Instagramの概要
Instagramの特徴と人気の理由を知る
世界で4億人が利用する写真SNS
Instagramは2010年10月にサービスを開始したスマートフォン向けの写真SNSです。2012年4月にはFacebook社に10億ドルで買収されたことが大きなニュースとなりました。2014年10月にはTwitterの規模を超える3億MAU(月間アクティブユーザー)を記録し、2015年9月には4億MAUを達成。現在もユーザー数を伸ばしています。日本でも2014年ごろから急激にユーザーが増えはじめ、2015年6月には国内だけで810万MAUに達したと発表されています。「インスタ」という日本での略称もすっかり定着した感があります。
Instagramはアクティブなユーザーを多数抱えるSNSであると同時に、注目される広告媒体でもあります。国内では2015年5月から広告の配信が始まり、同年10月からは誰でも出稿可能な「運用型Instagram広告」が利用できるようになりました。2015年の後半からアカウントを登録する企業も増え、毎月のように立ち上げラッシュが続いています。
非常にアクティブなInstagramユーザーの活動
2004年に開始された「mixi」や「GREE」に始まり、「Facebook」「Twitter」「Vine」など、日本のユーザーはすでに多くのSNSを経験しています。Instagramは後発でありながら、なぜここまで人気になったのでしょうか? その理由は2つあります。
「非言語」だからこその簡単さと伝わる力の強さ
1つ目の理由に、写真と動画がメインの「非言語メディア」だということがあります。文章を書くことに時間を割く必要がないため、それまで続けていたブログの更新をやめて、Instagramの更新だけに専念しているタレントや一般のユーザーも増えています。
発信者の立場から簡単に言うと、写真は「ラク」です。文章はちょっとした書き方の違いで異なる意味に捉えられてしまったりするので、非常に気を使います。しかし、その場で写真を撮影し、簡単にきれいな加工ができて、短い文章だけ(もしくは文章なし)でどんどん投稿できてしまうInstagramは、言葉を中心とするメディアとは比較にならないスピードで更新できます。
受信する側としては、SNSのユーザーが増え、発信される情報量が圧倒的に増えた中で、処理に時間がかかる文字情報よりも、圧倒的に速く処理できる非言語の写真や動画情報を好んで視聴しようとする傾向があります。言葉が飽和して処理できなくなってきたので、目にした瞬間に理解したり何かを感じたりできる写真や動画に注意が移行していくのは必然です。
非言語メディアは、言葉の壁を簡単に越えることもできます。FacebookやTwitterでも写真や動画を投稿することはできますが、文字がメインのメディアなので、言葉の壁を越えることは困難でした。グローバル展開している企業では、言語ごとにFacebookやTwitterのアカウントを運営していることがほとんどです。しかしInstagramの場合は、グローバル企業であってもアカウントは1つで、そのアカウントが世界中のユーザーからフォローされています。Instagramは言葉の壁を難なく越えてしまうという点で、これまでになかったSNSだと言えるでしょう。
「写真を投稿する、見る」に特化したシンプルな機能
2つ目の理由として「写真を投稿する」「投稿された写真を見る」ことに特化した、非常にシンプルな機能に絞られていることが挙げられます。
「フィード」と呼ばれるメイン画面で写真を見て「いいね!」やコメントをする、写真を投稿する、の2つが基本的な機能で、ユーザーはそれらに集中できます。ユーザーのまとまった情報としてはシンプルなプロフィール画面があり、写真は検索で見つけることもできます。
もっとも特徴的なのは「拡散」のための機能を持っていないことです。Facebookでは「再共有」、Twitterでは「リツイート」機能を使うと、ほかのユーザーの投稿を自分の友達やフォロワーに向けて再投稿でき、情報は簡単に拡散されます。オリジナルの情報を発信せず、情報の拡散をメインに活動している人もいます。
Instagramは、このような拡散機能を持ちません。そのため、オリジナルの情報を作り出す(写真を撮る)ことをしないユーザーは活動できません。こうしたハードルのあるサービスが好まれるのは、SNSのユーザーが成熟している証拠だと言えます。
もう1つの機能的な特徴に、投稿から外部サイトへリンクを張れないことがあります。FacebookやTwitterではURLを書き込むと当たり前にリンクが張られますが、Instagramの場合はそうならず、URLをタップしても何も起こりません。
Instagramは、ほかのSNSと比べて平均滞在時間が長いと言われますが、理由として、投稿からの外部リンクがないことが強く働いています。
FacebookやTwitterの投稿にはニュース記事など外部リンクの紹介が多く、興味を引くものを見つけたユーザーはすぐに離脱してしまいます。対して、Instagramでは外部リンクが張られないため、必然的にフィード(タイムライン)に並ぶフォローしているユーザーの写真を見ることに集中する状態になります。
大まかに「SNS」とカテゴライズされていても、InstagramはほかのSNSと大きく異なる特徴を持っています。ユーザーは「写真を投稿する、見る」というごくシンプルな目的が設定された環境の中で、クリエイティビティを発揮して楽しんでいるのです。
マーケティングに活用したい企業にとっては制限ともなりますが、手法の工夫によってこれらを問題とせず、成果を上げている事例が報告されています。
有名人の参加と、新しいインフルエンサーの誕生
2014年ごろからタレント、モデルなど多くの有名人がInstagramを続々と使い始め、それらのファンもInstagramを始めるようになっています。このような動きはTwitterなどでも見られました。
ほかのSNSと少し違うのは、Instagram発でほかのメディアで活躍する有名人が続々と誕生し、その影響力が非常に大きい点にあります。若い女性を中心に盛り上がっていたコミュニティに女性タレントやモデルが多数参加し、Instagramはファッションや女性向けトレンドの発信源となりました。一方で、Instagramユーザーの中でファッションセンスが注目され、コミュニティに支持されて、プロのモデルとして活躍するようになった人が多数います。写真中心のメディアと、若い女性の文化との相性のよさが、このような状況を産んだと考えられます。
2016年現在では、ほかの年齢層のユーザーも徐々に増えつつあり、最初期から参加している写真好きのスマートフォンユーザーもアクティブです。また、Instagram広告の開始など注目の高まりもあって、企業の参入も増えています。アクティブなユーザーの属性が広がっていくことで、また新しい文化が作られていくことでしょう。
InstagramInstagramの主な画面 フィード
メイン画面は「フィード」と呼ばれ、写真が次々と表示される。画面下部のボタンで、検索、投稿、アクティビティ(通知)、プロフィールの表示を切り替える。
プロフィール画面ユーザーのプロフィール。説明文や外部サイトのURLなどが表示される。プロフィールのURLにはリンクが張られ、1タップで外部サイトに誘導できる唯一の場所になる。
検索キーワード、位置情報、ハッシュタグなどから写真やユーザーを検索できる。
HINTユーザーは女性が65%、34歳以下が約71%
2015年12月に開催された「アドテック東京 2015」でFacebookが発表したデータによると、国内のInstagramユーザーの男女比は女性65%、男性35%。ボリュームゾーンの年齢は18~24歳がユーザー全体の33%、25~34歳が38%となっており、メインのユーザーは20代~30代前半の女性であることがわかります。ファッションやトレンドへの感度が高い女性が、Instagramのヘビーユーザーに多いと言われています。
Web担当者Forum:Instagramユーザー急拡大! 企業が押さえておきたいインスタ活用3つのポイント(参考記事)