「指数平滑化」で将来の値を予測

もともとExcelには「FORECAST」という関数があり、線形予測と呼ばれる手法で値を予測することができました。線形予測では、既知のxとyの範囲から回帰直線を求め、予測に使うxに対するyの値を導き出します。

Excel 2016では、FORECAST関数を拡張した「FORECAST.ETS」関数の働きにより、指数平滑化に基づく予測が可能になりました。これは時系列分析の手法の1つで、過去のデータよりも新しいデータを重視して予測を行う特性を持ちます。

この指数平滑化による予測を簡単に実行できるのが「予測シート」機能です。日付や時刻を入力された列と、それに対応する値を持つ列の組み合わせを参照し、将来の値を予測して表示します。使い方はとても簡単で、表を選択して[予測シート]ボタンをクリックするだけです。さっそく手順を見てみましょう。

予測シートを作成する

1予測シートの元データとなる表を作成する

予測シートの元データとなる表を作成する

予測シートの元データとなる表を用意します。表内には時系列とそれに対応する値を入力し、表のいずれかのセルを選択した状態で、[データ]タブにある[予測シート]ボタンをクリックします。

2予測シートが作成された

予測シートが作成された

[予測ワークシートの作成]ダイアログボックスが表示され、折れ線グラフで示された予測シートが作成されました。グラフの凡例も自動的に用意されます。

信頼区間とは、結果の95%がその範囲に含まれると想定された、正規分布を使って導き出された範囲であり、上限と下限の幅が狭いほど信頼性が高いことを示しています。

HINT予測期間やグラフを変更するには

[予測ワークシートの作成]ダイアログボックスの[予測終了]で、いつの時点まで予測を行うかを指定できます。カレンダーのアイコンをクリックすると、月表示のカレンダーを見ながら予測終了日を指定できます。

また、右上の縦棒グラフのボタンをクリックすると、グラフの種類が縦棒に切り替わります。

予測期間やグラフを変更するには

グラフを縦棒に切り替え、さらに予測期間を変更するためのカレンダーを表示したところ。内容に合わせて折れ線グラフと縦棒グラフを使い分けましょう。

予測シートをワークシートに貼り付ける

[予測ワークシートの作成]ダイアログボックスで[作成]をクリックすると、予測シートのグラフがワークシートに貼り付けられます。さらに、元の表がテーブルに変換され、[予測]と[信頼下限]、[信頼上限]の列が追加されます。

予測シートをワークシートに貼り付ける

ワークシートに貼り付けた予測シートは、通常のグラフと同じように移動、拡大・縮小、デザインや書式の変更が可能です。

指数平滑化による分析は、将来の在庫量や財務に関わる数値など、さまざまな予測に用いられています。もちろん、必ず正しい数値が得られるわけではありませんが、将来分析を行う際の根拠の1つとして利用できるでしょう。

HINT予測の精度を確かめるには

[予測ワークシートの作成]ダイアログボックスで[オプション]を展開すると、[予測開始]の日付を変更できます。このオプションで実績値がある日付を指定すると、指数平滑化による予測と実績値を比較することが可能です。これを利用すれば、予測の精度を確認できるでしょう。

予測の精度を確かめるには

予測開始日として過去の日付を設定したところ。青の実績値とオレンジの予測値を比較できるグラフが作成されています。