので、おしゃれではありませんが、これはこれでいいのでは、という感じになりました。革ケースと気分で使い分けることにしています。

ちなみに、こちらは傷ではありませんが、パームレスト部分の指紋汚れがかなり目立つことも気になっています。こればかりは、拭いてきれいにする以外になさそうです。


外面の傷は覚悟していましたが、パームレストが指紋でベタベタになるのは予想外。意外と落ちにくいので、あきらめてたまに拭く程度になりました

ACアダプタもコンパクトで軽量ですが、ケーブルが妙にかさ張ります。小さめのペンケースに入れてみたらピッタリだったので、そのまま利用しています

なお、この執筆時点では、同時購入したXバッテリーは1度も外に持って出ていません。デザインはカッコよく、Lバッテリーの倍という駆動時間も魅力的ではありますが、13.9mmフルフラットで765gという可搬性とのトレードオフを考えると、今のところ、あえてXバッテリーで出かけようというシチュエーションがないのです。

加えて、前述の革キャリングケースは、Xバッテリー装着時は当然ながら収納不可です。Xバッテリーにも対応したキャリングケースとしてはVAIO T用の「VGP-CKTT1」が紹介(参照)されていますが、サードパーティ製のケースを探してみるのもよいかもしれません。このあたりも含め、より使いこんでから、また後日にレポートしたいと思います。


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