複数のデバイスで最新のファイルを共有
「Dropbox」は、いわゆるオンラインストレージサービスの一種に分類できますが、その使いやすさにおいて群を抜いています。クラウドを介して複数のデバイスでファイルを共有し、更新を反映(同期)することの便利さを、非常にわかりやすく実感できるサービスです。容量は2GBまで無料で利用できます。
オフィスでも自宅でも、デスクトップパソコンとノートパソコンなど複数のデバイスを使うことが当たり前になってきた現在では、異なるデバイスのいずれにも常に最新のファイルがあるよう、共有・同期したいというニーズがあります。
例えば、メインのパソコンで編集していた文書を外出中にサブのパソコンで仕上げたい、パソコンで編集したプレゼン資料をiPhoneで見せたいなど、さまざまなシチュエーションが考えられます。多様なデバイスが普及していく今後は、このような場面がさらに増えるはずです。
クラウドを使ってUSBメモリーを不要に
異なるデバイスでファイルを共有するには、USBメモリーを利用する方法がよく知られています。しかしUSBメモリーでは、パソコンに挿入→ファイルをコピー→別のパソコンに挿入→ファイルをコピー、といったこまごまとした作業が必要です。また、間違って古い内容で上書きしてしまったり、USBメモリー自体を紛失したりといったトラブルの恐れもあります。さらに、iPhoneなどUSB端子を持たないデバイスでは利用できません。
そこでDropboxの出番です。Dropboxの専用ソフトウェアをインストールしたパソコンでは、「My Dropbox」というフォルダーの内容が自動的にサーバーと同期します。そして、そのフォルダー内でファイルの新規作成・上書き保存・削除などをするたびに、Dropboxのサーバーにも反映されます。
同じくDropboxをインストールした別のパソコンも、サーバーと同期を行うことで、「My Dropbox」フォルダーが最新の状態に更新されます。ユーザーは特別な操作を一切せず、パソコンにあるファイルをいつも通りに操作するだけで、複数のパソコンの間で常に最新のファイルを利用できるのです。
Dropboxのサービス概念図
類似サービスを上回る利便性を提供
USBメモリーの物理的な問題だけなら、ほかのオンラインストレージサービスでも解決できます。ただし、インターネットに接続していないとファイルを取り出せない、常にブラウザーでアクセスする必要がある、といった面倒さがあります。
一歩進めて、パソコンでファイルを操作するのと同じような感覚を実現したアップルの「MobileMe iDisk」のようなサービスもあります。しかし、オンラインでなければファイルを操作できないという制約は残ります。
Dropboxはそれらのサービスとは異なり、「パソコンにある特定のフォルダーをサーバーと自動的に同期する」という特徴があります。ファイルはインターネットだけではなくパソコンにもあるため、オフラインでもファイル操作に支障はありません。この特徴は同時に、ファイルのバックアップにも役立ちます。
また、サーバーにあるファイルは、ほかのユーザーと共有したり、Webで公開したりすることも可能です。ほかのユーザーと共有した場合は、共有フォルダー内で互いの更新が反映され、リアルタイムで同期します。共同作業の相手と特別なファイルのやりとりをしなくても、常に最新のファイルの共有が可能です。
▼Dropbox(英語)
http://www.dropbox.com/
0.Dropboxをセットアップする
まずはDropboxにアクセスし、[Download Dropbox]をクリックして専用ソフトウェア(Windows 7/Vista/XP、Mac OS X 10.4以降対応)をダウンロードします。インストーラーを起動し、以下の手順に注意しながらセットアップを進めましょう。複数のパソコンで利用するには、すべてのパソコンへのインストールが必要です。
0.ファイルを同期する
セットアップの完了後に作成される「My Dropbox」フォルダーにファイルを保存すると、サーバーとの同期が自動的に開始され、ほかのパソコンの「MyDropbox」フォルダーにも同じファイルが保存されます。ここでは「MyDropbox」フォルダーを表示し、Dropboxのサーバーに同期されたことを確認するまでの手順を紹介します。
[ヒント]ファイルを保存するサーバーはAmazonのクラウド
Dropboxは、ファイルの保存にクラウドのサービス(Twitterと同じAmazon S3)を利用しています。ユーザーとAmazon S3間の通信の暗号化や同期の制御などをDropboxが行い、高い利便性の無料サービスを実現しています。
[ヒント]共同作業をサポートする共有機能も充実
[My Dropbox]内の任意のフォルダーを右クリックして[Dropbox]-[Share This Folder]をクリックすると、ほかのユーザーにフォルダーを共有するための招待メールを送ることができます。フォルダーを共有すると、互いのパソコンで更新したフォルダー内のファイルをリアルタイムで共有できるようになり、共同作業の効率を大幅に上げることができます。更新のタイミングが衝突した場合は自動的に別名で保存され、更新履歴も保存されるなど、共同作業を助ける機能が充実しています。
[ヒント]iPhoneでもファイルを同期・保存できる
Dropboxでは、公式のiPhoneアプリケーションも無料で提供されています。iPhone版ではファイルの自動同期(コピー)は行われず、選択したファイルをダウンロードして閲覧するビューアーとしての機能が主になっていますが、[Favorites]に登録したファイルはiPhone内にコピーされ、オフラインでも閲覧可能になります。