話題の「Ustream」とは?
今、なにかと話題のUstream(ユーストリーム)は、YouTubeやニコニコ動画のように誰かが公開した動画を楽しむ動画共有サービスのひとつです。2010年2月にソフトバンクが約18億円の出資を発表したり、2010年6月には野口聡一宇宙飛行士の宇宙からの帰還がライブ中継されたりと、話題に事欠きません。
これまでにも同じような動画共有サービスはいくつかありましたが、最近はUstreamが群を抜いて人気です。それはなぜでしょうか?
事件は現場で起こっている!
動画共有サービスといえば「YouTube」が有名です。YouTubeはいわば「過去の動画」を共有するサービスです。過去に起こったできごとを撮影した動画が日々集積され、動画をいつでも好きなときに視聴できるのが特徴です。動画の再生中には、当然ながら再生位置を変更し、手前に戻ったり、先に進んだりできます。
それに対し、Ustreamは「今」という編集できない時間をそのまま伝えるのが基本です。録画した動画を視聴することも可能ですが、そこには巻き戻しや早送りのできない「今」を中継するおもしろさがあります。「過去」に「現在」、そして「未来」までもUstreamはカバーしています。インターネットで動画を楽しむ我々の状況を変えつつあるという意味で。
2010年の現在、インターネットのコミュニケーションは、「今」の情報をリアルタイムに共有するスタイルが主流になりつつあります。Ustreamは、動画サービスとして「今」のライブ動画を共有するスタイルを取り入れ、人気を集めつつあります。この流れは、今後も加速していくはずです。
話題の「Twitter」との連携で注目度アップ
Ustreamがなぜこんなに注目されているのか? 大きく捉えると3つの要因があると考えます。
まず1つ目は、「ソーシャルストリーム」の存在です。ソーシャルストリームとは、ごく簡単にいえば、リアルタイムコミュニケーションができるサービス「Twitter」での、発言(ツイート)の流れです。UstreamはTwitterと連携し、動画を視聴しているユーザーの感想をUstreamとTwitterに同時に書き込めるしくみを提供しています。
動画を視聴しているユーザーのツイートには、その動画にアクセスするためのURLが付属しています。Twitterを利用していると、気になる言葉に好奇心が刺激され、ついURLをクリックしてみたくなるもの。Ustreamは、Twitterを通じて視聴してくれるユーザーを増やせるようになっているのです。これがUstream内部だけで完結していたら、今ほど大きなブレイクはなかったといえます。「UstreamのことをTwitterで知りました!」という人も多いはずです。Ustreamは動画のライブ生中継サービスですが、それだけではなく、動画を介して行われるコミュニケーションが重要になります。
予測不可能なワクワク感
2つ目は、「予測不可能な近未来」が手に入るということです。かつて夢中になって視聴していたテレビの深夜番組のように、今夜はなにを視聴しようかな? と探してしまうくらいUstreamでは毎日多彩なライブ中継が行なわれています。
Ustreamでは、いつ誰がなにを始めるかわかりません。ライブ中継至上主義です。ライブ中継を通じて想像もしなかった出会いが広がっていくことがUstreamの魅力です。それを多くの人が見守り、不特定多数の人と「今」を共有する楽しさを味わえます。
従来にない手軽さで動画中継ができる
3つ目は手軽に「伝える楽しみ」が得られることです。これまで、動画は敷居が高いジャンルでした。高価な機材を揃え、ソフトウェアの使いかたを習熟して映像を編集するなど、動画を完成させるまでには多くのステップを踏む必要があります。しかし、Ustreamはそれを変えてくれました。編集をせずとも「今」の状況をライブ中継できることは大きな進歩だと思います。
ライブ中継をする楽しみは視聴する以上です。本書を通してこの楽しみを味わっていただければ幸いです。ただの動画共有サイトでないUstreamを、そろそろ始めてみましょうか?
[ヒント]2010年4月からサービスが日本語化
2010年4月にUstreamのサイトが日本語に対応し、その後、関連するソフトも日本語対応が進んでいます。これは2010年2月に発表されたソフトバンクからの出資に関連しており、日本のユーザーにとってなじみやすいサービスになりました。