番組に出演者のパーソナリティがそのまま出る

 いくつものUstreamの番組を視聴していると、短時間で視聴をやめたくなる番組と、最後までずっと視聴してしまう番組があることに気づきます。自分の番組も最後まで視聴してもらいたいものですが、最後まで視聴してしまう番組には、どのような共通点が考えられるでしょうか?
 有名人が出演しているような番組を除けば、最後まで視聴する番組は、出演者のパーソナリティ(人柄)に惹かれていることが多いです。特に、プライベートな雰囲気の番組では、そうした傾向が顕著です。番組はその人が作り出す空間であり、バーやラウンジ、カフェのような場所だと捉えられます。
 心地よい空気が流れていると、人はその空間に長くいたいと感じます。Ustreamは映像メディアだと思われがちですが、実は空間メディアなのです。

気軽さと、出演者と視聴ユーザーとの距離感の近さがUstreamの特徴。自分の部屋でライブ中継をすれば、友達を呼んで部屋で話しているような雰囲気の番組になります

Ustreamに合った自分の語り口を見つけよう

 Ustreamの番組では、いかに出演者のパーソナリティをUstreamというメディアに合わせて表現するかがポイントとなります。
 テレビ番組とラジオ番組での、語り口の違いを考えてみましょう。テレビ番組は、多くの人々に向けて解説したり説明したりするような語り口のものが主流です。テレビの画面の中には大きな空間があり、その中に司会役や解説役の出演者がいて、シナリオ(台本)に沿って番組が進行します。こうしたスタイルでは、ソーシャルストリームとの一体感を作りにくいという難点があります。たくさんのユーザーを巻き込むことをめざすには、あまり向かないスタイルだといえるでしょう。
 一方でラジオ番組は、小さなスタジオに出演者がいて、リスナーのひとりひとりに向かって話しかけるような語り口です。車の中やヘッドホンなど個人的な空間でラジオ番組を聴いていると、不思議なことに自分に直接話しかけてくれているように感じられます。
 そのときに、自分の投稿したハガキが読まれて名前が呼ばれたり、質問への回答をされたりしたら、親近感は一気に高まります。Ustreamではソーシャルストリームのツイートとコミュニケーションをすることが、これに当たります。このときの語り口は、特に重要だといえます。
 Ustreamはラジオに近い感覚のメディアですが、ラジオとは異なる点もあります。新しいメディアなので「この語り口が正解」といえるものはありませんが、研究しながら、自分のパーソナリティをうまく表現できる語り口を見つけてください。
 次に、Ustreamでの3つの語り口のスタイルを紹介します。ソーシャルストリームに寄せられるツイートをどのように取り上げ、コミュニケーションしていくかに、違いが現れます。

ユーザー名とツイートを読み上げるスタイル

 ラジオ番組では、投稿者の住所やラジオネームを読んでから、投稿内容を紹介するのが一般的です。Ustreamでもソーシャルストリームからユーザー名を読み上げてツイートを紹介するのがいいのですが、ラジオネームと違ってTwitterのユーザー名は、読めないことも多いのが問題です。
 ここで読みかたを考えていると番組の進行が止まってしまうので、ユーザー名を読み上げるより「犬のアイコンのかたからです」などソーシャルストリームの全員が見ているアイコンの外観を端的に表現するのもよいでしょう。

ツイートだけを読み上げるスタイル

 ラジオ番組への投稿ハガキは選ばれたものだけが読まれますが、ソーシャルストリームは、選ばれる前に視聴ユーザー全員が読んでいます。それを前提として、ユーザー名は省略し、ツイートだけを読み上げていくスタイルもあります。
 ここで気を付けるのは、話が散漫にならないようにすることです。全体の文脈としては一定の方向にきちんと向かうことを意識しながら、友達との会話のように話していくとよいでしょう。

個々のツイートは読まずに進めるスタイル

 Ustreamによるライブ中継やソーシャルストリームのツイートはリアルタイムだといわれますが、実際には多少のタイムラグがあります。そのタイムラグが積み重なると、話の前後関係が崩れて文脈がわからなくなってしまうことがあります。そうしたときに、すべてのツイートから大勢のユーザーがいいたいことを読み取り、それに対して回答するのが、このスタイルです。
 ソーシャルストリームの流れを鳥瞰的に把握する必要があるのではじめは難しいですが、慣れてくると、だんだんできるようになってきます。このスキルを身に付けると大量のツイートにも対応できるようになります。

[ヒント]他の番組を視聴しながら研究しよう

語り口を研究するには、他のユーザーの番組をたくさん視聴することが有用です。話を聞き、ソーシャルストリームを見ながら「ここで自分だったらどう対応するかな?」とシミュレーションをしてみると、よいトレーニングになります。

[ヒント]「ソーシャルストリームを見ている」ことを視覚的に知らせよう

他のユーザーのライブ中継を視聴しているときに、ソーシャルストリームにたくさんのコメントが寄せられているにも関わらず、出演者がそれを意識していないと、冷たくされたような印象を受ける場合があります。きめ細かい対応をすることが難しい場合でも、出演者の手元にパソコンやiPadを置くなどしてソーシャルストリームを表示しておき、「見ているよ」ということを伝えるだけで、視聴しているユーザーは安心してツイートしてくれます。

イベント会場のスクリーンに「TweetBubbles」を利用して、ソーシャルストリームと同じツイートを表示。参加者にソーシャルストリームの説明をすると同時に、視聴ユーザーにみんなが読んでいることを知らせます