【トイアンナ流仕事術】外資系企業のマーケティング職を経て独立し、ライター・経営者として活躍するトイアンナさんによる連載です。就職・転職、キャリアを中心とした執筆経験をもとに、新社会人からフリーランスまで役立つ仕事術を紹介します。
ChatGPTを業務で使うなら「資料解析」 がおすすめ
こんにちは、トイアンナです。
ChatGPTが有名になって早数年。最初はちょっと触ってみたけれど、生成AIを使わなくなった方も多いのではないでしょうか。
ChatGPTはアイディア出しが得意な生成AIですが、普通の業務でそんなにクリエイティブな仕事ばかり任される方って、そういないですからね......。
ところが最近のアップデートを重ねたChatGPTは、着実に「普通の事務作業」がやりやすくなる進化をとげています。そこで、今回は毎日仕事でChatGPTを触る人間として、事務社員のみなさんが楽になる使い方をご案内します!
資料解析の例①:長文のPDFを要約・解説する
まず、ChatGPTにやってもらうと一番楽になる作業は「資料の解析」です。
たとえば、平成時代のIT事情を知りたくて、総務省の資料をネットで見つけたとします。
総務省「ICT生活資源対策会議」のWebページでは、報告書のPDFをダウンロードできます。
この資料は、そのまま読むと48ページ。気合いがあれば読めますが、できれば総論を知りたいと思うこともあるはずです。
最新のChatGPTでは、PDFやExcelファイルをアップロードすることができます。そこで、上記のPDFをダウンロードし、ChatGPTに読み込ませます。
ChatGPTにアクセスし、プロンプト(命令文)の入力欄にPDFをドラッグ&ドロップすると読み込ませることができます。ここではプロンプトを以下のように入力しました。
このようなプロンプトを送信すると、ちゃんと「読みました」とだけ言ってくれます。
ChatGPTから「読みました。」と回答がありました。
今度は、以下のようにChatGPTへ依頼します。
「この資料」と限定することで、ChatGPTが持つ他のデータを参照しないように制限をかけています。すると、即座に要約が示されました。
総務省の資料の要約を、ChatGPTが回答してくれました。
とはいえ、これだけではあいまいすぎるので、さらにChatGPTヘ質問します。
そうすると、資料を引用しながら説明を追加してくれます。
総務省の資料を引用しながら、ICTの役割についてChatGPTが回答してくれました。
記事内の「000234150」と緑で書かれている部分は、資料のソースとなったファイル名を示したものです。たとえば複数のファイルをアップロードして説明を求めた場合は、どの資料から引用したかをそれぞれ教えてくれます。
こうしてChatGPTに質疑応答をしていくと、自分の知りたい情報が得られます。あとは元の資料を見て正しさをチェックし、完了です。
この手順で資料を分析すれば、今まで48ページをまるっと読まなくてはならなかった調査も、10分以下で済ませることができます。
資料解析の例②:図の画像データを箇条書きで説明する
特にChatGPTが素晴らしいのは、「ポンチ絵」と言われる難解な図も解説してくれることです。ポンチ絵とは事業の構想や製品の設計などを表した図のことですが、近年では官公庁が作成・公開している以下のような図を指すことが多くあります。
ポンチ絵の例。上記は首相官邸ホームページで公開されている「総務省における医療ICT利活用基盤の構築等について」という資料(PDF)から引用しています。
こういったポンチ絵を読み解くにはちょっとした時間が必要ですが、ChatGPTならお茶の子さいさい。JPGファイルにした図をChatGPTの入力欄に添付し、以下のように指示しました。
JPGファイルの図を読み込み、要点をテキストで解説してくれています。
上記のように箇条書きで、分かりやすく解説してくれます。JPG、PNGといった画像データも読んでくれるのはかなり便利です。
資料解析の例③:Excelやスプレッドシートのデータを分析する
また、ChatGPTはアンケート調査の結果なども分析してくれます。ここでは仮のデータとして、静岡県にお住まいの方へ満足度調査をしたと仮定したデータを作ってみました。(私が分析用に作ったもので、ChatGPTがやったわけではありません)
アンケートの結果をまとめたデータを、ChatGPTに分析してもらいます。
この資料を先ほどと同じ手順で読み込ませて、以下のように質問してみました。
ChatGPTに分析を依頼すると、たまに英語で回答する場合がありますが、「日本語で」と言えば翻訳してくれます。
「質問1と質問2の間にわずかな正の相関がある」と教えてくれました。
さらに、相関関係だけでなく、自由回答でよく登場する言葉もピックアップしてくれます。
アンケートの自由回答結果を分析し、重要なキーワードを箇条書きにしてくれました。
このサンプルデータは回答数が少ないのですが、1,000件以上の調査になってくると自由回答を読むのもひと苦労。こうして頻出ワードを出してもらえるだけでも、かなり助かるはずです。
ChatGPTを業務で生かすときの注意点
ChatGPTにアンケート結果をアップするときは、個人情報を削除するように注意してください。ChatGPTへ入力されたデータは、原則として他の方にも活用されるデータとなります。個人情報を含まないよう文章を置き換えるなどしてから出しましょう。いちばん楽なのは質問文を全部削除して「質問1、質問2、質問3」だけにしてしまうことです。
さらに安全を期す場合は、「Team」プランで課金すると、設定を変更しない限りはAIの学習データとして使われなくなります。
ChatGPTのTeamプラン(25ドル/月)の説明。「デフォルトでは、Teamのデータは学習の対象外です。」と明記されています。
会社としてデータ分析をするならば、Teamプランを契約するといいでしょう。私はネットに公開されているデータを分析するだけなので個人向けプランだけ使っていますが、それでもかなり事務作業がはかどっています。
他にも、「こういうデータを分析するとき使えるよ!」という例を最後に挙げておきます。
- 企業のIR情報
- 企業が過去に出したプレスリリース
- 商品のカタログ資料
- 公になっているアンケート結果
- シンクタンクやリサーチ会社の調査結果
特に経理、企画部門では大活躍すること間違いなし。ぜひ今からでもChatGPTを使い倒してください。