Instagramマーケティングで目指すこと

Instagramの特徴に合うマーケティングの方向性を知る

独自のポジションを築いて成長中のメディア

デジタルマーケティングでのSNSの位置付けを理解するではデジタルマーケティングにおけるSNSの位置付けを解説しましたが、ひと口にSNSと言っても、Facebook、Tw itter、L INEなどサービスにより利用できる機能やユーザーの行動、文化などは異なります。

サービスの特徴を、投稿のメインは言語(文字中心)か非言語(写真や動画中心)か、サービス内で情報を拡散する仕組みを持つか持たないか、という2軸で比べてみましょう。すると、 Instagramは現在の主要なSNSの中で、非言語のビジュアル情報を主体とし、サービス内での拡散機能を持たないという、独特のポジションであることがわかります。

Instagramの持つ機能的な特徴から、ユーザーは情報を広めることよりも、フォローしている/されているユーザーとの関係に集中できます。その結果、きれいな写真を公開する、フィードにきれいな写真が流れるようにフォローを厳選する、ある程度知った間柄を想定して自分をよく見せる写真でアピールする、文章よりもハッシュタグを使ったテキスト表現に凝る、といった文化が生まれてきたと考えられます。

主要なSNSの機能的特徴の分布

Instagramの特徴を生かせるマーケティングとは?

多くのユーザーが集まる Instagramをマーケティングに活用することは、企業にとって有用であるはずです。しかし、同じSNSでも機能が異なるため、FacebookやTw itterなどと同じやり方をしても成果が出せるわけではありません。 Instagramではどのような取り組みが考えられるでしょうか? サービスの特徴を考えると、次の2つが適しています。

①ビジュアルを活用した地道なブランディング

Instagramは広く拡散したり、外部サイトに簡単に誘導したりできないので、宣伝や販促に強いメディアではありません。

一方で、ユーザーはフォローしたアカウントの写真をよく見ており、一度できた関係を時間をかけて強くしていくことに向いています。この特性を生かして、コツコツと地道にフォロワーを増やしながら、写真や動画を使って自社ブランドへのエンゲージメント(共感や信頼感)を高めていくことに、 Instagramは適しています。

「ブランド」「ブランディング」というと大げさに感じる人もいるかもしれません。しかし、実際は多くの企業が当たり前に行っていることです。「買ってください!」とアピールする販促活動ではなく、「欲しい」「体験したい」という気持ちをユーザーの中に育て、「きっと気に入るだろう」「いい経験ができるだろう」といった肯定的な印象を持ってもらうための活動が「ブランディング」であり、そうした期待に応えるビジネスを続け、実績や信頼を商品名や商標で象徴させたものが「ブランド」です。

写真や「いいね!」のやりとりを通じて自社への肯定的な印象を育て、ブランドへの理解を深めてもらう。そして、商品を目にしたときに、写真で伝えてきたメッセージやイメージを思い浮かべてもらい、購入などの行動を起こそうとする気持ちを後押しする。企業がInstagramマーケティングに取り組むもっとも大きな意味は、こうした点にあります。

②グローバルの非言語コミュニケーション

Instagramは非言語メディアなので、言語の壁を簡単に越えることができます。外国語が苦手な担当者でも、写真にハッシュタグを付けて公開すれば世界中のユーザーから「いいね!」やコメントが集まります。また、ビジュアルを補足するための簡単な文章でコミュニケーションを取り、エンゲージメントを高めることができます。

ほかのSNSと違って、 Instagramではグローバル企業でも1つのアカウントで世界に向けて発信している場合がほとんどだと「基本1」でも述べました。世界的に展開している企業はもちろん、観光や飲食業など、海外からの旅行者や訪問者も顧客として想定される業種では、コストをかけずに幅広い層にアピールする場として活用できます。