あらゆる場面で「つぶやき」を発信

 「Twitter」は、米Twitterにより2006 年7 月から提供されています。「Tweet(小鳥のさえずり声の意)」、日本では「つぶやき」とも呼ばれる短い発言を書いたり読んだりする、基本的なシステムはごくシンプルな無料サービスです。

 日本国内では2007年3月ごろから第一次ブームと呼べる流行が起こり、ブログの延長のような感覚で利用できること、つぶやきの文字数に140文字という制限があることから、当時はよく「ミニブログ」と表現されていました。しかし最近では、インスタントメッセンジャーやSMS(携帯電話の短いメール)などのショートメッセージサービスに近い存在となっています。

●Twitterのサービス概念図

「今」の出来事や感情を常に共有

 Twitterはパソコン向けの専用ソフトウェアやiPhone向けのアプリケーション、携帯電話向けのサービスなど、さまざまなデバイスから利用できます。そのため、場所を選ばずにコミュニケーションが可能です。Twitterのヘビーユーザーはこの特徴を利用し、iPhoneなどのモバイルデバイスから頻繁につぶやきを書き、そして読んでいます。それはブログやメールより、会話に近いテンポでの行為です。

 Twitterでよく使われる表現に「○○なう」というものがありますが、これは「新宿なう」のように自分がいる場所を知らせたり、「中華料理なう」「放心なう」などと現在の行動や感情を書き込んだりするときに使われます。つまり、つぶやきの内容は各ユーザーの「今」を表しているわけです。

つぶやきが新しいつながりを生む土壌に

 このようなリアルタイム性はTwitterの大きな特徴で、時事問題についての意見交換や「今夜どこかで飲もう」といった呼びかけにも使われます。またあるときには、事件や事故の状況を偶然居合わせたユーザーがTwitterで伝えたこともあります。

 2009年1月、アメリカのハドソン川に米航空会社の旅客機が不時着するという事故が起こりました。そのとき、たまたま付近を航行するフェリーに乗っていた人が、iPhoneで旅客機を撮影してTwitter(の関連サービス)に写真を公開。世界中の人々に現場の模様をいち早く伝えました。強力な機能を持つモバイルデバイスを多くのユーザーが所有し、Twitterのようなマルチデバイス対応のサービスが普及していたからこそ、起こりえた出来事だと言えるでしょう。

「Webサービス」から「インフラ」へ成長

 流行初期のTwitterは、サーバーが頻繁にダウンすることで有名でした。2010年1月現在では安定感はかなり改善されていますが、サーバーの信頼度をクラウドコンピューティングと関連付けて語ることは、ちょっとはばかられます。

 一方で、Twitterは単なるWebサービスの領域を超えて、メールやWebのようなインフラとして成長しています。

 例えばアメリカでは、ホワイトハウスやNASA、CDC(疾病予防管理センター)といった多くの国家機関が、広報などの目的でTwitterを利用しています。自治体が利用する例は日本でも散見されるようになっており、将来的には各種行事のお知らせや災害の速報などを、Twitterを通じてパソコンやiPhone、テレビなどで受け取ることになるかもしれません。

ショートメッセージサービスを革新する可能性も

 自前で発電所を持たず、必要な電力を電力会社から買うように、コンピューターを自前では管理せず、必要な処理能力だけを買う「ユーティリティコンピューティング」という考え方があります。その考え方で言えば、Twitterはショートメッセージサービスの電力会社のような存在になる可能性もあります。

 例えばメールでは、Gmailは現在、ライブドアの「livedoorメール」やKDDIの「au oneメール」のバックエンドとして利用されています。Twitterも同様に、携帯電話キャリアやWebサービス事業者のショートメッセージサービスのバックエンドになる可能性も、直近に見えているわけではありませんが、将来的に考えられないことではありません。

 すでにアメリカ、カナダ、イギリスなどでは、携帯電話のSMSを通して簡単にTwitterを利用できます。日本の携帯電話は、現在のところキャリアごとに仕様の異なる、いわゆる「キャリアメール」が使われていますが、もしキャリアメールからTwitterを通じてメッセージをやりとりできるようになれば、キャリア間の壁が取り払われるかもしれません。
▼Twitter
http://twitter.jp/

0.Twitterで「今」の情報を集める

Twitterの魅力を体感するため、まずは気になる人物や地名などを検索してみましょう。見ているテレビ番組の出演者なら同じ番組を見ているユーザーのつぶやきが、地名なら同じ場所にいるユーザーのつぶやきが見つかり、ほかのユーザーとの思わぬ「つながり」を発見できるかもしれません。検索するだけなら登録は不要です。Twitterを使い始めたいときは、[今すぐ登録]をクリックしてユーザー登録を行います。

1 Twitterにアクセス,2 検索ボックスにキーワードを入力,3[検索]をクリック  ,キーワードに関連するほかのユーザーのつぶやきが表示された,[今すぐ登録]をクリックするとユーザー登録できる

0.Twitterで自分の「今」を共有する

検索した中で気になるつぶやきをしているユーザーがいたら、Twitterに登録・ログインして「フォロー」してみましょう。[ホーム]に表示されるつぶやきの一覧(「タイムライン」と呼ばれます)で、継続的にそのユーザーのつぶやきをチェックできるようになります。また、自分もつぶやくことで、ほかのユーザーからフォローされる可能性が生まれます。Twitterでは基本的に、フォローしフォローされることで関係を作っていきます。

1 継続的にチェックしたいユーザーのつぶやきを表示,2[フォローする]をクリック      ,3[ホーム]をクリック  ,Twitterにログインしておく  ,ボタンが[フォロー中]に切り替わる

つぶやきの一覧にフォローしたユーザーのつぶやきが表示された

[ヒント]多数の著名人がTwitterに参加

海外では、オバマ米大統領が大統領候補時代から利用するなど、早い段階から著名人のTwitter利用が盛んでした。日本では、2009年中ごろから芸能人や文化人、政治家などの利用が話題になり始め、2010年1月には鳩山由紀夫首相が利用を開始したことも話題になっています。Twitterと連携したテレビ番組などの企画もあり、マスメディアでの話題性も高まっています。

[ヒント]関連サービスやアプリケーションで 活用の幅が広がる

米Twitter以外の多くの企業や個人が、パソコンやモバイルデバイスでTwitterを利用するサービスやアプリケーションを発表しています。メールやチャットのように手軽にTwitterを楽しめるもの、自分のいる位置を知らせたり写真を投稿したりといった付加機能を持つものなどがあり、これらを利用することで、Twitterを基盤としたさまざまな活用方法が楽しめます。

さまざまなサービスやアプリケーションでモバイルデバイスでも快適に利用できる

[ヒント]「世界初の10億ユーザーを目指す」 Twitterのビジョン

2009年7月に、米Twitterの社内文書が流出する事件がありました。流出文書を入手したというTechCrunch(アメリカの技術系ブログメディア)の発表によると、流出した文書の中には「世界初の10億ユーザーを抱えるサービスとなる」「10億人のユーザーにより、Twitterは地球の鼓動そのものになる」といったメモがあったそうです。世界中で展開されている主要なメールサービスやSNSで、10億人規模のユーザーを抱えるサービスはまだないと見られます。これまでにない規模でリアルタイムにメッセージを交換するインフラを目指すという、壮大なビジョンを持ってTwitterが運営されていることがわかります。

[ヒント]セールスフォース・ドットコムも Twitterに注目

企業向けのCRM(顧客管理)アプリケーションをSaaSで提供しているセールスフォース・ドットコムは、2009年3月にTwitterのモニタリングや発言ができる「Salesforce CRM for Twitter」を発表。2009年11月には「Salesforce Chatter」として、より深くリアルタイム・メッセージングの要素を取り込んだサービスを提供しています。

[ヒント]画像データの管理・配信にはAmazonのクラウドサービスを利用

Twitterでは、画像データ(プロフィールアイコン)の管理にAmazonが提供するクラウドのストレージサービス「AmazonSimple Storage Service(S3)」を利用しています。AmazonS3は低価格のサービスですが、スピードが速くないのが難点です。そのため、2008年11月からAmazonがベータ版として提供した、コンテンツを高速配信するためのサービス(Contents DeliveryNetwork:CDNと呼ばれます)「Amazon CloudFront」も利用して、画像データを配信しています。

[ヒント]Twitterの情報を利用する関連サービス

Twitterの膨大なつぶやきを加工して、さまざまな形で利用できるサービスも登場しています。「Twib」は、Twitterユーザーの間で多くつぶやかれたニュース記事などをまとめるサービス。旬の話題をリアルタイムに見つけられると同時に、それぞれの話題がどうつぶやかれたかを一覧でチェックできます。「ぽりったー」は、Twitterに参加している政治家の発言をまとめて見られるサービス。インターネットの政治利用が注目される中で、便利なサービスとして利用されています。テレビを見ながらTwitterを楽しむユーザーには、同じ番組を見ているユーザーの発言がまとめられる「ピーチク」や「ツイテレ」がおすすめです。また「毎日.jp」「asahi.com」などの大手ニュースサイトには、記事についてTwitterでつぶやくためのアイコンが表示されるようになっています。
▼Twib Twitterホットエントリー
http://twib.jp/
▼Twitterと政治(α)ぽりったー
http://politter.com/
▼ニッポンのお茶の間ピーチク
http://ptic.jp/
▼ツイテレ
http://twtv.jp/