こんにちは! だいぶ春らしくなってきましたね。できる編集部の井上薫です。

春ってなんかそわそわしませんか? それに比例し、集中力もダダ下がり。仕事中もランチのことを考えたり、全然関係ないことにふけったり、仕事の効率ダダ下がり。うん、これではいけない!

今回は、おなじみ住職で精神科医、書籍『「あるある」で学ぶ 余裕がないときの心の整え方(できるビジネス)』の著者でもある川野泰周さんに、仕事に集中する方法を教えていただきました。

人間の集中力は、なんと8秒しかもたない!

―― 近頃、集中力がなくて...会社のミーティングで内容を理解できないこともよくあります。

川野 もともと人間は長時間1つのことに集中するのは苦手です。2015年のマイクロソフトの発表によれば、人間が本当に集中力を持続できるのはほんの8秒というデータもあるほどです。ちなみに金魚は9秒です。

―― げげっ! 金魚以下なんですね...

川野 これもスマホやSNSなど、現代人が取り入れる情報量の多さが原因でしょう。2000年は12秒だったのに、4秒も短くなりました。

―― どうしたら集中力を高めることができるでしょうか?

川野 いざ目の前の仕事に集中しようと思っていても、さまざまな雑念が浮かんでくることは避けようがありませんよね? そこで今回は「ラベリング」を紹介しましょう。

ラベリングとは、瞑想しているときに浮かんだ雑念を打ち消すテクニックです。瞑想だけではなく、仕事中でも応用できます。

―― ほんと雑念だらけです! ぜひ、教えてください。

ラベリングを実践してみよう!

川野 ラベリングは、雑念の内容を単語に置き換えて心の中で反芻(はんすう)することを言います。

ラベリング:雑念の内容を単語に置き換えて反芻する

①浮かんだ雑念を単語に置き換えます。「雑念」という単語そのものに置き換えてもOKです。

ラベリング:雑念の内容を単語に置き換えて反芻する

②心の中で単語を何度も唱えましょう。呼吸にも意識するといいでしょう。

ラベリング:雑念の内容を単語に置き換えて反芻する

③「よし、仕事に戻ろう!」と唱え、再び目の前の仕事に意識を向けます。

川野 サッカーのPKでゴールキーパーが「集中!集中!」と言いますが、あれもラベリングの一種ですね。

―― なるほど! これなら今日からできますね。

川野 このラベリングの本当の目的は、さまよっている意識(雑念)を止めることにあります。

たとえばクルマを運転しているとき、走りながら路肩に駐車するのは難しいですよね。いったんクルマを止めてからハンドルを切ると、駐車スペースにきちんと入ります。

これと同様に、さまよっている意識を目の前の仕事に戻すことは至難ですが、雑念を止めてからだと仕事に戻りやすいんです。

―― さまよっている意識を止めるんですね! 止めないと次々に雑念が浮かんできますからね。雑念、雑念、雑念...(ボソボソ)

川野 口に出すと、周りの人に迷惑なので心で唱えてくださいね(笑)。またラベリングにこだわりすぎてしまうと、それに縛られる傾向もありますので、あくまでも集中が途切れたときの小技として試してください。

―― ありがとうございます! これで今日から仕事の生産性ばっちりです。


川野泰周(かわのたいしゅう)さん
精神科・心療内科医/臨済宗建長寺派林香寺住職

1980年横浜生まれ。2004年慶応義塾大学医学部医学科卒業後、精神科医として診療に従事。2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行、2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。現在寺務の傍ら都内及び横浜市内にあるクリニック等で、うつ病、神経症、PTSD、睡眠障害などに対し薬物療法と並び禅やマインドフルネスの実践を含む心理療法を積極的に取り入れた診療にあたっている。
著書に『「あるある」で学ぶ 余裕がないときの心の整え方(できるビジネス)』。