「使えない回答」を回避しよう

日本語で驚くほど自然なやりとりができる対話型AI「ChatGPT」(チャットGPT)が、連日メディアを騒がせています。無料のアカウント登録で簡単に利用できるため、すでに試してみた人というも多いでしょう。

しかし、ChatGPTに数回質問してみたところで、「参考にならなくはないけど、イマイチ役に立たないなぁ......」と感じたことはありませんか?

例えば、以下は「簡単に作れるお菓子を教えてください。」と質問したところです。質問の意図としては「簡単に作れるお菓子の例をいくつか挙げてもらい、その中から食べたいものを選びたい」だったのですが......

ChatGPTのプロンプト超入門。思い通りの回答を引き出す3つの基本テクニック

「簡単に作れるお菓子を教えてください。」に対するChatGPTからの回答です。例として「チョコバナナ」を挙げ、その材料や作り方を提示してくれましたが、質問の意図とは違う回答になってしまいました。

このように、漫然と質問しただけでは、ChatGPTは意図通りの回答を返してくれません。ChatGPTへの質問の仕方には、いくつかのテクニックがあるのです。

そして、ChatGPTへの質問文、つまり「応答を生成するために与えるテキスト情報」のことを「プロンプト」と呼びます。ChatGPTはプロンプトに基づいて応答を生成するため、どのようなプロンプト(質問)を与えるかによって、生成される応答(回答)はかなり変わってきます。

本記事ではChatGPTのプロンプトについて、基本的なテクニックを3つ紹介します。この3つを意識して質問をすることで、意図に沿わないイマイチな回答が返ってくるケースはかなり減るはずです。それぞれの例とあわせて見ていきましょう。

条件を指定する

1つめのテクニックは「条件を指定する」です。例えば、先ほどの「簡単に作れるお菓子を教えてください。」という質問を、「簡単に作れるお菓子を箇条書きで3つ教えてください。」に変えてみると、以下のような回答になりました。

ChatGPTのプロンプト超入門。思い通りの回答を引き出す3つの基本テクニック

「チョコレートバナナ」「フルーツサンドイッチ」「ミックスナッツクラッカー」の3つが、箇条書きで挙げられています。この質問では「作り方の説明は不要です。」とも指定しているので、それぞれに端的な説明だけが付記されています。

「簡単に作れるお菓子の例をいくつか挙げてもらい、その中から食べたいものを選びたい」という質問の意図に対し、ピッタリな回答になっていることが分かると思います。難しく考える必要はなく、ChatGPTが端的に回答できるように意識して質問を記述するのがコツです。

「条件を指定する」ための例文としては、以下のようなものがあります。

  • 箇条書きで○つお願いします。
  • ○文字以内で教えてください。
  • 短く説明してください。
  • ○文字以上で説明してください。
  • ○つの回答をお願いします。

特に「○文字以内で教えてください。」や「○文字以上で説明してください。」という指定は効果的です。以下は質問内に記述した文章を100文字で要約してもらう例です。

ChatGPTのプロンプト超入門。思い通りの回答を引き出す3つの基本テクニック

ChatGPTに文章を100文字で要約してもらいます。質問と対象となる文章を「"""」の区切り文字を使って分けると、より正確な回答が得られます。入力欄で改行するには[Shift]+[Enter]キーを押しましょう。

ChatGPTのプロンプト超入門。思い通りの回答を引き出す3つの基本テクニック

ChatGPTからの回答として、期待通りに要約された文章が生成されました。

追加情報を指定する

2つめのテクニックは「追加情報を指定する」です。ChatGPTは、前の質問に続けて別の質問をしても、これまでの文脈を踏まえた回答を返してくれます。人間同士の会話と同じように、補足情報を求める質問だと考えればいいでしょう。

「追加情報を指定する」ための例文としては、以下のようなものがあります。

  • あと○つ挙げてください。
  • ほかにも教えてください。
  • 具体例で説明してください。
  • 事例を挙げてください。
  • 悪い例を教えてください。

先ほどの「条件を指定する」で得た回答に対して、以下の例では「あと3つ挙げてください。」と質問しています。前の質問を踏まえて、追加で3つの回答を引き出すことができました。

ChatGPTのプロンプト超入門。思い通りの回答を引き出す3つの基本テクニック

「チーズケーキボール」「フルーツポップス」「マグカップケーキ」と、先ほどとは別のお菓子を箇条書きで3つ挙げてくれました。

表現方法を指定する

3つめのテクニックは「表現方法を指定する」です。これは、ChatGPTが生成したテキストをベースに、自分が使うための文章を仕上げたいときに便利なテクニックです。

「表現方法を指定する」ための例文としては、以下のようなものがあります。「学校の先生のように」「プロの編集者のように」と、何らかの役割を与えるのもコツです。

  • 子どもでもわかるように教えてください。
  • 学校の先生のように教えてください。
  • ビジネスでも使えるように答えてください。
  • プロの編集者のように書いてください。
  • ○○のように話してください。

先ほどのお菓子の箇条書きには「マグカップケーキ」があったので、その作り方を「小学生にも分かるように」説明してもらいましょう。回答は以下のようになりました。

ChatGPTのプロンプト超入門。思い通りの回答を引き出す3つの基本テクニック

「マグカップケーキに必要な材料と作り方の手順を小学生にも分かるように教えてください。」と質問しました。分かりやすく説明されていますし、最後には「ぜひ挑戦してみてください!」といった呼びかけも入っています。

ChatGPTのプロンプト超入門として、基本的な質問のテクニックを3つ紹介しました。質問の仕方をちょっと工夫するだけで、得られる回答が大きく変わってくることが実感できるのではないかと思います。また、回答に不満があれば、繰り返し質問してみるのも良い方法です。

ChatGPTをはじめとした生成系AIは大きな可能性を感じさせますが、適当に使っているだけでは「ふ~ん......」という感想で終わってしまいます。それらのポテンシャルを引き出すテクニックを覚えていきましょう。

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