納める税金の一部を寄付して、返礼品がもらえる

ふるさと納税とは、地方活性化のために、出身地やゆかりのある地など、自分が住んでいる以外の自治体へ税金の一部を寄付の形で納められる制度です。

例えば、地方出身で東京在住の人は、通常だと住民税を東京に納めます。しかし、ふるさと納税を使うことで、出身の町に、自分の税金に相当するいくらかを収めることができるのです。ふるさと納税で納めた金額は、一部の自己負担分と上限を超えた場合の金額を除いて税金から控除(減額)されます。そのため、納める税金の総額は、ほぼ変わりません。

ふるさと納税が話題になっているのは、自治体が送ってくれる返礼品がきわめて豪華なためです。例えば1万円のふるさと納税に対し、3,000円~4,000円前後の特産品(例えば名産のお肉)が提供されることも珍しくありません。単純に言えば納付する税金の総額は(ほぼ)変わらずにおいしいお肉が手に入るのですから、非常にお得です。

▼詳しくは、総務省のサイトも参照してください
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|よくわかる!ふるさと納税

ふるさと納税に関する基本的な情報は、総務省のサイトにまとまっています。
総務省 ふるさと納税ポータルサイト

筆者は、2011年に初めてふるさと納税を利用しました。東日本大震災のあと少し縁があった福島県南相馬市に寄付を行ったのですが、当時はふるさと納税を便利にする仕組みがあまり整っておらず、市役所に問い合わせて書類を送ってもらう必要がありました。そのときは返礼品として、同市のお祭り「相馬野馬追」の観覧券数枚をいただきました。

しかし、豪華な返礼品が当たり前となった現在、南相馬市のサイトを確認すると、味噌、ベーコン、醤油など当時よりも豪華な特産品がもらえるようになっているようです。また仕組みも整備されており、Webのふるさと納税サイトを通して簡単に、オンラインショッピング感覚で利用できるようになっています。

豪華すぎる返礼品は本来の趣旨を曲げてしまう等の批判もあり、抑制しようとする動きもあります。が、現在この制度は広く利用されており、利用するなら今! というタイミングでもあります。ふるさと納税が気になる人、利用してみたい人は、まず次の4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. ふるさと納税の利用は年末が最適
  2. ふるさと納税できる上限額を確認する
  3. 手軽に使えるワンストップ特例制度を知る
  4. ふるさと納税サイトを選ぶ

1.ふるさと納税の利用は年末が最適

ふるさと納税を2017年(平成29年)のうちに行うことで、2018年に納める税金(2017年の所得税、住民税)の控除の対象になります。そのため、年末はふるさと納税に絶好のタイミングだと言えます。

2.ふるさと納税できる上限額を確認する

ふるさと納税額の総額から自己負担分としての2,000円を引いた金額が、所得税の寄付金控除の対象となって、所得税から減額されます(さらに住民税の減額の対象にもなります)。ただし控除の対象となる金額には上限があり、サラリーマンの場合、大まかには年収と家族構成により変わります。

上限を正確に計算するには、税理士に尋ねるか、自分で勉強して計算するかする必要がありますが、総務省のサイトに簡単に目安を調べられる資料が公開されているので、通常はこちらを参考にするといいでしょう。

ふるさと納税サイトでも、この資料をもとにした上限額(控除金額)シミュレーターが提供されています。

▼全額控除されるふるさと納税額の資料
全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安(PDF)

例えば年収400万円の独身者または夫婦共働きの家庭では、42,000円が上限額の目安とされています。一般的に10,000円で1口のふるさと納税ができ、返礼品を受け取れるので、おいしいお肉などの返礼品を4個もらえると考えられます。

3.手軽に使えるワンストップ特例制度を知る

ふるさと納税による所得税の控除を受けるには、サラリーマンでも確定申告をする必要があります。しかし、2015年から、年間のふるさと納税対象が5団体以内であれば、確定申告を不要にできる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設されました。

これで、より手軽にふるさと納税ができるようになりました。必要な手続きは、大手のふるさと納税サイトで解説されているので、詳しくはサイトの説明を確認しましょう(書類の提出が必要なので、確定申告を行った方が簡単な場合もあります)。

4.ふるさと納税サイトを選ぶ

全国のふるさと納税を行っている自治体や返礼品を紹介し、手続きを代行してくれるふるさと納税サイトがあります。上限額の範囲でふるさと納税先を選び、手続きをしたら。あとは返礼品が届くのを待つだけです。

ここでは、代表的な3つのサイトを紹介します。サービスの内容に大きな差はありませんが、目的の返礼品や自治体がある場合はそれが掲載されているか、知りたい情報が探しやすいかを基準に選ぶといいでしょう。

●ふるさとチョイス

「掲載品数No.1」を謳う最大手のふるさと納税サイトで、情報量はピカイチ。返礼品(お礼の品)や自治体(地域)だけでなく、自治体が発表しているふるさと納税の用途(使い道)から検索できるなど、機能も充実しています。
ふるさとチョイス

●さとふる

ふるさとチョイスよりはすっきりとした作りで、見やすいサイト。レビューが非常に充実しており、ユーザーのレビューを参考に返礼品を選びたい人に適しています。
さとふる

●楽天ふるさと納税

「楽天市場」のふるさと納税サイトで、共通の楽天IDを利用できるのが特徴。返礼品や自治体のほか用途、金額といった条件での絞り込みもでき、レビューも充実。楽天市場感覚で利用できます。
楽天ふるさと納税

何らかの「目的」を決めて活用したい

ふるさと納税はWebからおどろくほど手軽に利用でき、節税にもなる制度です。もともとの趣旨を考えれば「お得、節税」だけでなく、もう少し社会的な意義も考えて使う方がいいのでは、という気もします。が、「今まで知らなかったおいしい肉に出会いたい!」も、その地域との縁を作るきっかけにもなりうる、悪くない目的ではないでしょうか。

ふるさと納税は全国の多くの自治体が実施しており、返礼品を絞り込むのも意外と大変です。「自分の出身都道府県から選ぶ」とか「災害の被災地域にしよう」など、自分なりの絞り込みの基準を決めておくのもいいでしょう。