「移行のコスト」は買い換え費用+作業時間
ここでは、レッスン3で取り上げたAさんを例として、「移行のコスト」と「移行しないコスト」を試算してみましょう。
Aさんは特別に高い性能が要求されるパソコンの使い方はしていないので、個人向けの標準的な機種でよく、特別なソフトウェアや周辺機器の購入も必要もないと考えられます。
目に見えないコストとしては、セットアップやデータ移行の作業が発生します。個人は作業時間を金額で計算する必要はありませんが、時給換算すれば、数千円から数万円分になることがわかります。
●Aさんの「移行のコスト」試算
「移行しないコスト」は労力と時間で計算する
レッスン3の図で紹介したAさんの被害の影響を、あらためて「移行しないコスト」としてまとめてみましょう。ここでは乗っ取り被害の損失補償などの経済的損失は発生しない、楽観的なシナリオに基づいています。
それでも、情報漏えいの被害に遭ったときには、各所への謝罪にかなりの時間がかかることが予想されます。被害状況にもよりますが、下記のように20時間かかると試算されたら、2~3日は普段どおりの生活ができなくなることを覚悟するべきでしょう。
セキュリティ被害に遭ったWindows XPパソコンは、結局買い換えなければならず、「移行のコスト」と同額がかかります。トラブルの対処にこれだけの労力と時間をかけるならば、早めに移行した方がいい、という結論になるでしょう。
● Aさんの「移行しないコスト」試算
[ヒント]金額化が難しい精神的な負担も発生する
実際にトラブルが起これば、時間だけでなく、精神的にも大きな負担が発生します。周囲から人が離れたり、社会的な地位を失うなど、お金では計れない損失も覚悟しなければなりません。