「メールに代わる」とも言われる新しいツール
2009年5月、Googleは自社が主催する技術系イベント「GoogleI/O」にて、コミュニケーションとコラボレーションのための新しいツール「Google Wave」を発表し、大いに注目を集めました。2010年1月現在ではプレビュー版で、利用するには既存ユーザーからの招待が必要です。
Google Waveのコンセプトは、「メールに代わるコミュニケーションツール」です。Googleらしい画期的なサービスではあるのですが、一方でよくわからないという声も多く聞かれます。Google Waveの何が新しいのかを探ってみましょう。
▼Google Wave
http://wave.google.com/
相手が入力する様子までリアルタイムで共有
Google Waveを利用してもっとも衝撃を受けるのは、従来のサービスにはなかったリアルタイムでの画面共有です。
複数のユーザーが同時に入力しているとき、相手のユーザーが1文字ずつ入力している様子をリアルタイムで見られます。もちろん、自分が入力する様子も相手に見えます。入力ミスや誤変換までリアルタイムで伝わるので、気恥ずかしくなるほどです。
こうしたリアルタイムコミュニケーションを実現するため、Google Waveではサービスを実現するアプリケーションだけではなく、その下層で通信の制御などをするサーバーも新たに開発しています。そして、このサーバーこそがGoogle Waveの肝です。
Google Waveのプロジェクトリーダーであるラース・ラスムセン氏は、「このシステムはコミュニケーション用のシステムとして、従来のメールを置き換えるポテンシャルを持つものだ」と述べています。
チャット+掲示板+Wikiのように使える
プレビュー版でのGoogle Waveは、一見したところでは「昔ながらのホームページの掲示板が超リアルタイムになったもの」という印象です。ほかのユーザーが書いた記事をだれでも編集できるWikiに似た要素もあり、また「Playback」という機能で編集の過程をさかのぼって見ることもできます。
Google Waveは、以上のような非常に高い自由度を備えたコミュニケーションツールです。しかし、自由度が高すぎるために「何に使えばよいのかわからない」という混乱を招いているようです。また、プレビュー版では処理が重く、古めのパソコンでは安定して使えないのも難点です。
当初は正式公開を2009年後半としていましたが、2009年9月時点で延期され、その後の予定は明言されていません。ブラッシュアップが進んで、より使いやすいツールとして公開されることを期待しましょう。
「リアルタイム」はWebに欠かせない要素に
Google Waveについて「リアルタイム」という特徴を軸に説明してきましたが、この言葉は今後のWebを語る上でも、非常に重要なキーワードとなります。
後のレッスンで紹介するTwitter、セールスフォース・ドットコムでも触れますが、最近ではWebでリアルタイム性の高い情報を交換することが技術的に可能になり、ユーザーもそれを歓迎しています。今や価値ある情報の第一報はTwitterで飛び交い、数分もすれば耳の早いユーザーに行き渡ってしまう状況です。
そうした中で、Google Waveが持つようなリアルタイム性は、新しいコミュニケーションサービスにとって欠かせない要素になるでしょう。表面的な見た目や機能は変わっていくかもしれませんが、注目に値するコンセプトであることは間違いありません。
[ヒント]iPhoneからでも利用できる
あくまでプレビュー版での手順ですが、Google WaveをiPhoneで利用するには、まず上記のURLにアクセスします。「あなたのブラウザーは未対応です」といった意味のメッセージが英語で表示されますが、構わず右下の[go ahead.]をタップすると、iPhone専用の画面が表示されます。iPhone上でも、Google Waveの特徴の1つであるリアルタイムの入力を見ることができます。
[ヒント]Web検索もリアルタイムに
Googleの中心サービスであるWeb検索も、リアルタイム化しています。Web検索のクロールが非常に高速化しており、更新直後のブログの記事が検索できることもあります。また、2009年10月にはTwitterとの提携を発表し、リアルタイムなユーザーの発言をWeb検索結果に含めるべく準備を進めています。
[ヒント]音声による新しい検索サービス
iPhoneとAndroidでは、キーワードを声にしてしゃべることで検索できる「Google音声検索」を利用可能なアプリケーションが提供されています。音声+リアルタイム検索が組み合わさることで、まさにだれかに質問するような感覚で検索できるようになります。