基本的な対策はパスワードの設定
近年、セキュリティは企業の重大な関心事になっています。紛失したノートPCから顧客名簿が流出して社会的信用を失うなど、PCを持ち歩くビジネスパーソンであれば例外なく起こりうるリスクと言えるでしょう。もちろん、自分自身のプライバシー情報の取り扱いも重要です。
小型モバイルPCは持ち歩いて使うものなので、盗難や紛失のリスクが常につきまといます。重要なデータの取り扱いには細心の注意を払いたいもの。そのためのポイントを紹介しましょう。
●ログインパスワードの設定
小型モバイルPCに限らず、PCにパスワードを設定することは、セキュリティ上とても効果的です。Windows起動時のログインパスワードは、その中でも基本的なワザと言えるでしょう(ログインパスワードについてはレッスン26で詳しくご紹介します)。
また、起動後もスクリーンセーバーやスタンバイ状態からの復帰時にパスワードを要求するように設定すると、盗難などに遭った場合のデータ流出を抑えられます(自動ロックについてはレッスン27で詳しくご紹介します)。ただ、あまりやりすぎるとかえって使いにくくなるので、よく考えて設定しましょう。
なお、「Eee PC 901-X」には、BIOS上で起動時にパスワードを要求する設定も可能です。パスワードがないとWindowsの起動すらできなくなるので、より強固にPCをプロテクトできます。
●ブラウザーに残る個人情報の消去
Internet Explorerなどのブラウザーには、Cookieと呼ばれる仕組みにより、Web上で入力したパスワードが記録されています。Gmailなど、プライバシーを含むページを他人が盗み見る機会を与えてしまいかねません。機密度の高いページではパスワードを保存しないか、ブラウザーの終了時にCookieを消去することをおすすめします。
●重要なデータは持ち歩かない
会社の機密情報なら、小型モバイルPCのような持ち歩き前提のPCには保存せず、必要なときにネット経由で取り出すほうが安全です。最近はネットワーク技術の進歩により、外出先から会社にアクセスして必要な情報だけをセキュアに取り出し、また会社の情報システムに戻すという仕掛けも簡単に構築・利用できるようになっています。会社でこのようなシステムが用意されている場合は、積極的に活用しましょう。
持ち歩くときは暗号化技術でプロテクト
ただ、仕事上、どうしても重要な機密情報を持ち出す必要があるケースもあるでしょう。そのような場合は、暗号化技術を用いることで重要なデータだけをさらに強力にプロテクトするとよいでしょう。
とはいえ、作業したファイルを手動で暗号化するのは大変です。より手軽かつ安全な手段として、セキュリティ機能付きのUSBメモリを使う方法があります。
セキュリティ機能付きのUSBメモリでは、自分で暗号化ソフトを操作することなく、ファイル書き込み時に自動的に暗号化して保存します。暗号化されたファイルにアクセスするにはパスワードが必要で、万一紛失しても情報が漏れません。
また、指紋認証機能付きのUSBメモリもあります。指紋のように体の特徴を使って個人を認証する仕掛けは、パスワードそのものの漏えいを心配することなく、高度なセキュリティシステムを構築できます。低価格な小型モバイルPCとは少し違いますが、富士通の「LOOX U」など、本体に指紋認証機能を備えたモバイルPCもあります。
0.バッファロー「RUF2-HSCW」シリーズ
セキュリティ機能付きのUSBメモリ。保存したデータはすべて強制的に暗号化される。実勢価格10,000円前後(1GB)
http://buffalo.jp/products/catalog/flash/ruf2-hscw/
0.バッファロー「RUF2-FHS」シリーズ
指紋認証機能付きのUSBメモリ。自動暗号化機能も備え、高度なセキュリティを実現している。実勢価格14,000円前後(1GB)
http://buffalo.jp/products/catalog/flash/ruf2-fhs/
[ヒント]盗難防止に役立つ「ケンジントンロック」
小型モバイルPCのように小型で携帯性がよいPCほど、他人に盗まれる危険性は大きくなります。盗難そのものからPCを守る方法としては、本体をワイヤーで固定する「ケンジントンロック」が有名です。小型モバイルPCをはじめ、多くのPCには本体にケンジントンロックの規格に対応した穴が空いています。ここに鍵付きのワイヤーをつないで柱などに固定すれば、PC本体の盗難を防げます。
▼ケンジントンのセキュリティシステム(七陽商事)
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