心の闇を打ち明けるようでちょっと恥ずかしいのですが、私は自己肯定感がないことに長年悩んでいました。自己肯定感とは「現在のありのままの自分をかけがえのない存在として、肯定的かつ好意的に受け入れる感覚」のことです。日本人は諸外国に比べて自己肯定感が低いと言われており、私もその一人なわけですが、昨年この悩みからついに解放されました。きっかけは無意識に続けてきた、ある行動を自覚したことでした。

小さな『自己新』を続ける

「自己新」とは何か。これは自分史上初めてできるようになったことを指します。ポイントは自分史上初ということです。他人から見てスゴい、スゴくないは一切関係ありません。自分史上初であれば、それは完璧なる「自己新」です。

最近の私の自己新を紹介します。

  • 網戸が張り替えられるようになった
  • ホットクック(自動調理器)できんぴらごぼうが作れるようになった
  • クルマの擦り傷を放っておいたら錆びてしまったが、自分で補修できた
  • テーマを持った旅行が企画できるようになった

「え、そんな小さな当たり前のこと?」と思われた方もいるかもしれませんが、私にとっては今までできなかったことができるようになった自分史上初の輝かしい「自己新」です。

網戸張り替えができた瞬間、「できた! わたしやるじゃん!」という何とも言えない達成感を得られることに気付きました。

自分には取柄がない、特別な才能もない、立派な経歴・学歴もない......と、くよくよ悩む瞬間が吹き飛ぶ感覚がありました。

「私ってやればできるかも? 小さな成長でも積み重ねれば、理想の自分に死ぬまでにはだいぶ近づけるのでは?」と思い始めたのです。

『自己新』を続けたら私はできる!」になり毎日がより楽しくなった

初めて張り替えた網戸。カッティングがうまくいかず、次はきれいにカットしたい。

それ以来、今までできなかったことを意識的にやるようにしてみました。他人に頼んでいたことを自分でやってみる、自分でできていたことも同じようにやるのではなく、一工夫してやってみる。どんな些細なことでも、「今までにないことができた! 今までよりうまくできた!」と何とも言えない達成感が得られ、自分はもっとできるという気持ちが日々強くなりました。

そして、この作戦を半年ほど続けたある日、自己肯定感のなさに悩む頻度が減り、ついには悩みの棚から消えていったと感じました。

本を読んだときに目にとまった言葉がありました。「自己効力感」という言葉です。自己効力感とは目標を達成するための能力を自らが持っていると認識することを指すそうです。簡単に言えば「自分はできる」と思っている状態のこと。

「そうか、私は自己効力感を手に入れたのだな」と思いました。

自己効力感を高め、さまざまなことにチャレンジし続けたい

悩んでいた「自己肯定感がない」というのは今の自分に対してOKが出せない、自信がないと感じている状態であり、何をすれば解決できるのか、さっぱりわかりませんでした。友人・親戚・仕事関係、どこを見渡しても皆、自分より優れた人ばかりで、自分に対していつまでたっても自信が持てないと感じていました。

一方、自己効力感は自己新にあふれた毎日作戦により、着実に積み上がっている感覚がありました。今の自分に対して相変わらずOKは出せないけれど、少しでもよりよくあろうと願い、できることを増やしていけば、自分を変えていける。だから悩むより自己新となる行動をし続けようと思いました。

また、自己新に挑むことは自分がずっと続けてきたことであることにも気づきました。よく覚えているのは、学生時代のことです。中学で入ったのは吹奏楽部で、とても充実していましたが、高校に進学した際に次は体力をつけようと陸上部に入りました。大学では笑顔が乏しく無表情なところを直そうとステージ系の部活を選びました。単なる飽き性なので、コロコロ変わったと思っていましたが、どれも自己新、新たなことができるようになりたい、という想いからの選択だったと気づきました。

とにかく自信がなかったことに対して、少しでもよりよくなりたいと、無意識に自己新を積み重ねる行動を続けてきた自分をちょっとだけ褒めたくなりました。

『自己新』を続けたら私はできる!」になり毎日がより楽しくなった

2023年4月福島旅。震災復興の今を現地に行って聞くことをテーマに、富岡町と大熊町へ。

これからも自己新に溢れた毎日を続けていこうと思っています。自己新の積み重ねで自己効力感を高め、さまざまなことにチャレンジし続けたい。「自分にはもっと可能性があると信じて行動し続けたい」そんなふうに思っています。

改めまして、できるシリーズ30周年、誠におめでとうございます。大好きな本を書くというチャレンジをさせてくれた編集部の皆さま、また執筆に至るまで応援してくださった皆さまに心より感謝申し上げます。


あーちゃん

製造業の人事総務として手書き、転記作業に追われる日々に疑問を感じる中、RPAに出会い、書籍で独学し、勤務先の企業にてRPA導入を開始する。RPA導入に孤軍奮闘する姿がXで話題に。Power Automate for desktopとの出会いでX転職も果たす。現在はローコード支援会社にフルリモートで勤務している。

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