2009年12月13日、そのときは来た......!
1000人達成直前のとき(元のツイート)。この数十分後には1000人を達成できました
こんにちは、松本淳(@a_matsumoto)です。2009年4月にインタビューさせていただいた林信行さん(@nobi 記事:Twitterは「リアルタイム検索エンジン」)のように「おいしいラーメン屋さんをTwitterで尋ねてリアルタイムで反応をもらう」といった楽しみ方をしたい、という素朴な思いから始まった、この約2ヶ月の企画。スタート時(2009年11月6日)には127人だったフォロワーが、12月13日に、とうとう目標の1000人を超えました!
この間、いろんなできごとがありました。小学生時代に夢中になって読んだ「こんにちはマイコン」のすがやみつる先生(@msugaya。一般には「ゲームセンターあらし」が有名ですね)とTwitterでコミュニケーションできたこと(第2回で紹介)は、特に強烈な体験でした。
そして、フォロワーが増えるにしたがって、様々な方から返信やリツイート(※1)で反応をいただくことが増えていきました。それにつれて、単に検索エンジンのように知りたいことを教えてもらうだけではなく、Twitter上の会話をきっかけに、自分の思考・考えが広がっていったことにも気づかされています。
第3回の記事で紹介した、Google日本語入力のメカニズムについて、自然言語処理を研究されているYo Eharaさん(@niam)からご指摘をいただいたことは、そうした経験のひとつでした。他にも、私の研究分野である著作権のこと、政治や出版の未来に関すること、そしてTwitterの便利ツール情報など......。この連載が無事に最終回を迎えられたのは、そういったフォロワーの皆様からいただいた刺激や、励ましによるところが非常に大きいと感じています。
mixiやブログでは得られなかった体験を、Twitterに本気で取り組むことで、ギュッと凝縮して味わうことができた2ヶ月間でした。改めて、フォロワーの皆様にそして、温かく時に厳しく(?)見守ってくれた、できるネット+編集部の通称「できるおじさん(@dekirunet)」に感謝です!
「フォローして」と求めるだけではうまくいかない
連載の第1回では、最初の段階で考えていたフォロワー1000人を目指すための5つの方法を紹介しました。この段階では「フォロワーを1000人」という数字を強く意識したものとなっています。
しかし、第2回でのコグレマサトさん(@kogure)、いしたにまさきさん(@masakiishitani)のインタビューで「フォロワーを急に増やすのは危険」というショッキングな指摘をいただいたこともあり、そもそもの取り組み方を変えていきました。
もちろん数字を意識しなかったわけではありませんが、話の合いそうな方をたくさん探して、たくさん会話をして、その結果として、直接会話をした方や、会話を見ておもしろがってくださった方がフォロワーとして増えていく、という形を目指しました。
ということで、以下に新しい「5つの方法」を紹介します。これは「効率よく1000人までフォロワーを増やす方法」にはなっていません。Twitterを楽しみ、多くの興味深いユーザーと出会うための方法だと考えています。時間はかかるかも知れませんが、その結果として、より強い関係でつながったフォロワーが増えるはずです。
1. 話の合いそうなユーザーをいろいろなツールを駆使して探し、積極的にフォローする
2. 見つけたユーザーとつながっているユーザーもフォローしていく
3. プロフィールや背景画像・アイコンに一工夫
4. リツイートや返信で会話をつなぎ、関係を作っていく
5. ハッシュタグを活用する
1の「いろいろなツール」のひとつとして、第2回ではTwitterのホームページから興味のあるキーワードで検索する方法を紹介しました。その他でよく利用したのは「MentionMap」というサービスでした。今後もこうした、ユーザー探しに役立つサービスは多数登場すると思います。
自分や気になるユーザーのIDを入力すると、そのユーザーとよくやりとりをしているユーザーの関係図を表示してくれます。やりとりの多さはつながりの太さとなって現れるので、視覚的に関係が見えやすいのが特長です。ここから「友だちの友だち」をさがして、フォローする人を見つけるのです。フォロワーの方どうしの会話から、存在を知りました。
気になるユーザーのIDを入力すると、そのユーザーがよくやりとりをしている相手や、利用しているハッシュタグが表示されます
その他、この企画を進める中でお世話になったサービスを、3つご紹介します。
キリ番さん
@kiribansanをフォローしていると、フォロワー数やツイート数が、ぞろ目やきりの良い数字になったときにメッセージで教えてくれます。フォロワー1000人達成の瞬間には残念ながらメンテナンス中だったようですが、やはりこれも目安となりますし、つぶやくネタを提供してくれます。
キリ番さんは、Twitterのちょっとした「区切り」になるときを教えてくれます
TwitterCounter
フォロワーの方から教えていただいたサービスです。フォロー・フォロワー・つぶやきの推移をグラフで表示してくれます。自分のデータだけでなく、他のユーザーとの比較もできて高機能。数がすべてではない、と言いつつも、ときどき確認して励みにしていました。
このご時世に珍しい、右肩上がりで気持ちのいいグラフです(笑)
TweetLevel
こちらもフォロワーの方から教えていただきました。自分の発言の影響度などを計測し、点数を表示してくれます。フォロワーが増え、リツイートされることが増えていくことで数値も伸びていきます。かなり励みになりました。
自分がどれくらい影響力を持っているかを数値化し、知らせてくれます
第1回の段階では「#followmeJPタグを活用する(#followmeJPというハッシュタグを利用することで、多くのフォロワーを増やしたいユーザーの目に止まり、フォローしてもらえます)」という項目を入れていたのですが、今回、これははずしました。効果はかなり高いようですが、今回はもう少し苦労して、また、前述のように、会話によって関係を作ることにこだわってみたいと考えたためです。
Twitterを始めたばかりでとっかかりになるものが見つからないという方には、自分の趣味などの自己紹介とともに、#followmeJPタグを付けてつぶやいたり、#followmeJPタグを検索してフォローする相手を探すことも、手軽で、効果的な仲間を探す方法になるのではないかと思います。ただ、これに頼りすぎないほうが良いかなというのが、私の感想です。
その代わりに、「4. リツイートや返信で会話をつなぎ、関係を作っていく」を加えました。フォロワーの数が100人を超えたあたりから、思わぬ方から返信をいただいたり、リツイートされることがあり、とても楽しくて刺激的な体験ができました。
ということは、私のほうからも(迷惑でなければ.........)そういった体験を提供できるかもしれない、ということで「積極的に一歩踏み出す、絡んでいく」ようにしています。
「絡んでいく」といっても茶々を入れるような感じではなく、そのやりとりに貢献するような合いの手を入れるイメージです。質問をするときでも、学校の授業で「良い質問ですね」と評価されるような、あるいは同じクラスの仲間に「それ俺も聞きたかった!」と感じてもらえるような、そんな内容を心がけるようにしています。
そのためには自分からすすんで手を挙げる勇気が求められますが、そこで一歩踏み出すことで松村太郎さん(@taromatsumura)の言う「チアリーダー」や「バディ」が現れて、または自分を「チアリーダー」や「バディ」だと感じてくれる人ができて、きっと応援してくれるはずです。私も、この企画を通じて、Twitter上でのチアリーダーやバディだと思える方を見つけることができました。これまでに返信やリツイートを何度も送ってくださった方たちが、まさにそうです。
進化し続けるTwitterとクライアントソフトをうまく活用
連載を始めてから(編集部注:正確には執筆途中の10月30日に)Twitterに大きな機能追加が行われました。それがリスト機能です。自分がどのようなリストに加えられ、どんな人と共にグループ分けされているのかを確認できるので、自分のツイートがどう受け止められ、他の人からどのように見られているのかを客観的に知ることができるようになりました。また、フォローする相手を見つけるときにもとても役立つ機能です。
私が登録されているリストの一覧。2009年12月24日現在で59のリストに追加していただいています。リスト名を見ると、メディア関係者のリスト、東京大学関係者のリストが目立ちます
この新機能をいちはやくサポートするべく、クライアントソフト(※2)のバージョンアップも相次ぎました。
私は連載当初はTwitterのクライアントソフトとして、企画の開始時にはPC用に「TweetDeck」、iPhone用は「Echofon」を利用していました。この2つのソフトは、シンプルな画面設計で一覧性に優れているので、たくさんのツイートを読み、話の流れを追っていくことが簡単になっています。初めてTwitterのクライアントソフトを使うならば、お勧めできるペアではないかと思います。
企画の途中で、フォロー数が200~300を超えたあたりから、タイムラインが猛烈な速さで流れていくようになり、シンプルなツールではそれを追うことが難しくなります。この頃にPCでは「HootSuite」、iPhoneでは「TwitBird Pro」または「HootSuite(iPhone版)」を使うようになりました。
HootSuiteは、ユーザーをグルーピングする機能が非常に強力なので、追いかけたい話題ごとにグループを作ってツイートを見ています。また、Webブラウザで動作するため他の作業と並行して利用しやすいのが気に入っています。
TwitBirdProは、自分宛ての返信やリツイートがあったときにプッシュ通知をしてくれるため、すばやく反応できるようになります。
「HootSuite」はユーザーのグループ管理機能に定評あり。Twitterのリストにも早いタイミングで対応しました
「TwitBird Pro」は、プッシュ通知機能が強力です
これらのクライアントソフトは、Twitterと向き合う上では避けて通れない「タイムラインが追えない!」という問題にどう対処するか、そのときに誰かのフォローを解除するべきか、という悩みに、ひとつの答えを与えてくれます。
クライアントソフトのグループ機能やフィルタ機能を使えば、あるタイミングで突然大量につぶやき始めるユーザーや、全体的なタイムラインの流量増加にも、うまく対応できます。
これらのツールの助けも借りつつ、松村さんのインタビューの中であった、「身近な、自分にとっては当たり前のできごとも、他の人と価値を共有できる可能性がある」こと、そして、「その時その場で自分でしか情報発信できないことには、他に替えられない価値がある」ことを忘れずに、機動力をもってつぶやいていきます。そのためにもiPhoneのフリック入力にもっと慣れなければ!
さて次の目標は??
2ヶ月間のチャレンジが終わりました。フォロワー1000人という目標は達成し、「さて次は?」という質問もいただいています。
次は1万人を! というようなことは考えていません。ここまでにも述べてきたように、会話を楽しむこと、関係を作っていくことが大事だと考えていますので。2ヶ月足らずでフォロワー1000人というのもコグレさん・いしたにさんに指摘をいただいたように、かなり無理のあるペースだったと反省する部分もあります。
mixiやあるいは2ちゃんねるとは異なるネットコミュニティとの向き合い方が生まれるのがTwitterのおもしろさであり、それはある程度のフォロワー数がないと体験できないことは間違いありません。ただ、あまり急激に増やすと負担が増してしまい、嫌気がさすこともあると思います。
私は今回「仕事」としてかなり時間をかけられたことと、クライアントソフトの利用を工夫したことで、そうした問題は回避できました。しかし趣味として楽しむ方は、実際の生活のペースとあわせてじっくり取り組むのが正解です。
でも、何か目標があったほうが楽しいことは確かです。個人的には、今勉強を進めている英語でもつぶやいて、海外のTwitterユーザーともやりとりを始めていきたいと考えています。
2010年1月よりアルクさんの「TOEIC800攻略日記」いうブログ企画に参加することになり、Twitterとも連携させてチャレンジをしていくつもりです! こちらも800点という目標を約5ヶ月での達成を目指すというものですので、ときどきその様子についてツイートしていきます。
また、ASCII.jpさんでも特集連載が年明けから始まります。その取材の模様などもつぶやいていけたらと思います。今後ともよろしくお願いいたします!
結局、Twitterは何の役に立つのか?
今回の企画を通じて、実際にお会いする人から「Twitterが何の役に立つのか?」という質問を受けることも増えました。最後にそれをまとめて、連載を締めくくりたいと思います。
私の場合は、以下のような具体的なメリットがあったと感じています。
1.すばやい情報入手と伝達のツール
Twitterでの情報流通は圧倒的に速いです。新聞はもちろん、テレビやネットのニュースメディアよりも早く現場からの情報が届き、あっという間に広がっていきます。これは、自分のフォロー数を200~300ぐらいに増やした頃から、しばしば見られるようになりました。
2.ディスカッションやブレーンストーミングの場
自分の意見や考えをツイートしたことに対して反応をいただいたり、他の方のツイートに反応することを通じて、同意や、自分とは異なる意見を意見をいただくことができました。中にはその分野に精通した専門家からの貴重なご意見もあり、自分の思考や視野が広がりました。
3.気分転換や癒しの機会
ちょっとした悩みや愚痴をつぶやくことで、励ましや助言を得られ、気持ちを切り替えるきっかけになる場面が多々ありました。これは、精神衛生的にけっこう大きな意味がると感じています。
この企画を始める前、フォロワー100人前後の頃には、なかなか反応が返ってこなかったり、タイムラインがあまり動かない状態が続いてしまっていました。そうした状態を脱して新しい世界を体験するべく、こうして本腰を入れて取り組む機会を持てたのは、大変意味があったと感じています。
もちろん、ここでの「取り組む」とは「フォロワーを増やすぞ」という方向ではなく、話が合いそうな人を見つけて、積極的にフォローして絡んでいく、という活動を意識的にやってみた、ということです。
松村さんは、家を出てから会社に着くまでに10回ツイートする、という提案をされていました。私の場合は、仕事が立て込んでいなければ1時間に1回はつぶやこうと思っていましたが、そういう意識を持っていると、ニュースについてツイートしたり、おもしろい発言をリツイートすることで、いつの間にか、かなりの量をつぶやくことができてしまっていました。
Twitterでの活動状況を分析するサービス「TweetStats」によると、2009年11月は1000件近く(973件)もつぶやいていました
来週~再来週は、Twitterが日本でブレークしてから初めての年末年始です。こたつでみかんでも食べながら、じっくりTwitterを楽しんでみてはいかがでしょうか? 私も引き続きいろいろとつぶやいていますので、ぜひ絡んできてください!
返信(リプライ:Reply)は、他のユーザーに対しての返事。ツイートの頭に「@返信先ユーザー名」が入っていて、返信先と返信元の両方をフォローしているユーザーのタイムラインにだけ表示されます。
一方でリツイート(Retweet。「RT」と略されることも)は、他のユーザーのツイートを自分が繰り返し、紹介すること。自分をフォローしている人には普通のツイートと同じように表示されます。
TwitterのWebページ以外で利用するためのPCやiPhone向けのソフトのこと。自動的に新しいツイートが表示されたり、写真を添付できるなど、Twitterの利便性が格段に向上します。