ちょっとしたアイデアで新鮮な番組を
Ustreamの番組は、誰かが出演し、話したり歌ったりしているところをライブ中継するのが基本的なスタイルです。しかし、アイデアと中継用ソフトの使いかたしだいで、ひと味違った、ユニークな番組を作ることもできます。ここでは、そうしたアイデアを少し紹介します。
写真を使ってスライドショー+トーク
ライブ映像は使わず、写真のスライドショー+トーク(音声)、というライブ中継のスタイルもあります。
高級なDVカメラを使っても、家庭用の製品では映像のクオリティに限界があり、プロ用の機材で撮影したような画質にはなりません。しかしデジタル一眼レフカメラを利用すれば、ボケ味を活かして深みのある写真を撮ることができます。このスライドショーを利用して、ぜいたくな画質の番組を作ってみましょう。
せっかくのUstreamだから撮影した写真をすぐにライブ中継したい、というときには、無線LANを内蔵したSDカード「Eye-Fiカード」を利用しましょう。Eye-Fiカードの設定をあらかじめ済ませておくと、無線LANを利用して、撮影した写真を自動的にパソコンやWebの写真共有サービスにアップロードします。
Windowsパソコンでは「Windows Liveフォトギャラリー」などのソフトでスライドショーを実行できます。また「Picasaウェブアルバム(http://picasaweb.google.co.jp/)」などの写真共有サービスは、アップロードした写真をスライドショー化できます。
画面が単調になりがちな講演会や座談会などで複数のビデオカメラを用意できない場合にも、こうした手法で写真を組み合わせるのは効果的です。固定のビデオカメラからは捉えられないような出演者の表情や会場の臨場感を一眼レフカメラで捉え、適宜切り替えて見せていくのです。
録画した動画を紹介しながら進行する番組
録画した動画をメインにしても、ライブの魅力を活かすことができます。ライブであることの醍醐味は、ソーシャルストリームを通じて、中継ユーザーと視聴ユーザーのコミュニケーションが成立することにあります。番組の内容すべてが、必ずしもライブである必要はありません。
例えば海外旅行に行ってきてたくさんの動画や写真を撮ってきたとします。これを素材として中継する場合、ソーシャルストリームの反応を見ながら見せる写真や動画を選んでいくことができます。デジタルデータだけではなく、現地から持ち帰ったエアチケットさまざまなカタログ、おみやげなどをその場でカメラに映して見せながら話すのもいいでしょう。視聴ユーザーに親近感を持ってもらえるはずです。
身近なものを24時間ライブ中継する
自分の日常は当たり前すぎて、それをライブ中継しても誰も視聴してくれないのでは? と思いがちですが、それは違います。庭先の家庭菜園の様子や、自宅前の田んぼで合唱するカエルの声などをライブ中継してみると、思わぬ反応が得られることがあります。
海や森の近くに住んでいる人は、窓から見える自然をライブ中継してみましょう。できれば高音質なマイクを使って。きっと人工音ばかりに囲まれた都会のユーザーが、癒しを求めて視聴してくれるでしょう。こうした「ライブカメラ」は昔からありますが、Ustreamの登場によって、より気軽にできるようになりました。
USBでパソコンに接続できる顕微鏡や天体望遠鏡を利用し、その画面をスクリーンキャストすることで、ミクロの世界や宇宙をライブ中継することもできます。常時ライブ中継用に利用できるパソコンがある場合は科学実験のようにずっと中継し続けるのもいいでしょう。テレビ番組のようにどこかで始まってどこかで終わるのではなく、ずっと流れている中継もできるのが、このメディアの自由でおもしろいところです。
[ヒント]デジタル一眼レフカメラのユーティリティソフトでライブ中継
「EOS Kiss X4」などキヤノンのデジタル一眼レフカメラは、付属ソフト「EOS Utility」によって、ライブビューをパソコンから制御できます。このライブビュー映像をスクリーンキャストすれば、一眼レフカメラを通した動画の中継が可能になります。設定は複雑ですが、ビデオカメラ以上の画質が期待できます。
[ヒント]顔を出さなくてもライブ中継はできる
Ustreamというとテレビのように顔を出して話さないといけないのでは? という先入観を持たれがちです。しかし実際には、自分の顔を出さなくてもいろいろな中継ができます。例えば料理中の鍋やネイルを塗っている指先を中継しながら今日あったことをつぶやく、というライブ中継のスタイルもあります。テレビ番組を見慣れていると、このように一部を隠した「引き算」の手法で作られた番組は、かえって気になるものです。見えそうで見えないというような状況は、人の想像力に訴えかけます。