Evernote対抗を意識した新規サービス

Milanote(ミラノ―ト)は、2017年2月7日にサービスを正式公開した、新しいオンラインノートサービスです。

▼Milanote
Milanote: The notes app for creative work.

「Evernote」や「OneNote」など先行するサービスも多数存在しますが、Milanoteは「クリエイティブ向け」を謳い、Webメディアの記者が評した「Milanoteはクリエイティブ向けのEvernoteだ」(Milanote is the Evernote for creatives)というコメントをトップページで紹介するなどして違いをアピールしています。

現時点(2017年2月23日時点)ではまだサービス開始直後で、利用できるのはWeb版のみ。iPhone/Androidアプリは近日公開とされています。ここではWeb版の基本的な使い方を解説しながら、どのような特徴があるのか、Evernoteなどライバルとの違いはどこかを見ていきます。

「ボード」に「ノート」を配置していくのが基本

Milanoteの画面の情報はすべて英語ですが、日本語のノートも問題なく作成・編集できます。

アカウントを作成してログインすると、最初に[main board](メインボード)と、サンプルデータの[Note](文字のノート)や[Image](画像)が表示されます。このほかに、URLを入力してWebページの情報を取り込む[Link](リンク)も作成可能です。

ボードはホワイトボードのようなもの。そこに付せん紙に書いたメモや写真を貼り付ける感覚でノート(または画像やリンク)を自由に配置していくのが、Milanoteの基本的な使い方となります。

ノートはボード上を自由に移動可能で、一時的に[Unsorted](未分類)の中に移動してボードから見えなくしたり、[Trash](ゴミ箱)に捨てたりもできます。オンラインノートサービスらしい共有機能、チャット機能も備えていて、最初は開発スタッフがときどき使い方のヒントを教えてくれます(英語です)。

なお、無料アカウントでは作成できるノート(画像、リンクなど含め)の数が100までに制限されます。

ログインすると表示される[main board]画面。右端にある[Note]や[Image]をボードにドラッグして新規作成し、情報を入力していきます。一時的にノートを非表示にするには右上の[Unsorted]にドラッグし、不必要なノートは左下の[Trash]に捨てます。

ノートを線で結んで関連付ける

Milanoteのユニークな機能の1つに[Line](線)があります。ボード上に線や矢印を描くことができ、線の両端で2つのノートの端を結び付けることでノートに関係があることを表現できます。ノートを移動すると結び付けたノート間の線も移動し、ノートの関係が維持されます。

2つのノートを線で結んだところ。片方のノートをドラッグしても線は自動的に伸縮・移動して維持されます。

ボードの中にボードを作成できる

Milanoteではボードの中にボードを作成できます。先に「ボードはホワイトボードのようなもの」と見立てて解説しましたが、現実世界のホワイトボードよりも拡張性に拡張性にあふれていると捉えてください。

これは、パソコンのファイル管理でいえばフォルダーの中にフォルダーを作るようなもの、Evernoteでいえば「スタック」の中に「ノートブック」をまとめるようなものです。複数の階層化も可能で、徐々にテーマを絞って情報を深掘りしたい場合などに使うといいでしょう。

角丸の四角形が、下の階層のボードを表すアイコンです。ダブルクリックで開きます。ノートをボードのアイコン上にドラッグすると、下の階層のボードにノートを移動できます。

ボートを開いたところ。画面右上にパンくずメニューが表示され、ここで上の階層のボードに戻れます。また、ノートを上の階層のボードの名前にドラッグすることでノートを移動できます。

視覚的な整理や関連付けに特化している

アイデアを次々と挙げていくブレインストーミングや、ホワイトボードに情報をまとめながら行う会議をデジタル化するツールとして、Milanoteは優れていると考えられます。もちろん「1人ブレスト」「1人アイデア会議」的な用途も含みます。

配置の自由度の高さは、ライバルのサービスには真似ができないものです。写真やアイデアを並べながら組み合わせたり、比べたりして考えを深めるツールとして役立つでしょう。

一方で、Milanoteには「あとで使いやすいように保存する」ための機能が手薄だと感じられます。例えば、ノートを作成した日時を参照したり、日時順に並べ替えたり、キーワードで検索したりといった、ライバルのノートサービスが持っている基本的な機能を現在のところ備えていません。

Milanoteは非常にユニークですが、現時点でEvernoteなど既存のノートサービスと同じ使い方ができるものではありません。特徴を生かして活用しながら、情報の長期的な保存にはEvernoteなどを併用するのがいいでしょう。

保存のために、エクスポート機能によってPDFやWord文書、テキストなどの形式でボードを出力できます。ただし、PDFでは日本語は文字化けしてしまうようです。エクスポートされたファイルには下層のボードの内容もすべて含まれるため、ボードを階層化している場合は必要なボードを選ぶようにしましょう。

PDF、Word文書、Markdown(Wikiやブログサービスなどで使われる簡易書式が付いたテキスト)、テキストの4種類のファイル形式でエクスポートできます。

Word文書形式でエクスポートしたボード。ボードの名前が最初の見出しになり、ノートの情報が文書にまとめられます。