日本では見つけられない「トロピウス」が出現
神奈川県横須賀市で、2018年8月29日~9月2日の5日間「Pokémon GO Safari Zone in YOKOSUKA」が開催されます。このイベントは、通常だと日本では見つけられない「トロピウス」などのめずらしいポケモンと出会えるイベントとして、2018年7月に募集を開始。抽選で参加可能なプレイヤーが決定しました(すでに募集は終了しています)。
イベントの参加者は、Pokémon GOを運営しているNianticの広報によると5日間でおよそ10万人を見込んでいるとのこと。横須賀市への2016年9月の観光客が、およそ61万人(市が公開している資料による)。単純平均で1日あたり2万人と考えれば、市にとって期間中は観光客数が倍増するぐらいのインパクトのある人数となります。
一方で、Pokémon GOは2016年7月の国内サービス開始からわずか3日間で1,000万ダウンロードを超えた(国内のみ)という推計もありました。今回の応募総数は公開されていませんが、かなりの狭き門だったと想像されます。
会場となっているヴェルニー公園の入り口に掲示されているパネル。全体の地図や注意事項がまとめられています。
これがトロピウス。南国のフルーツをモチーフにしたポケモンで、日本では出会うことができません。ジムに配置されているのを見る機会もほとんどありません。
オープニングセレモニーにピカ&ブイも登場!
初日である8月29日は、JR横須賀駅にほど近いヴェルニー公園でオープニングセレモニーが行われました。市長の上地克明氏が「ポケモンをゲットしたあとは横須賀の魅力、自然やおいしいものもゲットしてください」と挨拶。その後、横浜で行われていた「ピカチュウ大量発生チュウ!」でも活躍していたピカチュウとイーブイが登場しました。
ちょうど背後の港には南極観測船「しらせ」と自衛隊の護衛艦「いずも」が停泊しており、豪華なオープニングセレモニーとなりました。
上地横須賀市長とピカチュウ&イーブイ。
ヴェルニー公園に設置されたチームリーダー3人のパネルの後ろに見えるのが護衛艦「いずも」。右に見えるオレンジ色の船が南極観測船「しらせ」。なかなか見られない光景とのことです。
公園をトロピウスたちが埋め尽くす
イベントは毎日10:00~20:00の開催。時刻になると会場のポケストップにチェックイン用のマークが出現するので、当選したユーザーはポケストップのディスクを回して、受け取っていたコードを入力するか、二次元バーコードをスキャンするかしてイベントにチェックインします。
チェックインが完了すると、周囲の様子が一瞬で変わります。公園をトロピウスほかアンノーン、ナマケロなどふだん目にする機会が少ないレアポケモンが埋め尽くし、すべてを捕まえていたらいつまで経っても前に進めないほど!
同時に、ウィロー博士からのメッセージが届き、特別なスペシャルリサーチも始まります。めずらしいポケモンが手に入るだけでなく、こうしたゲーム内のイベントまであるのは、トレーナーとして非常にうれしいところです。
チェックイン用のポケストップが表示されたところ。
チェックインが完了するとメダルも入手できます。
さっそく頭上にトロピウスが!!
ウィロー博士から調査(スペシャルリサーチ)を依頼されます。「サファリゾーン」とは、ビデオゲーム版の初代ポケモンからあるポケモンを捕まえ放題の施設にちなんだネーミング。
リサーチの内容はこのようなもの。ポケストップを3個回してスーパーふかそうちを受け取り、タマゴを3個かえすまで歩き回りながらダンバル、ラルトス、ナマケロをつかまえます。
幅広い年齢層の参加者。ポケモン世界大会経験者も
幸いにも(?)暑すぎない薄曇りとなった8月29日の横須賀では、ベビーカーを押した家族連れから60~70代とみられる高齢者まで幅広い人たちが参加していました。その中でも平日、そして大学は夏休み期間ということもあって、若い人が目立った印象です。
会場で話を伺ったある家族連れは、サービス開始日からマイペースでプレイしており、今回も家族で参加したとのこと。「マイペースに楽しんでいる」ということでしたが、家族おそろいのポケモン世界大会(毎年アメリカで開催されるワールドチャンピオンシップス)限定のTシャツからは、只者ではない雰囲気が。お子さんがポケモンカードで世界大会に出場した経験があるとのことでした。
会場の公園内にはPokémon GOと連携している伊藤園の自動販売機も(写真は点検中)
交通・通信インフラを考慮して抽選制に
昨年(2017年)には横浜と鳥取で、トロピウスと同様に日本では出会ないポケモン「バリヤード」が登場するイベントがありました。同じ地域限定のイベントなのに、なぜ今回は抽選制なのかと疑問を持ったユーザーも多いでしょう。
三浦半島の先端に位置する横須賀市では横浜ほど交通インフラのキャパシティがないことや、通信回線の状況も考慮して、抽選制に決定したとのこと。すべてのトレーナーが参加できないことは残念ですが、8月29日の様子を見る限りでは電車や道路、公園内がパンクすることなく、住民の方々に大きな迷惑をかけることもなくイベントが進行している様子でした。
では、なぜ横須賀市でこのようなイベントが行われることになったのでしょうか? 横須賀市ではNianticの第1作「Ingress」のときから連携してきた関係とノウハウがあります。Pokémon GOのサービス開始時にも「ヨコスカGO宣言」を発表し、自治体としていち早く連携を行いました。
こうした経緯から、今回のイベントも決定したようです。横須賀市ではイベント会場となっている公園だけでなく、メインストリートである「どぶ板通り」で連携企画を行なったり、参加者にグルメガイドを提供したりと、地域ぐるみでの取り組みが行われています。横須賀市の観光課のスタッフは、IngressもPokémon GOも実際にプレイし、かなりのレベルであるそうです。
会場周辺には3キャリアの移動基地車両も待機しており、電波状況は良好です。
ソフトバンクのWi-Fiスポットも。
記念艦「三笠」の甲板から見た三笠公園の様子。けっこう余裕があり、歩きやすい環境です。
ほかの自治体にもトロピウスがやってくる!?
横須賀市と同様に積極的に連携イベントに取り組む自治体があれば、ほかの地域にトロピウスがやって来ることも、あり得ない話ではないでしょう。
NianticではPokémon GOなど「リアルワールドゲーム」を「人を外に連れ出すゲーム」と捉えており、イベントの企画も世界中で積極的に行っています。ただ、まったく新しいタイプのゲームということもあり、イベントに関してはまだ歴史が浅く、横須賀市ほど積極的に連携し、ノウハウを持っている開催地(自治体)はなかなかないのが現状のようです。
今回、「Pokémon GO Safari Zone in YOKOSUKA」に当選した人たちが横須賀で大いにPokémon GOを楽しみ、地元にもプラス効果があるイベントとなる実績ができることで、ほかの地域でも同様のイベントが行われる可能性が高くなるはずです。横須賀でのPokémon GO、そして横須賀ならではの景色やおいしいものを多くの参加者が体験し、楽しい経験として共有してほしいものです。
どぶ板通りなど市内各所に、これまでの起動画面のビジュアルを使った特別なポケストップがあります。
どぶ板通りや会場である公園内など、市内各地に飾られているバナー。
対象の店舗で買い物をするとステッカーがもらえる企画もあります。特別なポケストップやこうしたお買い物企画など、イベント当選者でなくても楽しめる仕掛けも多数用意されています。
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