「できる」シリーズ30周年、おめでとうございます。二十数年にわたり、数多くのタイトルに携わってきた筆者としてもたいへんうれしい限りです。シリーズを支えてくださった読者のみなさんにも心から感謝したいと思います。そんな「できる」シリーズ30周年を祝し、本コーナーでは著者のみなさんが「長く続けていること」「これから続けたいこと」をテーマに、リレー形式のコラムを執筆してきました。どういうわけか、トリを務めることになりました。
筆者は元々、興味を持ったことに次々と手を出す方なので、他人様に語れるような「続けていること」はないのですが、趣味の範疇で言えば、映画ファンなので、映画関連でいくつか続けていることがあります。単に映画を観るだけでなく、映画のロケ地を探して、現地に行ってみたり(今でいう『聖地巡礼』)、映画音楽(サウンドトラック)を集めたりしています。
はじめて行った海外のロケ地と言えば、映画『ダイ・ハード』に登場する『ナカトミ・プラザ(ナカトミビル)』。ロサンゼルスのセンチュリーシティにある「Fox Plaza」がロケ地で、30年くらい前に現地を訪れて、写真を撮っていたら、警備員さんに怒られた記憶があります。
筆者がもっとも好きな映画『007』シリーズでは、イギリスの諜報機関「MI6」の建物(本物)を見に行ったり、『トゥモロー・ネバー・ダイ』でピアース・ブロスナンがかつての恋人と密会した「ホテル・アトランティック・ハンブルク」に泊まってみたり、ダニエル・クレイグが6代目ジェームズ・ボンドをはじめて演じた『007/カジノロワイヤル』の舞台となったチェコのリゾート地「カルロヴィ・ヴァリ」も訪ねてみました。数年前には『007/黄金銃を持つ男』に登場した独特な形状の巨岩が印象的な「ジェームズ・ボンド島(タプー島)」にも行くことができました。
映画『トゥモロー・ネバー・ダイ』でピアース・ブロスナン演じるジェームズ・ボンドが滞在した「ホテル アトランティック ケンピンスキー ハンブルク(Hotel Atlantic Kempinski Hamburg)」。ホテルにはロケに使われた部屋に泊まれる宿泊プランもあった(写真上)。ホテル内には映画のロケに使われたことを紹介する展示もある。タイトル名はドイツ語表記(写真下)
ダニエル・クレイグが6代目ジェームズ・ボンドをはじめて演じた「007/カジノロワイヤル」の舞台となったホテルは、チェコのカルロヴィ・ヴァリの「グランドホテル パップ(GRANDHOTEL PUPP)」。毒を盛られて、ホテルから飛び出してくるシーンもありました
映画『007/黄金銃を持つ男』に登場した巨岩の島が近くにある「ジェームズ・ボンド島(タプー島)」。タイ・プーケットからの高速ボートで訪れるツアーで行くことができました。映画的に言うと、島は敵の本拠地なので、「ジェームズ・ボンド島」ではなく、敵役の名前を使った「スカラマンガ島」だと思うのですが......(笑)
キアヌ・リーブス主演の『ジョン・ウィック』シリーズでは、殺し屋たちが利用する「コンチネンタルホテル」が描かれていますが、このロケ地となった建物(現在は貸しビル)がニューヨークにあり、そこも訪ねてみたり、シリーズ第一作のラストシーンに登場する噴水のある公園「ベセスダ噴水」も見てきました。
キアヌ・リーブス主演の「ジョン・ウィック」シリーズでは、殺し屋たちが集う「コンチネンタルホテル」が描かれていますが、ロケ地はニューヨーク・マンハッタンにあります。現在は貸しビル(写真上)。「ジョン・ウィック」シリーズ第一作のラストシーンで、掟を破ったジョンを狙うべく、殺し屋たちが集結した噴水広場は、ニューヨークのセントラルパーク内にある「ベセスダ噴水」が舞台。帰りに公園内を歩いていたら、ベンチに座っている人たちがジョン(キアヌ・リーブス)を狙う殺し屋さんに見えて......(笑)(写真下)
映画音楽は映画に流れる楽曲やスコアを収録したサウンドトラックのアルバムを購入しますが、一般的な音楽CDと違い、最初のプレス(書籍の初版)しか出回らないことが多いため、あっという間に入手できなくなることがあります。作品によっては、公開から数十年後に音源が発掘され、新たにアルバムが企画されたり、公開当時のサウンドトラックに追加音源を収録した限定版が全世界3000枚限定で販売されたりと、ちょっとマニアックな世界です。なかには全世界で500枚限定、300枚限定なんていうレアなタイトルもリリースされます。最近は時代の流れもあって、サウンドトラックがCDで販売されず、デジタル配信のみという作品も増えていますが、「Spotify」などのサブスクリプションサービスには提供されず、AmazonやiTunesでのダウンロード販売のみというタイトルもあります。CDがリリースされている作品はできるだけメディアを買うようにしてきましたが、映画音楽のCDコレクションも2000枚を超えてしまったので、今後は購入方法を切り替えないといけないかもしれません。
居間に組み付けてあったキャビネットに収まりきらなくなり、追加で購入したCD収納ラック。450枚ほど、収納できるけど、すぐに満杯。2つめも購入済みだけど、今後、どうしたものか......
好きなことを長く続け、楽しんでいくことは、趣味でも仕事でも大切です。ただ、同じことを続けるだけでなく、それぞれの時代に合わせ、取り組み方を変えたり、新しい楽しみ方を見つけることも必要なのかもしれません。「できる」シリーズもこれまでと同じように、こだわりを持ったタイトルを制作しつつ、積極的に新しい企画に取り組み、多くの読者のみなさんのお役に立ち、楽しめるタイトルが出版されることを期待しています。もちろん、筆者も微力ながら、これからもお手伝いをさせていただくつもりです。
法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンのビギナー向け解説記事からハードウェアのレビューまで、幅広いジャンルを手がけるフリーランスライター。「ケータイWatch」などで連載中。