自宅や小さな部屋をスタジオ化しよう

 自宅や小さな貸し会議室などを利用してライブ中継を行う場合、1人ですべての操作を行うのか、2、3人程度での分業が可能なのかで、適切な機材が違ってきます。
 1人ですべてを行う場合は、ライブ中継中に操作をする必要がないWebカメラとヘッドセットを利用します。
 音をもっとよくするには、指向性の狭いUSB接続の外部マイクを利用しましょう。RODEのPODCASTERやBlueのYetiなどはラジオのスタジオにあるようなデザインなので、気分を盛り上げるのにも役立ちます。

人数が増えたらマイク→カメラの順に拡張しよう

 多人数での座談会などを行うには、人数に応じて機材を拡張する必要があります。考えかたとしては、まず音声関連を拡張し、それから映像関連の拡張を考えます。
 出演者が増えたときには、1人に1本ずつのマイクを用意するのが理想的です。マイクはハンディ型よりもヘッドセット型やタイピン型のほうが、全員の音声を安定して取り込めるようになり、おすすめです。マイクの本数を揃えるのが難しい場合は、全員の座る位置を調整し、同じ音量で声を取り込めるようにします。
 複数のマイクを使う場合は、ミキサーが必要になってきます。BEHRINGERの「XENYX X1204USB」など、USBでの出力に対応したミキサーを、マイクの本数に合わせて選ぶといいでしょう。
 次は映像関連の拡張です。対談ならば1人ずつの表情を捉える「A」「B」の2カメラ、もっと人数の多い座談会ならば全体を捉える「C」カメラを追加すると、変化のある映像が撮れます。
 中継作業を1人で行う場合はカメラが複数でもすべて固定にします。カメラマンとスイッチャー(カメラの切り替えやパソコンの操作担当)を分業できる場合は、メインとなるカメラにカメラマンを付けるといいでしょう。

チームでの分業体制を決めよう

 機材が増えてくると、1人ですべてを操作することは難しくなります。数人のライブ中継チームを組んでの分業を考えましょう。その場合の体制作りについて、人数別に解説します。

0.2人チームの場合:中継と集客で分業

 2人チームの場合は、中継担当と集客担当に分けます。中継する人は音声とカメラを担当。自分が話す場合は自分にカメラを向け、被写体がある場合はそちらにカメラを向けます。
 集客担当はソーシャルストリームで番組の解説を行います。いわばデジタルファシリテーターです。デジタルファシリテーターの役目は、中継の内容をツイートしていくことと、まだこのライブ中継を知らない人に向けて、興味を持ってもらうようなツイートをすることです。リアルタイムに要約する編集力と、人の興味をかき立てるコピーライティングの力が必要になります。

0.3人チームの場合:音声と映像を分業

 3人チームの場合は、中継担当を音声と映像それぞれに分けることができます。その際には複数の人間が1つの中継用ソフトを操作することは困難ですから、音声用のミキサーやビデオスイッチャーを利用することになります。
 音声担当はテレビやラジオ番組制作の「ミキサー」と同じ役割となり、声のバランスに耳を澄ましながら調整を行います。
 映像担当は、視聴ユーザーが見たいと感じるであろう映像を作ります。登場人物が複数いる場合は話しているほうを狙います。Ustreamは小さな画面で見ることが多いメディアですから、全体チームでの分業体制を決めよう135を捉える映像はときどき使う程度にし、メインは人の表情がわかるようなアップのものを使いましょう。

[ヒント]ディレクターを加えて番組の流れを作ろう

3人チームでは音声と映像は1人が担当したままで、ディレクター的な役割をプラスすることも考えられます。ディレクターは、どの方向(ディレクション)にライブ中継を持って行くのかを示す指令塔です。ソーシャルストリームから寄せられるコメントをピックアップして出演者にフィードバックしたり、カメラが映している範囲の外から、出演者に「話題変えて」とか「その話そのまま続けて」などと指示を出します。ソーシャルストリームの空気を読みながら、視聴者が求めている流れを作っていく役割となります。