土地について学べるWeb地図の決定版
台風や大雨による水害が続いたことで、自分や家族が住んでいる地域など、土地について学べるサイトに注目が集まっています。
古地図と現在の地図を比較できる「今昔マップ on the web」(本記事末尾にて紹介)がその代表例ですが、日本人としてもう1つ、ぜひとも見ておきたいサイトがあります。国土交通省・国土地理院が提供する「地理院地図」です。
地理院地図では、通常の地図情報はもちろん、標高、地形分類、写真、災害情報など、日本の国土に関するあらゆる情報を調べられます。まさにWeb地図の決定版といえるもので、気になる土地を知るうえで、最適な情報源となることは間違いありません。
ここでは次の5つの使い方を例に、地理院地図の操作方法と「すごさ」を解説していきます。パソコンの画面を例にしますが、スマートフォンやタブレットでも閲覧可能です。
INDEX
- 特定地点の標高を調べる
- 標高図を表示する
- 地形分類を表示する
- 令和元年台風19号の写真を表示する
- 自然災害伝承碑を表示する
特定地点の標高を調べる
まずは土地の標高を調べてみましょう。ここでは住所を検索して標高を表示します。
1住所を検索する
地理院地図にアクセスし、画面上部にある検索ボックスに住所を入力して[Enter]キーを押します。該当する住所をクリックすると、その地点が中央に表示されます。
2地図を拡大する
地図が小さいので拡大したところです。画面左下の[+][ー]ボタン、またはマウスホイールで拡大・縮小できます。地図をドラッグすればスクロールします。こうした基本操作はGoogleマップなどと同じです。
3標高を確認する
中央の十字線がある地点の標高は、地図の左下に表示されています。画面下部のトレイをクリックすると、緯度・経度なども表示されます。再度クリックするとトレイが非表示になり、さらにクリックすると標高のみの表示に戻ります。
標高図を表示する
次は標高図を表示してみましょう。ピンポイントではなく、エリアごとの標高の高低を理解できます。
4[情報リスト]ウィンドウを表示する
地図を縮小し、東京23区のほぼ全域を見渡せるようにしました。画面左上にある[情報]をクリックします。
5[起伏を示した地図]の情報一覧を表示する
[情報リスト]ウィンドウで[起伏を示した地図]をクリックします。
6[色別標高図]を表示する
さらに[色別標高図]をクリックすると、地図が標高ごとに色分けされます。[情報リスト]ウィンドウが邪魔なので、[×]をクリックして閉じましょう。
7標高図を確認する
ハザードマップが話題になった江戸川区のほか、江東区、墨田区、葛飾区の、特に荒川沿いのエリアが低地となっていることが分かります。画面左下にある[選択中の情報]ウィンドウで[色別標高図]のゴミ箱アイコンをクリックすると、通常の地図に戻ります。
地形分類を表示する
続いて、エリアごとの地形分類を調べてみましょう。地形分類について、Wikipediaでは以下のように説明されています。
地形分類とは、土地の性質や成り立ちを把握するために、地表の形(地形)を何らかの基準によって同じ性質のものに分割・類別することをいう。主な分類基準として、形態、成因、構成物質(土質・地質)、形成時代がある。地域の適正な土地利用や国土開発、防災計画、ハザードマップなどに先立つ基礎資料として、各種の地形分類図が作成されている。
8[土地の特徴を示した地図]の情報一覧を表示する
地図を拡大し、再び東京・神保町付近にズームインしました。[情報]をクリックし、[土地の特徴を示した地図]をクリックします。
9[地形分類(自然地形)]を表示する
さらに[地形分類(ベクトルタイル提供実験)]→[地形分類(自然地形)]の順にクリックします。地図が地形分類ごとに色分けされました。この色分けは、ある程度地図を拡大していないと表示されません。
10地形分類を確認する
秋葉原駅周辺の緑のエリアをクリックすると、「氾濫平野」という地形分類にあたることが分かります。中央区・江東区の薄いグレーは「旧水部」、千代田区以西に多いオレンジは「台地・段丘」という分類です。同じくゴミ箱アイコンをクリックすると、通常の地図に戻ります。
令和元年台風19号の写真を表示する
2019年10月に上陸した台風19号で被害があった地域について、いくつかの画像データが提供されています。これを地図上に重ねて表示してみましょう。
11[令和元年台風第19号]の情報一覧を表示する
台風19号で浸水被害があった、二子玉川駅周辺を表示しました。[情報]をクリックし、[令和元年台風第19号]をクリックします。
12被害があった場所の航空写真を表示する
さらに[正射画像]→[多摩川地区(東京都大田区、世田谷区、~)]→[多摩川地区(10/13撮影)]の順にクリックします。地図上に当時の多摩川の航空写真が表示されました。ただ、これでは通常の地図との違いがよく分かりません。
13写真の透明度を調整する
画面左下にある[選択中の情報]ウィンドウをクリックしてアクティブにし、[多摩川地区(10/13撮影)]の[透過率]をクリックします。
14当時の写真と通常の地図との違いを確認する
スライダーをドラッグし、透過率を20%に調整しました。すると、航空写真の下に通常の地図が透けて見え、当時は河川敷のかなりの範囲が水没していたことが分かります。この写真では、上流は秋川駅付近、下流は武蔵小杉駅付近まで収められています。同じくゴミ箱アイコンをクリックすると、通常の地図に戻ります。
自然災害伝承碑を表示する
最後に、日本各地に残る「自然災害伝承碑」について調べてみましょう。自然災害伝承碑について、Wikipediaでは以下のように説明されています。
自然災害伝承碑とは、地震、津波、噴火、火災、事故といった大規模な災害の実情を後世に伝え残すために、教訓として作られた記念碑である。全国に存在するが、津波被害の多かった三陸海岸に特に多く津波記念碑のみで約200基が存在する。
地理院地図では、2019年6月から自然災害伝承碑の掲載が開始されました。その取り組みの意義は、国土地理院の以下のページで紹介されています。
自然災害伝承碑|国土地理院15[自然災害伝承碑]の情報一覧を表示する
ここでは東京・深川周辺の自然災害伝承碑を調べてみます。[情報]をクリックし、[自然災害伝承碑]をクリックします。
16[情報リスト]ウィンドウを閉じる
[すべて]をクリックすると、地図上に自然災害伝承碑のアイコンが表示されました。ただ、地図の色に溶け込んでやや見にくい状態です。[情報リスト]ウィンドウを閉じ、調整しましょう。
17[標準地図]をグレースケールに変更する
[選択中の情報]ウィンドウをアクティブにし、[標準地図]の[グレースケール]をオンにします。通常の地図が白黒になり、自然災害伝承碑のアイコンが見やすくなりました。
18自然災害伝承碑の詳細を確認する
門前仲町駅・越中島駅の近くにあるアイコンをクリックすると、「波除碑」(なみよけひ)が表示されました。詳細を見るため画像をクリックします。
江戸時代にこの地域を襲った高潮の恐ろしさを伝える碑であることが分かります。地理院地図には2019年10月現在、42都道府県328基もの自然災害伝承碑が掲載されているとのことです。
以上、地理院地図のオススメの使い方を5つ紹介しました。いずれも「そうだったのか!」と驚きのある情報だったのではないでしょうか。ほかにも調べきれないほどの情報が掲載されているので、いろいろな操作を試してみてください。