通信回線に合わせて最適な画質を選ぼう

 ライブ中継を高画質・高音質で楽しむためには、大きく分けて2つの重要なことがあります。1つ目は、パソコンに映像と音を取り込む前の、マイクやカメラの選びかた・使いかたです。マイクについてはレッスン21、カメラについてはレッスン22で詳しく解説します。
 そして2つ目は、中継用ソフト(Ustream Producer)で適切な設定をすることです。Ustream Producerは、Ustream Broadcasterより高画質・高音質のライブ中継ができます。しかし、常に高い画質を設定すればいいというわけではありません。通信回線の状況に合わせて、快適に視聴できる画質に設定しましょう。
 回線帯域が足りない(高速通信ができない)環境で高画質の中継を行おうとすると、音声が途切れたり映像が動かなくなったりしてしまいます。回線に応じて適切な設定することが大事です。

Ustream Producerで画質を設定する

 Ustream Producerで[Settings]をクリックすると、配信する動画のクオリティ(Encoding Preset:画質と音質の設定)を10種類の中から選択できます。
 光回線など高速なインターネット回線で外部と接続し、パソコンを有線LAN接続できている環境であれば、最高のクオリティでの配信にも耐えられると考えられます。まず[Best SD Quality]を選択しましょう。映像の縦横比[4:3]か[16:9]かは、使用するカメラが対応しているものを選択します。
 このクオリティでテスト配信をしてみてブラウザーで配信ページを確認し、音声や動画の視聴に不具合があるようなら、その会場の回線帯域が足りないと考えられます。クオリティを下げていきましょう。

[Encoding Preset]から最適なものを選択し[Save]をクリックする,[Settings]をクリックすると画質を設定できる

最適なクオリティを見極めるポイント

 Ustream Producerで設定できるクオリティは[Best SD]から[High SD][Standard SD][Basic SD][Lowest SD]の順に画質・音質が下がっていきます。[Best SD]ではスムーズな配信ができない場合は順次クオリティを下げながら、確認していきましょう。
 画質の目安として[Lowest SD]〜[Standard SD]は、およそVHSビデオレベルの画質、[High SD]と[Bset SD]はアナログ地上波テレビレベルの画質となります。音質に関しては[Lowest SD][Basic SD]はモノラル、[Standard SD]以上ならステレオになります。一方で、視聴ユーザーの回線やパソコンの性能によっても、視聴しやすさは大きく変わります。
 Ustreamの一般的な視聴スタイルは、配信ページで番組を視聴しながら、ソーシャルストリームに参加するというものです。このとき、映像は横480ピクセルで表示されます。配信ページできれいに見てもらうことを考えると、画質は[High SD](横640または720ピクセル)以上があれば十分だと考えられます。

●Ustream Producer/Proで設定できるクオリティ

画質の設定 ピクセル数 画質 音質
4:3 16:9
High HD Quality 960×540 30fps
800kbps
AAC 41.1k ステレオ
Standard HD Quality 960×540 30fps
650kbps
AAC 41.1k ステレオ
Best SD Quality 640×480 720×405 30fps
600kbps
AAC 41.1k ステレオ
High SD Quality 640×480 720×405 30fps
500kbps
AAC 41.1k ステレオ
Standard SD Quality 320×240 352×198 30fps
350kbps
AAC 41.1k ステレオ
Basic SD Quality 320×240 352×198 20fps
350kbps
AAC 32k モノラル
Lowest SD Quality 320×240 352×198 20fps
200kbps
AAC 23k モノラル

Ustream Producer ProではHDに設定できる

 有料のUstream Producer Proでは、より高画質の設定が可能になり[Standard HD]、[High HD]という2つのクオリティが加わります。「HD」は「高精細度(High Definition)」の略で、Ustream Producerで選択できた「SD(標準精細度:Standard Definision)」と区別されます。
 HD画質で配信する最大のメリットは、画面を拡大しても高画質が保たれることです。iPadのUstream Viewing Applicationで視聴するときは、画面を横にしてテレビのように全画面で見ることが多くなりますが、HD配信ならば高画質で楽しむことができます。

[ヒント]Ustream Broadcasterで画質を調整する方法

Ustream Broadcasterには[画質][音質]の調整用スライダーがあります。また[アドバンス設定]をクリックすると、画質補正などが利用できます。さらに[より高画質へ]をクリックすると新しいウィンドウが開き、高画質でのライブ中継ができるエンコーダー(動画をデジタルデータ化するためのソフト)をインストールするための案内が表示されます。Windowsのみの対応ですが、利用機会が多い人はインストールしておきましょう。

[ヒント]ライブ中継中にクオリティの変更はできない

Ustream Producer/Proでは、設定したクオリティをライブ中継中に変更することはできません。本番前にテスト配信を繰り返し、中継場所の回線帯域に応じた最適なクオリティを見つけましょう。なお、イベント会場などでは、来場者が増えて回線の利用が増加するなどして、中継中に帯域が不足してしまうこともあります。

[ヒント]設定できるクオリティの意味

ピクセル数はカメラの特性によりますが、一般にハイビジョン対応をうたう製品は16:9、それ以外の製品は4:3です。画質の「fps」は毎秒のフレーム(動画のコマ)数を、「kbps」は1秒あたりの動画のデータ容量を表し、いずれも数字が大きいほど高画質となります。音質の「AAC」は音声の圧縮方式を、「○○k」は音声をデジタルデータ化する際のサンプリング周波数を表します。サンプリング周波数の数字が大きいほど高音質となります。