「フォロワー1000人」でお世話になった方に会いたい
おひさしぶりです、まつもとあつし(@a_matsumoto)です。
2009年11月に、約120人だったフォロワーを1000人にする「フォロワー1000人できるかな?」企画にチャレンジし、無事達成できました。読者の皆様、フォロワーの皆様のおかげです!
フォロワーが1000人になった後はどうするのか? というご意見もいただきました。Twitterにおいてフォロワーを増やすことは最終目的ではありません。そうして広がった関係の中で、実際の生活が楽しくなったり、仕事に役立つコミュニケーションができたりすることをお伝えしたいと思いました。
そこで「フォロワー1000人 その後」を、何回かに分けてレポートします。よろしくお付き合いください。
「フォロワー1000人」企画のきっかけだった「ある程度のフォロワーが居ないとTwitterは楽しめない」という悩み(もともとは林信行さんへのインタビューがきっかけでした)も解消し、楽しくTwitterを活用しています
「チーム奈落」を知っていますか?
さる2010年2月6日、私はTwitterの「チーム奈落」のオフ会に参加しました。Twitterでのオフ会に参加するのは、これが初めてのことです。
Twitterでは、何らかの特定のテーマに沿って大勢で話すときに、情報を集約しやすいように「ハッシュタグ」と呼ばれる「#」で始まる記号を利用します。「フォロワー1000人できるかな」企画では「#follower_1000」というハッシュタグを使いました。
「チーム奈落」は、「#team_naraku」というハッシュタグを使い、おしゃべりを楽しむ人たちです。利用するソフトによってはハッシュタグで検索した結果は1つのまとまったタイムライン(ツイートの流れ)として見られるので、「#team_naraku」の検索結果は、さながらリアルタイム掲示板のようになります。
ハッシュタグで集まる、クラブ活動のようなつながり
チーム奈落では、何か特定の話題について議論や情報交換をしているわけではなく、ハッシュタグ「#team_naraku」を付けてツイートすることで、ゆるやかなつながり、クラブ活動のような、ちょっとした所属意識を共有しています。
「チーム奈落」の存在を知ったのは、「フォロワー1000人」への挑戦を始めたばかりの頃に、私の何気ないツイートに返信してくれたり、リツイートしてくれたりと、よく「絡んで」くださった方が、ときおり「#team_naraku」を付けたツイートをしていたのがきっかけでした。
後ほど紹介するその方が何かにつけて絡んでくれたことは、「フォロワー1000人」に挑戦し、Twitterの楽しみを見つけていく中での、大きな心の支えとなりました。松村太郎さんのインタビューで伺ったところの「チアリーダー」にあたる方だと、私は思っています。その後、私がフォローしていく人の中には「#team_naraku」を使う人が1人、2人と増えていきます。
至言・格言的な「とっておきの一言」をツイートする人が多かった私のタイムラインにあって、「#team_naraku」の付いたツイートは、あいさつの一言だったり、ぱっと見ただけでは意味が分からない言葉遊びめいたものだったりと軽いものが多く、楽しそうな雰囲気が感じられました。
「チーム奈落」のWebサイトもあります:ようこそ奈落へ! Now Luck. Twitter-er's Desperado
楽しみと不安。「奈落民」はどんな人たち?
そのような折、よく絡んでくださっていた方から「チーム奈落のオフ会を今度やるのですが、参加されませんか?」と、お誘いをいただきました。
改めて考えてみると「チーム奈落」とは、ちょっと自虐的なニュアンスのある名前です。彼らは「奈落民」と自称することもあり、「#team_naraku」を付けたツイートにどっぷりとはまることを「奈落に落ちる」といった言い方をすることもあります。
いったい、どのような人たちの集まりなのでしょうか? 楽しみ半分、不安も半分でしたが、聞けば、Twitter上に集まった「奈落民」が顔を合わせるオフ会は、今回が初めてとのこと。となれば、オフ会に集まる方々のほとんどは初対面同士、ということでしょう。
それならばかえって参加しやすいはずだと思い、また、これまでお世話になった方と実際に会い、お礼をしたり、いろいろとお話もしたくて、都内のイタリア料理店で開催された「第一回奈落オフ会 in 東京」に、おっかなびっくりで参加しました。
オフ会の告知ページは、Twitterと連携して利用できる「Tweetvite」で作成。参加表明が簡単にでき、管理もしやすいサービスです
見事な仕切りで、和気あいあいムードのオフ会
少し早めに会場に着くと、すでに30人ほどの「奈落民」の皆さんが集まっていました。最初に受け付けを済ませると、名札と参加メンバーの一覧表が渡されました。名札にはTwitterのアイコンが表示されていて、奈落民どうしなら、誰が誰なのか、一目で分かります。幹事の@karura8さんが中心となって準備されたそうですが、見事な仕切りです。
学生から社会人まで、いろんなバックボーンの方が、都内だけでなく全国からやってきて、「あの@○○さんですね!」とTwitterのアカウント名で呼びあっています。
「チーム奈落」という名前や激しいツイートの応酬から想像していた、Twitterに夢中になりすぎの人たちといった印象はまったくなく、ごく普通の人たちが集まり、ワイン片手に和気あいあいと会話が繰り広げられています。
おしゃれな店内で談笑が交わされています。日頃Twitter上でコミュニケーションしていることと、名札等の効果もあり、すぐに打ち解けたムードに
Webカメラを搭載したPCから、インターネット動画配信サービス「Ustream」による生中継も。機材の周辺だけはマニアックな空気が漂っていました!
「B級ドリンクの感想」が「チーム奈落」誕生のきっかけ
ハッシュタグ「#team_naraku」を最初に提案(2009年12月5日深夜とのこと)したのは、@wanderer_keikoさん。チーム奈落の創始者ということになります。
「チーム奈落」誕生のきっかけは、変わり種ドリンク(『ペプシしそ』『ペプシあずき』などの変わり種ドリンク)を飲んだをツイートしたこと感想から、だったそうです。
「もともと私は、個人的なつぶやきを書きたくてTwitterを始めていました。時おりドリンクの感想をつぶやいていたら、@karura8さんや今の奈落民の方たちが絡んでくれるようになりました。そのような中で、みんなTwitterにはまり込んでいく......ということから@karura8さんが最初に「奈落」という言葉を使い、@YO_KO3さんが「チーム奈落」と言い、それが「TEAM NARAKU」になり、ではハッシュタグに、と私が提案しました(@wanderer_keikoさん)」
チーム奈落誕生から、わずか2か月後のオフ会開催時点で1600人以上が「#team_naraku」を使っている状態に、@wanderer_keikoさんも「まさかこんなことになるとは......」と驚いているそうです。これだけ大きなコミュニティを作ったのだから、ネットの達人なのでは、と想像していたのですが、反対に、ブログやmixiの経験はほとんどなかったとのことです。そのような方が、意図しないうちに、しかも短期間でこれだけ大きなネットワークを築いているということに、驚かされました。
オフ会の参加も今回が初めて。初めてのオフ会の感想は「ふだんTwitterをやっていても感じることですが、こうやって実際に顔を見て話ができると、『あー、世界が広がったなあ』って実感します」。
チーム奈落の「言い出しっぺ」である@wanderer_keikoさんは、奈落民の間では「卑弥呼様」とも。 奈落語大辞典によると、「ペプシあずき」は「奈落認定公式B級飲料」だそうです
「チアリーダー」と感動の対面!
さて、「フォロワー1000人」挑戦当初から、すごい勢いで(良い意味で)絡んでくれた、私にとっての「チアリーダー」的な存在の方は、@shepherd_farmさんです。
始めは、正直なところ「なんでこんなに返信やリツイートをしてくれるんだろう?」と不思議に思う面がありました。しかし、松村太郎さんのインタビューで「チアとバディ」の話を伺い、「そうだ! まさにこういうことをしてくれる方がチアリーダー的な存在なんだ」と、とてもうれしく感じるようになりました。
その後になって気づくのですが、@shepherd_farmさんは筋金入りの奈落民。皆さんからは「姐さん」とも呼ばれていました。1か月に1万1千ツイート(2010年1月)を記録したこともある、ある意味で非常にハイレベルな方です。
お話を伺ってみると、「フォロワー1000人できるかな」を読んで私のことを知り、絡みはじめてくれたそうです。当初は男性かと思っていたのですが、だんだん会話をする中で、女性だとわかりました。
実際にお会いした@shepherd_farmさんは小柄で、芯が強そうな感じもありながらもおしとやかな雰囲気の女性で、月に1万1千ツイートもするような猛者(?)といった雰囲気はまったく感じられませんでした。しかし、はるばる福島県から「高速バスで来ようとしたら途中で(豪雪のため)止まってしまって、しかたがないから新幹線で来たんです」とのこと。やはり猛者なのかも......。
「フォロワー1000人できるかな」の企画に取り組んでいたときには、まだTwitterに慣れていなかったこともあり、どのようなツイートをすればいいのかわからなくなることもありました。けれども、@shepherd_farmさんのような、私にとっての「チアリーダー」の存在に助けられた場面も多かったのです。
何かをツイートすれば、きっと絡んでくれる、そこから反応の輪が拡がっていく、という期待があるのとないのとでは、Twitterとの向き合い方が変わってきます。今回感謝の気持ちが直接伝えられたのは本当に良い機会でした。
お話をしたところ、@shepherd_farmさんは普段は教育のお仕事につかれているそうです。それなのにこれだけツイートできるのも凄いことですが、うまく人に「絡んで」良さを引き出せるのは、そういったバックボーンが活きているのかもしれません。
@shepherd_farmさんと感動の対面。いつも応援していただいた御礼に著書「できるポケット+ Gmail」を贈らせていただきました!
何かをつぶやくと返信やRTで絡んでいただけるのは、1人ではない、と励まされる気持ちになります。まさにチアリーダー。実はオフ会参加直後に風邪をひいてしまったのですが、@shepherd_farmさんのアドバイスにより、栄養補給ができました
あのサービスの中の人も実は「奈落民」
オフ会には、企業のTwitterアカウントの「中の人」も何人か参加していました。Q&Aサービス「OKWave」の公式アカウント「@okwave」さんは、もその1人です。普段から公式アカウントで、「#team_naraku」を付けたツイートをされています。
日中はユーザーサポートの一環としてTwitterを活用する@okwaveさんですが、夜中は同じ@okwaveのままでいながら、自社サービスとは関係なく「奈落」を楽しんでいるとのこと。「個人アカウントも持っているけれど、ほとんど使っていません」だそうです
「企業」というよりも「個人」を意識させられるTwitterでは、こういったオン・オフの切り替え方も有効だと言えそうです。できるおじさん(@dekirunet)にもがんばってもらわなければ(笑)。
Twitter連携サービスの名前である「OKetter(おけったー)さん」とも呼ばれていた@OKWaveさん。Twitterでのやりとりと同じく、軽妙なやりとりが印象的でした
カジュアルな楽しみ方から、思わぬ新しいネットワークも広がる
こうして、奈落オフの夜は更けていきました。締め切りを抱える私は一次会で失礼させていただいたのですが、どうやら5次会6次会といったあたりまで楽しんだ方もいらしたようです。Twitterでの日常的なコミュニケーションがあるので、じっくり語り合いたい、という機運が高まっていたように思います。実際、オフ会後は、さらに「#team_naraku」のログのスピードが上がって、大変なことになっていました(笑)。
また、「写真部」や「文具部」、「水無しメロンパン&おやつ部」など、チーム奈落内に「部活」よばれるさまざまな集まりができ、新しいつながりが生まれています。
このオフ会を通じて感じたことは大きく2つあります。1つは、ハッシュタグを利用したツイートで、Twitter上での「関係作り」を多面的でおもしろいものにできる、ということです。
「#team_naraku」のようなハッシュタグを付けてツイートすることで、フォロー・フォロワーの関係を越えて、ハッシュタグを利用する多くのユーザーにツイートが読まれることになります。
また、ハッシュタグを利用してツイートを読むということは、フォローしたユーザーを軸にするのではなく、特定のテーマを軸に情報を収集し、そこから新しいユーザーを見つけることができます。また、ハッシュタグをつけてツイートしていると、そのテーマに関心の高いユーザーにフォローしてもらえる可能性が高まります。
一連のやりとりから、もし相手と実際に会う場合には、さまざまな側面をあらかじめ知ることができます。だからこそ、会った時のコミュニケーションもより濃密で意義のあるものになる可能性が高まります。自分自身の多様な興味・関心をTwitterで表現し、交流を深めることができるのです。
もう1つは、どちらかと言うと、「意味や価値のあるつぶやき」をすることがフォロワーを維持し、増やすコツとされる一方で、「他愛のないつぶやき」でもハッシュタグによる集団化で、まったく別の価値を生み出す可能性がある、ということです。「#team_naraku」タグを通じて新しいネットワークが次々と生まれていることは、それを証明しています。
なんだかすごいことをつぶやくフォローが多くて、何をつぶやいて良いか躊躇してしまう、という人は、チーム奈落のようなカジュアルツイート中心の集まりに飛び込んでみるのも、おすすめと言えそうです。一見単純に見えて、奥が深いTwitter。そこには新しい世界が広がっているはずです。
「できるポケット+ iPhoneでGoogle活用術」4月16日発売
できるポケット+ iPhoneでGoogle活用術 まつもとあつし&できるシリーズ編集部 著 定価998円(本体950円+税) 2010年4月16日発売 |
2月のイベントのレポートがこの時期になってしまいました。快くオフ会にお迎えいただいたチーム奈落の皆様、レポートが遅くなりまして申し訳ありません。
実は、レポートの遅れた一因に、新しい著書の制作が大詰めであったことがあります。その新刊「できるポケット+ iPhoneでGoogle活用術」が、4月16日に発売になります。
チーム奈落オフに参加された方々の間でも所持率が高かったiPhoneですが、iPhoneでできることは、当然ながらTwitterだけではありません! 本書では「Gmail」「Googleカレンダー」「Googleリーダー」などGoogleのサービスとiPhoneを連携させ、さらにパソコンも合わせたトータルな情報管理環境を作っていくためのワザを解説しています。さらなるiPhone使いこなしのために、ぜひ本書をお役立てください。
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