住んでいる地域をよく知るきっかけに
2019年10月の台風19号により、日本各地で水害による多大な被害が発生しました。自治体が発表する「ハザードマップ」を確認するなど、防災の大切さをあらためて感じている人も多いと思います。
このハザードマップとあわせて、ネットで話題になっているサービスに「今昔マップ on the web」(以下、今昔マップ)があります。今昔マップは埼玉大学教育学部の谷謙二氏が公開しているWeb上の地図で、国土地理院のデータを基にした古地図と現在の地図を並べて比較できるようになっています。
左が古地図、右が現在の地図です。いずれかの地図を移動、または拡大・縮小すると、もう一方も連動して動きます。
今昔マップ on the web (C)谷 謙二
例えば、現在では川や海から離れている土地であっても、以前はもっと近かった、ということが、今昔マップを使えばひと目で分かります。自分が住んでいる地域の経歴を、地図を通して知ることができるわけです。
これから引っ越しをしたり、新居を購入したりする予定がある人は、駅までの距離や商業施設の有無だけでなく、今昔マップの情報を判断基準に加えるのもいいでしょう。使い方の一例を以下に紹介するので、参考にしてください。
地域を検索して新旧の地図を比較する
今昔マップでは、首都圏の場合、1896~2005年の期間で古地図を切り替えることができます。表示位置の移動、拡大・縮小といった操作は、Googleマップなど通常の地図サービスと同じ感覚です。
ここでは例として、2019年10月の台風19号で浸水の被害が発生した二子玉川駅周辺の地図を見てみます。
1地図を表示する
「今昔マップ on the web」にアクセスして、[首都圏]をクリックします。
2地域を検索する
画面上部の検索ボックスに地名を入力して、[検索]ボタンをクリックします。ここでは「二子玉川」と入力しました。
3古地図を切り替える
二子玉川駅周辺の地図が表示されました。左の古地図は[1896~1909年]のもので、当時の駅周辺は河原の田畑だったことが分かります。[1944~1954年]のラジオボタンをクリックして、古地図の年代を切り替えてみましょう。
3古地図の年代が切り替わった
左の古地図が[1944~1954年]のものに切り替わりました。田畑が区画整理され、電車が通っていることが分かります。
新旧の地図を重ねて表示する
今度は、新旧の地図を重ねて表示してみましょう。埋め立てられた場所や、昔はなかった道路などを確認するのに便利です。
1新旧の地図を重ねる
画面左上にある[1]のラジオボタンをクリックします。
2古地図の透明度を設定する
古地図が前面に表示されます。[地図不透明度]のリストから透明度を指定すると、古地図の下に現在の地図が透けるように表示されます。
傾斜量図を重ねて表示する
地表面の傾きの量を濃淡で表現した「傾斜量図」を重ねて表示することも可能です。その地域が高台なのか、低地なのかを判断できます。
1現在の地図を表示する
画面左上の[1]のラジオボタンをクリックして、[地理院地図]を選択します。現在の地図が表示されている状態です。
2地理院タイルを指定する
[重ねる地理院タイル]のリストから[傾斜量図]を選択します。続けて[不透明度]を指定すれば、現在の地図に傾斜量図が重なった状態で表示されます。
今昔マップをスマートフォンで利用する
ここまではパソコンの画面で解説しましたが、今昔マップはスマートフォンでも使えます。以下はiPhone XSでの画面です。
1メニューを非表示にする
「今昔マップ on the web」にスマートフォンでアクセスしました。古地図と現在の地図が、上下に分割される形で表示されています。地図をもっと大きく表示するには、左側のメニュー内にある[<]ボタンをタップしましょう。
1メニューを非表示にする
メニューが非表示になり、地図を大きく表示できました。左上の[>]ボタンをタップすれば元に戻ります。メニュー内での操作はパソコンの場合と同じです。
古地図を参照することで、その土地に昔、何があったのかが分かります。ハザードマップとあわせて確認することで、水害の発生しやすさ、地震での揺れやすさ、土砂災害の危険度などの根拠を知る手がかりになるでしょう。