複数のパソコン間でファイルを簡単に共有できる
Dropbox(ドロップボックス)は、インターネット上のサーバーにファイルを保存する「オンラインストレージ」と呼ばれるサービスの一種です。専用の管理画面を利用する一般的なオンラインストレージに対し、Dropboxでは、WindowsやMacの通常のファイルやフォルダとして操作ができるため、基本的な機能の利用においては、特別な操作を覚える必要がありません。
こうした手軽さ、そして、さまざまな場面で活用したいユーザーに対応する多機能さが受けて、世界で2500万人ものユーザー(2011年4月発表)が利用しています。本書では、この超人気サービスのさまざまな活用方法を解説します。
基本は簡単! すべて「ほったらかし」で自動同期
日常でDropboxを利用するとき、ユーザーは基本的に何もする必要がありません。というのも、通常どおりにパソコンを操作して、Dropbox用のフォルダ([Dropbox]フォルダ)にファイルを保存したり、[Drpobox]フォルダ内のファイルを編集したりするだけで、自動的にファイルの内容をサーバーと同期(新しいファイルや編集内容をサーバーに反映)してくれるためです。特別な操作はいっさい不要で、非常にシンプルです。
同時に別のパソコンでは、同期によって新しいファイルや編集内容をサーバーから自動的にダウンロードするので、最新のファイルが別のパソコンにも同じく保存される形になります。
僕は2台のMacを所有していて、自宅ではiMac、外出時にはMacBook Airを利用します。iMacで作業したファイルを[Dropbox]フォルダに保存しておけば、外に出てMacBook Air内の[Dropbox]フォルダを開いたときには、あら不思議! 自宅で作業していたファイルが手元にあり、作業を続けることができます。以前はUSBメモリーでファイルを持ち歩いていましたが、Dropboxの手軽さ、確実さを知ってしまったら、もうUSBメモリーには戻れません。
0.何もしなくても自動的にファイルが同期される
いちど使ったら手放せなくなる機能の数々
Dropboxは、僕にとってはパソコンの必須の機能となっています。まず、前述のように所有している複数のパソコンで最新のファイルを同期できることが便利で、これなしでの作業環境は、すでに考えられません。喫茶店などを移動しながら特定の場所にとらわれず作業をする、いわゆる「ノマドワーカー」には欠かせないサービスです。
また、共有機能もおおいに活用しています。以前に友達と共同でiPhoneアプリを開発したとき、各自が開発したプログラムのコードを、最初はインスタントメッセンジャーのファイル転送機能を使って集めていました。これがあまりにも辛い作業だったので、名前だけは知っていたDropboxを試してみたのが、そもそもDropboxを導入したきっかけでした。
お互いが作成したコードを共有フォルダに保存すれば後は自動的に共有されるという、Dropboxのありがたい共有機能のおかげで、作業環境は大幅に改善されました。このときからパソコンにDropboxがない状態は考えられなくなり、今ではさまざまなファイルの保存・同期に利用しています。
0.Dropboxはさまざまな用途に活用できる
iPhoneやiPad、Androidなどにも対応
Dropboxは、パソコンではWindows、Mac、Linuxの各環境に対応したソフトがあるほか、ブラウザーからも利用できます。また、iPhoneやiPad(iOS)、Android、BlackBerryのモバイルOS対応のアプリも提供されています。
これらによってパソコンやスマートフォンの間で、スムーズなファイルのやりとりが可能になり、Macで作成したファイルをiPhoneに表示して説明する、といった活用ができます。
また、Dropboxとの連携機能を持ったサービスやパソコン用ソフトやモバイル用アプリも多彩です。例えばDropboxのiPhoneアプリはファイルの編集機能を持っていませんが、「PlainText」というテキストエディターアプリを利用することで、編集が可能になります。
[ヒント]オフラインでも利用できる
Dropboxはインターネットに接続された(オンライン)環境を前提としたサービスですが、接続していない状態(オフライン)でも、問題なく利用できます。Dropboxは常にクラウド(インターネット上のサーバー)とローカル(パソコン内)の両方にファイルを保存するため、オフラインでもファイルを利用可能なのです。そして、オフラインでの編集内容は、次にオンラインになったときに自動的にサーバーに反映されます。そのため、場合によってはネットの利用できない場所で作業に集中するようなことも自在です。
[ヒント]何でも保存するのではなくリスクも考慮して利用しよう
Dropboxはサービスのセキュリティに関して、暗号化した通信(SSL)を利用し、ファイル自体も暗号化して、Amazonが提供する「Amazon S3」というストレージ(ファイル保管)サービスに保存している、そしてDropboxの従業員もユーザーのファイルを閲覧することは禁止されている、と安全性の高さを説明しています。しかし人間が開発したサービスなので100%安全だとは言い切れません。実際に、海外ではセキュリティホールの問題が話題になったこともあります。また、ユーザーの人為的ミスでアカウント情報が流出してしまえば、せっかくの高度なセキュリティも役に立ちません。便利なDropboxですが、全面的に依存して何でも保存してしまうのは避けたほうがいいでしょう。会社の規定に反して仕事で利用するファイルを保存したり、クレジットカード番号やパスワードなどの流出によって致命的な被害につながる情報を保存したり、といった使い方はやめておくべきです。