電源の確保のために必須の延長ケーブル

 どのような場所でライブ中継をする場合でも、電源はもっとも重要です。イベント会場など、いつもと違う場所に行ったとき、電源コンセントがすぐ近くにあるとは限りません。長い電源延長ケーブルは常に持っておきましょう。
 また、延長した先を何口に分けるか、どのような形状のコンセントがあればよいのかを考えておくことも大切です。機材が増えれば、それだけ電源も多く必要になります。
 ヒマナイヌでは「IDEA」ブランドの「ICON SOCKET」を常に2セット持ち歩いています。このタップは円形の形状で4方向にコンセントが付いており、MacBookのような大きなACアダプターも、互いに干渉せずにつなぐことができます。

作業用回線にモバイル無線LANルーターとハブ

 電源の次に重要なのは通信回線です。会議室などでライブ中継をする際、会場で借りられる有線LANは、回線の帯域確保のため、中継用パソコンだけに占有させましょう。
 一方で、配信ページを開いて配信状態をチェックしたり、ソーシャルストリームに参加してツイートすることも必要ですが、こちらのためのパソコンは自前の別回線(モバイル無線LANルーターなどを用意)で接続するようにします。イー・モバイルの「Pocket WiFi」、UQ WiMAXの「WiMAX Speed Wi-Fi」シリーズ、NTTドコモの回線を利用する「ポータブルWi-Fi」など、各キャリアから製品が登場しています。
 なお、製品単体のバッテリーでは長時間の中継をまかなえないので、ACアダプターなどによる給電手段を用意しておきましょう。
 会場によってはWiMAXやイー・モバイルの電波が届きにくい場合もあります。そのような場合には、配信以外に利用するパソコンも会場の有線LANを利用します。複数のLANケーブルを借りられるとは限らないので、ネットワークハブを持っていると安心です。4ポート程度のハブならコンパクトなので、持ち歩いても負担になりません。

パソコンと同時に操作しやすい三脚

 映像制作においては、カメラと同じくらいにカメラを固定するための三脚が大切です。カメラを直接乗せる「雲台」と呼ばれる部分の安定性や、動かす際のスムーズさが、カメラワークに大きな影響を与えるためです。
 三脚は多数の製品がありますが、おおまかにいって、3万円以上の製品であれば安心して使えます。ただしUstreamの場合は製品選びのポイントが少し異なるので、注意してください。
 Ustreamでライブ中継をする際には、カメラマンが他の作業を兼ねる場合がほとんどです。チームを組むケースもありますが、1人でパソコンやカメラなど、すべての作業をする場合も考えて三脚を選ぶべきでしょう。
 そうした観点から考えると、カメラはパソコンの近くに置き、それを片手で操作できるようにするべきです。そこで重要になるのは、コンパクトさであったり、机の上に直接固定できるような形状であったりします。自分のスタイルに合わせてカメラをオペレートしやすい三脚を選びましょう。
 例えばNEPの「MS-5」というミニ三脚は、机の上に家庭用のビデオカメラを簡単に固定することができます。パソコンの作業をしながら片手でカメラを操作し、狙ったアングルにカメラを向けたりズームしたりできます。

機材の固定に欠かせない「シュアテープ」

 シュアテープは映像業界で広く使われているメンディングテープの一種で、「パーマセル(以前のブランド名)」と呼ばれることもあります。適度な接着力がありながら、跡を残さずはがせます。黒と白があり、黒は光を反射しないよう梨地に表面が加工されています。
 DVカメラを使う場合に、カメラの電源ケーブルやIEEE 1394ケーブルが万が一抜けてしまうと大変です。ケーブルはまず三脚などの足で一回転させ、誰かがケーブルに足をひっかけてもすぐには抜けないようにしてきます。さらにケーブルの根本などをシュアテープで貼り付けておくとよいでしょう。

大きな荷物を運ぶ4輪キャリーバッグ

 パソコンとWebカメラ程度の輸送なら普段使いのカバンでもまったく問題ありませんが、映像に凝ってカメラを2台にしたり、電源や音声などの延長ケーブルを用意したりしていると、荷物の量はどんどん増えていきます。
 そのような場合におすすめなのが、4輪キャリーです。2輪のキャリーもありますが、快適さが全然違います。2輪の場合はバッグの重量をある程度負担しながら引きずるのに対し、4輪は小さな力で滑らせるような感じです。階段など以外では運んでいるものの重量からまったく解放されるので、手ぶらで移動しているのに等しくなり、10キロ程度の機材でもまったく疲れません。ライブ中継用の機材を運ぶだけで体力を消耗してしまうようでは本末転倒です。
 特におすすめなのは、スワニーの4輪ウォーキングバッグシリーズです。独特のしなるハンドルがバッグの重心の中心に巧みに寄り添い、最小限の力で重いカバンを転がせます。デザインは海外のキャリーバッグに比べるとあか抜けませんが、その操作性の素晴らしさは特筆に値します。

高価だけど頼りになるビデオスイッチャー

 複数のカメラを切り替える場合に、ビデオスイッチャーを使うという手があります。ビデオスイッチャーとは、その名のとおり複数の映像入力を切り替えて出力するための装置です。切り替えのエフェクトや、合成ができる機種もあります。中継用ソフト側でもカメラの切り替えはできますが、パソコンの環境によっては、切り替え操作によって不安定になってしまうことがあります。ビデオスイッチャーで映像を切り替え、パソコンは純粋に配信だけを行うようにすると、こうした問題を避けられて安心です。
 ローランドの「V-4」「V-8」や「LVS-400」「LVS-800」などは、ライブ中継の現場で使われている代表的なビデオスイッチャーです。ローランドVシリーズは主に音楽イベントでのVJプレイ向けのシリーズ、LVSシリーズは放送局のビデオスイッチャーを簡易化して講演やライブ会場で使えるようにしたシリーズです。数字の4や8は入力可能な映像ソースの数を示しており、V-8やLVS-800はパソコンの信号も扱えることが特長となっています。ビデオスイッチャーは高価で荷物も多くなってしまいますが、映像の操作における信頼感が大幅に向上するため、おすすめです。

[ヒント]リモコン三脚も便利なアイテム

ソニーなどが、パン棒(雲台の下から突き出ている、カメラを動かすための棒)にリモコンを内蔵した三脚を発売しています。リモコン三脚を利用すると、ビデオカメラ本体にあるズームボタンに手を伸ばさなくてもズーム操作ができ、ライブ中継の現場ではとても助かります。ただし、同一メーカーでもリモコン操作に対応したカメラの機種が限定されていることがあるため、あらかじめよく確認してから購入しましょう。

[ヒント]あると役立つ変換ケーブル類

初めて利用する貸し会議室など、慣れない会場での中継には、音声や映像などの変換ケーブル/ジャック類を準備していると安心できます。キャノン端子とフォーン端子、フォーン端子の標準端子とミニ端子、映像であれば、アナログ映像をデジタルに変換してIEEE 1394向けに出力するアナログ- DV コンバーターも重宝します。カノープスの「ADVC-55 for Windows/Mac(実勢価格1万8千円前後)」が代表的です。