在宅勤務も増えて机の前でパソコンに座りながら仕事をする時間が多くなると、運動不足であることをひしひしと感じる機会が出てきます。毎年の健康診断の結果やお腹周りのたるみが気になりだした数年前、とある自転車漫画の影響もありサイクリングに出かけることにしました。

もう何年もほったらかしにしていた自転車は、普段は車を運転することもない私にさまざまな景色を見せてくれました。当時は片道10kmがずいぶんと遠出に感じられたもので、行った先では「よくここまで自転車で来たなあ」と満足げな気分になったものです。

それから何年か経ち、自転車が新しくなった今でも、天気の良い週末にはサイクリングに出かけています。回を重ねるごとに楽に走れる距離は伸びていきました。今では一度に60kmは簡単に走れるようになり、ときには100kmを超えることもあります。

サイクリングを続けることで、自転車は「ちょっとそこまで」の概念を大きく広げてくれました。海外のとある大学の研究結果によると、人は移動することで幸福を感じられるそうです。まさにその通り、自転車で移動することはとても楽しく、次はどこに行こうかと考えているときからワクワクしています。

「たまたま」が私なりの長続きの秘訣

過去をふり返ってみても、小・中学生のころの部活動以外では、ここまで続けられた運動はこれまでなかったように思えます。何年か前の外出自粛をキッカケに始めたフィットネスゲームですら、すぐにやらなくなってしまいました。サイクリングが続けられているのは、やはり他にはない楽しさがあるからでしょう。自転車に「乗って楽しい」、景色を「見て楽しい」、目的地に「着いて楽しい」と、楽しいことがたくさんあります。

なにかひとつの事柄を続けられていることは、ある側面ではとても恵まれていることです。身の回りの生活環境や仕事の変化、自身や家族の健康など、続けられなくなる理由は多くあります。こうしたことは、私だけの事情ではどうにもならないこともあるでしょう。いまも続けられているということは、それらが幸いにも「たまたま」うまく行っていたということです。

私はこの「たまたま」という言葉が好きです。たまたまサイクリングをはじめて、たまたまそれが続いています。そこには続けなければならない理由などはありません。たまたま続いているのではなく、続けなければならない理由を考え始めてしまったときが、ひとつの止め時なのかもしれないなあなんて考えています。そんなことを思うくらいで気を楽にリラックスしていたほうが、なにごとも長続きするのかもしれませんね。

これからも「たまたま」が許すかぎり、サイクリングを続けられたら良いなあと思っています。

自転車に乗ってたどり着いた先で、のんびりと景色を眺めるのも気持ちの良い瞬間です。お気に入りは羽田空港周辺で飛行機を間近で見られるポイント。


太田浩史(おおた ひろふみ)
株式会社内田洋行




1983年生まれ、秋田県出身。近ごろはサイクリングにハマり、週末に数十キロを走る。2010年に自社のMicrosoft 365(当時BPOS)導入を担当したことをきっかけに、多くの企業に対してMicrosoft 365導入や活用の支援をはじめる。Microsoft 365に関わるIT技術者として、社内の導入や活用の担当者として、そしてひとりのユーザーとして、さまざまな立場の経験から得られた等身大のナレッジを、各種イベントでの登壇、ブログ、ソーシャルメディア、その他IT系メディアサイトなどを通じて発信している。2013年からMicrosoftにより個人に贈られる「Microsoft MVP Award」を連続受賞中。日本最大のMicrosoft 365ユーザーグループ「Japan Microsoft 365 Users Group」の共同運営メンバーでもある。

主な「できる」シリーズの著書

「30周年リレーコラム」の一覧ページへ
できるシリーズ30周年特設サイトへ