【Excel講師の仕事術】自己流のエクセル、卒業しませんか? この連載では、エクセルを操作するときの「ルール」を決めることで、ミスを減らして業務を効率化していく仕事術を解説します。
いつも使う関数はリスト化しておく
Excelの学習コストを抑えて本業を優先できる環境を作る
普段の業務に必要な関数は20個もない
みなさんは普段の業務において、いくつのExcel関数を使っていますか? 筆者の例を挙げると、以下のようになります。
- SUM SUMIF SUMIFS
- ROUNDUP ROUNDDOWN
- COUNTA COUNTIF
- IF IFERROR
- VLOOKUP
- LEFT MID RIGHT FIND LEN
毎日さまざまな業界でExcelを使い、10~20万行のデータを扱うこともある筆者でも、普段の業務で必要とする関数を挙げると15しかありません。おそらく、みなさんが働く現場でも、多くて20以内に収まるのではないでしょうか。
Excelには、2019年に登場した「UNIQUE」や「XLOOKUP」を含め、全部で480ほどの関数があります(Excel 2019の時点)。しかし、本当に必要なものは、ごくわずかです。みなさんはもちろん、みなさんの職場に新しく配属される転職者や新卒者の学習コストを抑えるため、いつも使う関数はリスト化し、それらさえマスターすれば業務に支障がない環境を作るようにしてください。
高校で学ぶ数学が「数学Ⅰ」と「数学A」に分かれているように、Excelで学ぶべきことは「操作」(オペレーション)と「関数」に大きく分かれます。そして、それぞれの学び方は大きく異なっており、それがExcelの難しさにつながっています。
「業務にはExcelスキルが必須」と言われると、いくつものテクニックや関数を覚えなければならない気持ちになりますが、そんなことはありません。そもそも、Excelを覚えることが、みなさんの本業ではないですよね。関数については、普段使うものだけで十分です。Excelの学習にかかる時間をなるべく短縮して、重要な業務に時間を割けるようにしましょう。
関数の学習には社内勉強会がおすすめ
筆者の場合、企業においてExcelの指導を行うときは、その現場で普段から使っている関数をリサーチしたうえで、それらの関数を学習するための勉強会を開きます。
教材としては、以下のような業務直結の練習問題を作成します。これは文字列操作関数の問題で、表の「抽出」列に解答となる数式を入力してもらう形です。みなさんは分かりますか?
関数勉強会の練習問題の例
正解は、下に記載した5つの数式です。こうした問題を使って1時間程度の指導をし、関数の勉強会は終了となります。それ以上は行いません。あとは実践あるのみです。
みなさんも、普段の業務で使う関数をリスト化できたら、自分が講師になって、チーム内で勉強会を開いてみてください。転職者や新卒者が即戦力になるだけでなく、自分自身も関数に詳しくなり、自信につながります。教えることこそ、最高の学習法です。
もし、使っている関数をリストアップできない、すんなり教えることができないなら、みなさん自身のスキルアップとルールの整備が先決です。ぜひ本書を参考に、課題を探してみてください。なお、文字列操作関数については以降の記事(ルール38)で解説しています。
=LEFT(C7,FIND("_",C7,1)-1)
=LEFT(C8,FIND("_",C8,1)-1)
=LEFT(C9,FIND("_",C9,1)-1)
=LEFT(C10,FIND("_",C10,1)-1)
=LEFT(C11,FIND("_",C11,1)-1)
- 通常の業務で使っている関数は意外と少ない
- よく使う関数をリスト化して社内で共有
- チーム全員のスキルアップには勉強会が最適