そろそろネットブックも買い替え時?

2008年末に人気に火が付き、今や販売台数においてパソコン市場全体の約4分の1を占めるネットブック(BCNランキング調べ。http://bcnranking.jp/news/0911/091111_15882.html)。筆者も2008年12月にレノボ・ジャパン「IdeaPad S10e」を購入し、使い始めてそろそろ1年になろうとしています。

はじめのうちは「コンパクトで使いやすい!」「スペックが高くなくても使えるじゃん!」と嬉々として使っていたのですが、半年も経つと物珍しさがなくなり「コンパクトすぎて画面が見づらい」「YouTubeやOfficeがもっとサクサク動くパワーがほしい」といった不満が高まってきました。

Windows 7搭載モデルのパソコンが続々と登場している中、そろそろIdeaPad S10eを買い替えてもいいかなと思っています。しかし最新のネットブックに買い替えたところで、上で述べたような不満の根本的解決にはならないと予想されます。とはいえ高価なモバイルPCを買うお金もなく、とても悩んでいます。

そんな筆者が最近気になっているのが「CULVノートPC」。CULVノートPCとは、長時間バッテリー駆動、スリムでコンパクト、必要十分な性能が特徴の、ネットブックの1ランク上のジャンルの製品のことです。

「CULVノートPC」ってどんなジャンル?

CULVノートPCとは、「Consumer Ultra Low Voltage(消費者向け超低電圧):CULV」プロセッサーを搭載したノートPCのこと。CULVプロセッサーはネットブックの多くの機種で採用されている「Atom」プロセッサーと比べて高性能です。さらに、従来のモバイルPC用のものに比べてプロセッサー自体のコストが低く消費電力が低いため、比較的安価で、スリムかつコンパクト、そして長時間バッテリー駆動の製品を実現できます。

またWindows 7搭載のネットブックのほとんどが「Starter」エディションなのに対し、CULVノートPCでは「Home Premium」エディションが一般的です。Starterエディションは壁紙が変更できない、DVDが再生できない、マルチモニターがサポートされていないなどの機能制限があります。

CULVノートPCとネットブックの違いを大まかにまとめました。

●CULVノートPCとネットブックの比較

CULVノートPCネットブック
処理能力必要十分最低限
ディスプレイサイズ11~15インチ7~11インチ
重量1.4Kg~1.8Kg1Kg以下~1.4Kg
デザインスリム・スタイリッシュ超コンパクト
Windows 7のエディションHome PremiumStarter
価格帯6~12万円台3~6万円台

CULVノートPCの特徴としては、ネットブックと比べてパワーがあり、画面サイズが大きくやや重いがスリムでおしゃれなデザインのものが多い、ということが言えます。
そして価格はネットブックよりは高く、従来のモバイルPCよりは安い、という設定になっています。

それぞれに特色のある各メーカーのCULVノートPC

CULVノートPC市場にはさまざまなメーカーが参入しており、今やネットブックさながらの混戦状態となっています。

各製品の詳しいスペックはこちらをご覧ください。
●編集部ブログ
CULVノートPC スペック比較表

価格やデザイン、バッテリー駆動時間、DVDドライブの有無、多彩なオプションなど、各メーカーのCULVノートPCにはそれぞれ特色があり、差別化が図られています。

その中で今最も認知度が高く、テレビCMも放映されている東芝「dynabook MX」。「ネットノート」の名称で有名ですが、東芝がこの機種に「ネットノート」と名付けたのには理由があります。

CULVプロセッサーにもさまざまな種類があり、東芝の高性能モバイルPC「dynabook SS RX2」シリーズに搭載されているのは、「SU9400」というCULVプロセッサーの一種です。

プロセッサーの種類でジャンル分けをするとユーザーが混乱すると考えたため、東芝では「使い方」でジャンル分けをし、「ネットブックより1ランク上の使い方ができる機種」に対して「ネットノート」という名称を付けているのです。

メーカーごとにCULVノートPCに独自の名称を付けている例には、東芝の「ネットノート」以外にも、日本エイサーの「Light Note」があります。CULVノートPC提供元であるインテルは「モバイル・サブノートPC」という呼び名を提唱しています。

CULVノートPCが狙うターゲット

さてこのCULVノートPC、いったいどんなユーザーがターゲットとして想定されているのでしょうか?

日本エイサーによれば、CULVノートPC(「Light Note」)のターゲットユーザーは「ビジネス用途で持ち歩き、ネットブックでは満足できないが、通常のノートPCは高くて手が出せない層」とされています(10月26日、PC Watchの記事より。http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20091026_324078.html)。
これを踏まえて従来のモバイルPC・CULVノートPC・ネットブックの関係を図で表すと、以下のようになります。


従来のモバイルPCとネットブックの間に位置し、スペックや価格のバランスから「かゆい所に手が届く」ジャンルと言えるCULVノートPC

CULVノートPC、その実力やいかに?

調べれば調べるほど、使ってみたくなるのが人の性(さが)。というわけで、東芝より検証用に「dynabook MX/33」をお借りしました。


東芝「dynabook MX/33」。NEWSの山下智久さんが登場するテレビCMでおなじみの「ネットノート」

筆者はある程度割り切ってネットブックを購入しましたが、画面解像度が低いためにWebページが見にくかったり、YouTubeがコマ落ちしたり、バッテリーが持たなくて外出時に困ったりするのは、いくら安いネットブックと言えど我慢できない点です。

そこで後編では、dynabook MX/33を使って
・画面の情報量(画面解像度)
・YouTubeなど動画サイトでの動画再生
・モバイル利用
の3点が快適かどうかを、筆者私物の「IdeaPad S10e」と比較させつつ検証したいと思います。

参考のため、両者のスペックを整理してみました。

●dynabook MX/33とIdeaPad S10eの比較

dynabook MX/33IdeaPad S10e
OSWindows 7 Home PremiumWindows XP Home Edition SP3
CPUインテル Celeron プロセッサー 743インテル Atom プロセッサー N270
メモリー2GB(最大4GB)1GB(最大1.5GB)
記憶装置250GB(HDD)160GB(HDD)
ディスプレイサイズ11.6インチ10.1インチ
画面解像度1,366×768ピクセル1,024×576ピクセル
駆動時間約9.5時間約5.3時間
サイズ286.0×211.0×24.9-34.2mm250×196×22-36mm
重量約1.58kg約1.38kg
価格8万円前後(発売当時)54,800円(発売当時)


後編では、この両者を検証用機材としてCULVノートPCの実力を試します。

(できるネット+編集部 諏訪)