【失敗しないためのGoogle検索広告「超」入門】 本連載では、書籍『「本業が忙しくて広告まで手が回らないよ!」という人のためのGoogle検索広告入門』の著者である今井悠人氏が、Google検索広告でムダな予算を使わずに「自社に合った見込み客」だけを集めるためのノウハウを、全3回の記事で紹介します。
検索意図(ニーズ)を正しく理解する
Google検索広告を始めたばかりの方が、最初にぶつかる大きな壁。それが「キーワード選定」です。 「とりあえず自社のサービスに関連する言葉を登録してみたけれど、クリックされるだけで申し込みにつながらない」「あっという間に予算を使い切ってしまった」......。こうした失敗は、実は珍しいことではありません。
そこで本連載では、全3回にわたりGoogle検索広告で失敗しないためのノウハウをお届けします。執筆は『「本業が忙しくて広告まで手が回らないよ!」という人のためのGoogle検索広告入門』の著者であり、これまで100業種・1,000アカウント以上のリスティング広告運用に携わってきた株式会社オンジン代表の今井悠人です。
中小企業のWebマーケティング支援の現場で培ったノウハウをもとに、ムダな予算を使わず、見込み客だけを集客するGoogle検索広告運用ができることをゴールとして解説していきます。
第1回目の本記事では、土台となる「売れるキーワードの見つけ方の基本的な考え方」について紹介します。これからGoogle検索広告(リスティング広告)の運用を始める初心者の方は、ぜひご覧ください。
キーワード選びで失敗する主な理由は「検索意図」の理解不足
Google検索広告で成果を出すために最も重要なのは、キーワードそのものよりも、その裏側にある「検索意図」を理解することです。検索意図とは、ユーザーがなぜその言葉で検索したのかという背景や目的を指します。
例えば「ダイエット」というキーワードから、検索意図を考えてみましょう。この言葉で検索した人は、自宅で気軽に痩せる方法を知りたいという、軽い気持ちかもしれません。もしくは、プロの指導を求めてジムに通うモチベーションがあるのかもしれません。このように「ダイエット」にも、さまざまな検索意図があるのです。
もし、あなたがジムのオーナーだとして、前者の「自宅で気軽に痩せたい人」に広告を表示させたらどうなるでしょうか。ユーザーは表示されたジムの宣伝ページを見て「ジムの入会を検討しているわけではない」と感じ、すぐにページを離脱してしまいます。これでは、申し込みにつながらないクリックに費用を払い続けることになり、広告費がムダになってしまいます。
検索広告の運用において、キーワードの字面だけを見るのは禁物です。そのキーワードを検索するユーザーが「何を求めているのか」を見極める癖をつけることが不可欠です。筆者はこれまで、30人以上の業界未経験者に広告運用を教えてきましたが、初心者がキーワード選びで失敗する大半の理由は、検索意図の理解不足であると断言できます。意図を無視して、なんとなく関連しそうなキーワードを登録するのは、絶対に避けるようにしましょう。
「ダイエット」と調べるユーザーの検索意図を理解しないまま広告を出稿しても、コンバージョンにはつながりません。
ビッグワードでの出稿をおすすめしない2つの理由
検索意図を読み取る習慣が身につけば、キーワード選定で的外れなミスをすることは格段に減るはずです。そのうえで、もう1つ初心者が陥りやすい罠があります。
それが「りんご」単体のように、検索ボリュームの非常に多い「ビッグワード」を1語だけで登録してしまうことです。特に少額予算で運用している場合、ビッグワードへの出稿は失敗のリスクが極めて高くなるので、避けてください。
例えば、あなたが「りんごの通販サイト」を運営しており、販売促進のために広告を出しているとしましょう。この場合、「りんご」というキーワード1語で広告を出すことは、基本的におすすめしません。その理由は主に2つあります。
- コンバージョン率が低く、CPA(顧客獲得単価)が合いづらい
- 検索ボリュームが大きく、予算が食われてしまう
コンバージョン率が低く、CPA(顧客獲得単価)が合いづらい
「りんご」と検索する人の目的は、非常に多岐にわたります。例えば、以下のような人が含まれます。
- りんごの栄養価を知りたい
- りんごの皮の剥き方を調べたい
- りんごのイラストを探している
その中で、「今すぐりんごを買いたい」と考えている人はわずかでしょう。結果として、成約につながりにくいユーザーのクリックに対しても広告費を払うことになるため、1件の成約にかかるコスト(CPA)が高くなり、費用対効果が合いづらくなります。
たとえ1クリック当たりの単価が安くても、成約につながる確率(コンバージョン率)が低ければ、結果としてCPAは下表のように悪化してしまいます。
| キーワード | クリック単価 | コンバージョン率 | CPA(単価÷CV率) |
|---|---|---|---|
| りんご | 50円 | 0.5% | 10,000円 |
| りんご 通販 | 100円 | 2% | 5,000円 |
このように、クリック単価が2倍でもコンバージョン率が高いキーワードを選んだほうが、最終的な獲得コストは安く抑えられるのです。
検索ボリュームが大きく、予算が食われてしまう
さらに注意すべきは、ビッグワードは検索する人が多いため、広告が頻繁に表示され、クリックにつながる数も多くなる点です。
その結果、本来は1日かけて使うはずの予算が、たった1つのビッグワードによって午前中で底を突いてしまう、ということも起こり得ます。これでは、本当にアプローチすべき「購入意欲の高い人」が昼や夜に検索したとしても、そのときにはすでに予算切れで広告が止まっており、アプローチすらできない状態になってしまいます。
ビッグワードをむやみに登録すると、予算切れによる機会損失が発生しやすくなります。
いわば「一番良くお客さんが来る時間に、お店が閉まっている」という本末転倒な事態を招き、コンバージョンの獲得機会を逃してしまうのです。広告を配信する目的は、アクセス数を増やすことではなく、売上・利益を上げることです。そのため、本当にクリックしてほしいのは、単に「りんごに興味がある人」ではなく、「りんごを購入したい人」のはずです。
コンバージョン率の高い語句からのクリックを優先的に集めることが、広告運用の鉄則です。ビッグワードの登録は、こうした「優良な見込み客」へのアプローチを妨げてしまうリスクがあることを覚えておいてください。
基本的にはおすすめしませんが、どうしてもビッグワードを試してみたいという場合は、別にテスト用のキャンペーンを作成し、予算を切り分けて検証するようにしましょう。
次からは狙うべき語句について分類から説明していきます。
狙うは「Doクエリ」! 検索クエリの3つの分類を理解しよう
ユーザーの検索意図(検索語句)は「Knowクエリ」「Goクエリ」「Doクエリ」という大きく3つに分類できます。限られた予算の中で、最短ルートで成果を出したいのであれば、まずは「Doクエリ」を最優先で登録してください。その理由は、それぞれのクエリの性質を比較すると一目瞭然です。
検索クエリは大きく分けて「Knowクエリ」「Goクエリ」「Doクエリ」に分類でき、ユーザーの購買意欲も異なります。
Doクエリ
例:「りんご 通販」「りんご 取り寄せ」「りんご 購入」
検索広告において、最優先でキーワード登録すべきなのが、この「Doクエリ」です。ユーザーは「買いたい」「申し込みたい」という明確な目的を持って検索行動を起こしているため、成約に最も近い層といえます。迷わず登録しましょう。
例えば「通販」や「取り寄せ」といった言葉を添えて検索している人は、購入の直前にいる証拠です。これらワードを検索したタイミングで広告表示し、自社のりんご通販サイトへ誘導して、ユーザーのニーズに合致する商品を見せることができれば、高い確率でコンバージョンにつながります。
まずは、このDoクエリを洗い出しましょう。そして、最初はこのキーワード群だけに絞って登録して、予算を集中投下することが、広告運用を成功させる鉄則です。
さらに成果を高めるには、Doクエリに自社の強みを掛け合わせるのが効果的です。例えば、長野産の訳ありりんごを主に扱っているなら、「りんご 通販」という広い言葉だけでなく、「りんご 通販 長野」「訳あり りんご 取り寄せ」といった、より具体的なキーワードも登録しましょう。
自社の強みを求めているユーザーを、広告の配信対象から極力漏らさないように工夫することが重要です。
Goクエリ
例:「Amazon ログイン」「マクドナルド 名古屋駅」「Apple 新宿」
Goクエリは「特定の場所に行きたい」「特定のサイトを訪問したい」といった、明確な目的地があるときに検索されるキーワードです。すでに自社のブランド名やサービス名が知られている場合は、登録候補に上がります。
ユーザーはすでに「その店(サイト)を利用すること」を前提に探しているため、クリックされればコンバージョン率は非常に高い傾向にあります。ただし、キーワード登録の優先順位には注意が必要です。こうしたユーザーは、広告を出さなくても「検索結果の自然検索(無料枠)」から自社サイトへ辿り着いてくれる可能性が高いからです。
そのため、特に少額予算で運用しているフェーズでは、まず自社をまだ知らないユーザーを連れてきてくれる「Doクエリ」を優先するのがおすすめです。Goクエリは、予算に余裕が出てから、あるいは競合他社に自社名で広告を出されてしまっている場合などの対策として検討するのがよいでしょう。
Knowクエリ
例:「りんご 種類」「りんご 栄養」「りんご カロリー」
Knowクエリは、ユーザーが何かの知識を得たい、あるいは疑問を解決したいときに使われるキーワードです。検索ボリュームが大きくクリックされやすい傾向にありますが、検討の前段階にいるため、すぐに購入に至る可能性は高くありません。 よって、Knowクエリの登録は避けましょう。この語句でクリックされても離脱されてしまい、CPAの悪化につながることが多いです。
記事広告のような手法で専用のページを用意すれば活用も可能ですが、初心者向けではないため、登録しないと判断して問題ありません。
まとめ
広く集客したいという気持ちは分かりますが、そこはグッとこらえてください。最初は、購入の直前にいるユーザーが使うDoクエリだけに絞って登録するのが、失敗しないための鉄則です。
絞り込んだ運用で成果が出ることを確認してから、徐々にキーワードを広げていく。これこそが、ムダな予算を使わずに成果を出せる初心者におすすめの広告運用方針です。
ただし、キーワードが決まっても、その拡張範囲を定めるマッチタイプ設定を間違えるとCPAの悪化につながってしまいます。次回は、この初心者がハマりやすいマッチタイプの使い分けを詳しく解説します。
プロフィール
今井悠人(いまい ゆうと)
株式会社オンジン 代表取締役
Web広告代理店にて、100業種・1,000を超える広告アカウントの運用や広告運用者の教育に従事した後、2022年に株式会社オンジンを設立。Google、Yahoo!、Microsoftといったリスティング広告に加えてMeta、X、LINE、TikTokなどのSNS広告、コンテンツマーケティングにも精通している。
中小企業を中心に広告運用代行を行っており、月額20万円の広告費で売上を240万円伸ばすなど、少額で始めて成果につなげた多数の実績を持つ。「人の幸せを真剣に考えていれば成果はついてくる」を信条に、ユーザーニーズに寄り添った施策を実行し、クライアントのビジネス拡大を支援。






