【失敗しないためのGoogle検索広告「超」入門】 書籍『「本業が忙しくて広告まで手が回らないよ!」という人のためのGoogle検索広告入門』の著者である今井悠人氏が、Google検索広告でムダな予算を使わずに「自社に合った見込み客」だけを集めるためのノウハウを、全3回の記事で紹介します。
初心者がハマる「インテントマッチ」の罠
前回は、検索意図(ニーズ)を理解したキーワードの選び方を解説しました。しかし、キーワード選定が問題なくても、マッチタイプの設定次第では意図しない検索語句にまで広告が表示され、予算をみるみる消費してしまうことがあります。
そこで、第2回となる本記事では、初心者がつまずきやすいマッチタイプの仕組みと、失敗しないための選び方を解説します。
マッチタイプとは
前回、「りんご 通販」のようなDoクエリをキーワード登録しましょうとお伝えしました。しかし「りんご 通販」と登録しただけでは、「りんご 通販」と一致する検索にだけ広告が出るわけではありません。
設定次第ではGoogleが関連性があると判断した、さまざまな検索語句にも広告が拡張表示される可能性があります。この検索語句の拡張範囲をコントロールする設定が「マッチタイプ」です。
例えると、キーワードが「釣り針」だとすれば、マッチタイプは「網の大きさ」です。同じ釣り針(キーワード)でも、大きな網を使えばたくさんの魚(検索語句)がかかりますが、狙っていない魚まで入ってきます。逆に小さな網なら、狙った魚だけを確実に捕まえられます。
Google検索広告には、以下の3つのマッチタイプがあります。他リスティング広告媒体であるLINEヤフー広告やMicrosoft広告でも、おおむね仕様は同じです。
- 完全一致
- フレーズ一致
- インテントマッチ
3つのマッチタイプの広告表示範囲のイメージ。「インテントマッチ」が最も広く、「完全一致」が最も絞り込まれます。
| マッチタイプ | 記号 | 拡張範囲 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 完全一致 | [キーワード] | 狭い | キーワードと同じ意味の語句に表示する |
| フレーズ一致 | "キーワード" | 中程度 | キーワードの意味を含む語句に表示する |
| インテントマッチ | 記号なし | 広い | キーワードと関連するとGoogleが判断した語句に表示する |
完全一致
登録したキーワードと同じ意味の検索語句にのみ広告を表示します。最も拡張範囲が狭く、狙ったユーザーだけに配信しやすいマッチタイプです。
登録キーワード: [りんご 通販]
広告が表示される検索語句の例:りんご 通販、リンゴ 通販、りんご ネット販売など
完全一致は、以前は文字通り完全に一致する語句にしか表示されませんでしたが、現在は表記揺れや同じ意味の言い換え(「通販」と「ネット販売」など)にも拡張されるようになっています。それでも、3つのマッチタイプの中では最も範囲が絞られています。
フレーズ一致
登録したキーワードの意味を含む検索語句に広告を表示します。完全一致よりも範囲が広がり、キーワードに別の言葉が追加された検索にも対応できます。
登録キーワード:"りんご 通販"
広告が表示される検索語句の例:りんご 通販、りんご 通販 訳あり、長野 りんご 通販 おすすめ、りんご お取り寄せ、りんご 購入など
フレーズ一致は、登録キーワードの意味を含んでいれば、前後に別の単語が追加されていても広告表示されます。「りんご 通販 訳あり」のように、購入意欲の高いユーザーが具体的な条件を加えて検索した語句にも配信しやすいのがメリットです。
インテントマッチ
登録したキーワードに関連するとGoogleが判断した、幅広い検索語句に広告を表示します。3つの中で最も拡張範囲が広いマッチタイプです。旧称は「部分一致」です。
登録キーワード: りんご 通販
広告が表示される検索語句の例:りんご 通販、果物 お取り寄せ、みかん 通販 おすすめ、りんご レシピ 人気、フルーツ ギフト
上記のように、インテントマッチは「りんご」や「通販」という言葉が含まれていなくても、Googleがキーワードと関連があると判断すれば広告を表示します。幅広い語句に配信できるため、想定できない言葉からのコンバージョンを狙えます。
初心者が選ぶべきマッチタイプ
各マッチタイプの特徴を紹介しました。そのうえで、初心者が失敗を防ぐためには、どのマッチタイプを選べばよいのでしょうか。
筆者の推奨マッチタイプ選定は、まずは完全一致で始め、成果を確認しながらフレーズ一致に広げていくことです。これで少額予算運用で失敗のリスクを下げ、成果を出しやすくなります。
とはいいつつも、「マッチタイプ選定は商材や状況によりけりだし、ケースバイケースです。」と感じるところではありますが、そのようなことを言うと初心者の方は迷うと思うので、あえて画一的に完全一致とフレーズ一致で始めましょうとお伝えします。
具体的に、ステップ別でそれぞれのマッチタイプで気をつけるべきことを説明していきます。
ステップ1:完全一致で「確実に取れる層」を押さえる
前回の記事で洗い出したDoクエリを、まずは完全一致で登録します。「りんご 通販」であれば、[りんご 通販] として、Google広告の管理画面からキーワード登録してください。
完全一致であれば、広告が表示される範囲は「りんご 通販」と同じような意味の検索語句に基本限定されるため、関係のないクリックに予算を取られる心配は少ないです。まずはこの状態で配信を開始し、コンバージョンが取れるか確認しましょう。
ステップ2:フレーズ一致で「取りこぼし」を拾う
完全一致で成果が安定してきたら、次にフレーズ一致を追加します。"りんご 通販" として登録すると、「りんご 通販 訳あり」「長野 りんご 通販」など、購入意欲の高いユーザーが具体的な条件を加えて検索した語句にも広告が多く表示されるようになります。
完全一致だけでは拾いきれなかった見込み客にアプローチでき、コンバージョンの獲得数を増やせる可能性があります。ただし、フレーズ一致にすると拡張範囲が広がるため、意図違いの語句にも表示される可能性があります。
ステップ3:インテントマッチは予算に余裕が出てから
後述しますが、インテントマッチは拡張範囲が非常に広く扱いが難しいため、初心者かつ少額予算の段階での使用はおすすめしません。
ただし、完全一致とフレーズ一致で十分な成果が出て、さらに新しい見込み客を開拓したいというフェーズに入ったら、テスト的に導入してみるとよいでしょう。
インテントマッチに潜む落とし穴
「まずは完全一致とフレーズ一致を使うべき」と理解したところで、初心者が陥りやすい落とし穴について説明していきます。それは、Google広告のキーワードのデフォルト登録設定がインテントマッチになっているということです。
キーワードを広告管理画面から登録する際、何も記号を付けずにそのまま設定すると、自動的にインテントマッチとして登録されます。つまり、前回の記事で「りんご 通販」を登録しましょうと学んだ初心者の方が、そのまま記号なしで登録してしまうと、意図せず最も拡張範囲の広いインテントマッチでの配信となってしまいます。
マッチタイプを指定するには、キーワード登録時に以下の記号を付ける必要があります。次の画面は「りんご 通販」のキーワードを、完全一致とフレーズ一致で登録したときの例です。
完全一致にしたい場合は[りんご 通販]、フレーズ一致にしたい場合は"りんご 通販"、インテントマッチにしたい場合は、りんご 通販(記号なし)を登録します。
キーワード登録後の確認画面。意図した通りのマッチタイプで登録されているかは、[キーワードマッチ]列から確認できます。
キーワードの登録後、管理画面のキーワード欄の[キーワードマッチ]列に「インテントマッチ」と表示されている場合は、インテントマッチで登録されている状態なので、意図していない場合は見直すようにしてください。
インテントマッチで予算を消費する仕組み
キーワードによってはインテントマッチで登録してしまうと、予算をみるみる消費してしまい、コンバージョンにつながらない広告配信になってしまうことがあります。なぜなら、インテントマッチで「りんご 通販」を登録した場合、前述した通りGoogleが関連性ありと判断した幅広い検索語句に広告が表示される可能性があるためです。
この中には、りんごを買いたいと思っていない人の検索も多く含まれています。例えば、「りんご レシピ 人気」と検索した人は、りんごを使った料理の作り方を知りたいだけであって、その場でりんごを通販で購入する意欲は高くないでしょう。
前回の記事で「Knowクエリへの出稿は避けましょう」と伝えましたが、インテントマッチを使うと、せっかくDoクエリのキーワードを選んでも、結果的にKnowクエリにまで広告が拡張されてしまうことがあります。
インテントマッチは過去の検索履歴など検索意図を読み取って配信できる、賢いマッチタイプです。しかし商材や状況によっては、拡張しすぎてコンバージョンから遠い語句にも表示されることも多々あります。拡張されすぎて、コンバージョンが遠い語句で大量のクリックが発生すると、予算を早く使い切ってしまい、本来アプローチすべき「りんご 通販」と検索する購買意欲の高いユーザーに広告を届けられない事態が起こる可能性があります。
インテントマッチはうまく使えばクリック単価が抑えられ、CPA抑制につながる有用なマッチタイプですが、扱いが少々難しいです。大きな失敗を避けるために、初心者はまず完全一致とフレーズ一致から使うことをおすすめします。
不安を解消する検索語句レポートの見方
ここで「意図せずキーワードがインテントマッチになっていたかもしれない......」と思った人もいるかもしれません。インテントマッチで配信するのが必ずしも悪という訳ではありません。扱い方によっては完全一致、フレーズ一致を主軸にするよりもコンバージョンが多く獲得できることも多々あります。
問題ないかを見極めるために、実際にどんな検索語句で広告がクリックされているか見ていきましょう。コンバージョンから遠い語句ばかりでクリックされている場合は、マッチタイプを変更してください。確認方法は、Google広告の検索語句レポートを使います。検索語句レポートとは、ユーザーが実際にどんな語句で検索したときに広告が表示され、クリックされたかを確認できる機能です。
登録したキーワードと、実際に広告が表示された検索語句は基本異なり、ズレが大きい場合期待した結果が得られないことも多いです。そのため、検索語句レポートの確認は広告運用をするうえで必須です。定期的に確認するようにしてください。
①左側メニューのキーワードをクリックします。次に、②検索語句を確認したいキーワードのチェックボックスにチェックを付けてください。最後に、③青色のバーの検索語句をクリックします。
検索語句レポートを見ると、自分が意図していなかった検索語句でクリックが発生し、広告費が発生しているケースを見つけることができます。
検索語句レポートの見方のポイント
検索語句レポートを確認する際は、以下の点に注目してください。
- まずは費用を降順にして確認する
どのような語句でクリックされ、多く予算を使っているか確認するため、まずは費用を降順にしましょう。 - コンバージョンから遠い語句でクリックされていないか見る
そのうえで、例えば「りんご 通販」で登録しているのに、「りんご 栄養素」や「りんご イラスト」など、コンバージョン見込みの低い語句ばかりでクリックが発生していれば、マッチタイプやキーワードの変更が必要と考えられます。 - コンバージョンにつながっている語句を見る
さらに、コンバージョンにつながった検索語句を確認しましょう。その語句の複合ワード(2語以上の単語を組み合わせた語句)を登録することで、コンバージョンを獲得しやすい語句へのリーチ範囲を広げられる場合があります。 - 定期的に確認する習慣をつける
最初に設定して終わりではなく、少なくとも週1回は検索語句レポートを確認し、意図しない語句で多くクリックされていないかをチェックしましょう。
まとめ
前回の記事で選んだDoクエリも、マッチタイプの設定を間違えると、意図しない検索語句にまで広告が表示され、予算を使ってしまいます。初心者の方は、以下の3つのポイントを押さえてください。
- 意図しないインテントマッチでの登録に注意する
記号を付けずに登録すると、自動的に最も拡張範囲の広いインテントマッチになります。 - まずは完全一致で始め、フレーズ一致で広げる
ステップを踏んで拡張していくことで、予算をコントロールしながら成果を伸ばせます。 - 検索語句レポートを定期的に確認する
設定して終わりではなく、実際にクリックされた語句を確認することを習慣にしましょう。
キーワードとマッチタイプの設定が決まったら、次に考えるべきは入札設定です。最終回となる第3回では、初心者が選ぶべき自動入札戦略を中心に解説します。
プロフィール
今井悠人(いまい ゆうと)
株式会社オンジン 代表取締役
Web広告代理店にて、100業種・1,000を超える広告アカウントの運用や広告運用者の教育に従事した後、2022年に株式会社オンジンを設立。Google、Yahoo!、Microsoftといったリスティング広告に加えてMeta、X、LINE、TikTokなどのSNS広告、コンテンツマーケティングにも精通している。
中小企業を中心に広告運用代行を行っており、月額20万円の広告費で売上を240万円伸ばすなど、少額で始めて成果につなげた多数の実績を持つ。「人の幸せを真剣に考えていれば成果はついてくる」を信条に、ユーザーニーズに寄り添った施策を実行し、クライアントのビジネス拡大を支援。







