「撮りたい」+「撮りやすい」テーマが参加しやすい

ユーザーを巻き込むキャンペーンの手法でもっともオーソドックスなものは、写真のテーマを告知し、ユーザーに投稿してもらう形です。本書では、この手法を「参加型キャンペーン」と呼びます。

参加型キャンペーンではテーマの設定が重要です。ユーザー自身が「撮りたい、投稿したい」と思えるテーマであることは大前提となります。投稿してもらうのはあくまでもユーザー自身のフィードで、写真がフォロワーの目に留まり「いいね!」と感じてもらうことが重要ですから、「そのテーマでユーザーは写真を撮りたいと思うか?」を熟考する必要があります。

いくら宣伝を目的としていても「自社商品とあなた」のようなストレートすぎるテーマでは、商品の熱心なファンしか投稿してくれないでしょう。

また、明らかにきれいな写真にはならないと想像されるテーマもだめです。例えば掃除関連商品のPRで「お掃除前の部屋の写真を募集!」のようなテーマは、ほかのSNSでは「ネタ」として乗ってくれるユーザーがいるかもしれませんが、Instagramのキャンペーンには適しません。

きれいな写真であることに加え、撮りやすいテーマで参加のハードルを下げることも重要です。訪れることが難しい場所や撮影のためにお金がかかる被写体がテーマでは、ハードルが上がってしまいます。

また、きれいな写真であることは大事ですが、「上手な写真」の募集になるとハードルが上がってしまうので、楽しさやかわいらしさなどを打ち出し、多くの人にとって参加しやすいテーマにすることを考えましょう。身近な撮りやすい被写体で、ちょっとした撮り方の工夫を楽しめるテーマがベストです。

人気があり撮りやすい「ネコ」を自社ブランドと絡めた例

うまいテーマ設定の例として、ヤマト運輸株式会社が同社のサービス「宅急便コンパクト」のPRとして2015年9〜12月に行った「撮って送って! ニャン箱パココンテスト」キャンペーンを紹介します。同社の「クロネコ」および「宅急便」のイメージと絡めて、「箱に入ったネコ」の写真を投稿してもらうキャンペーンです。

投稿された写真はほかのユーザーが自由にFacebookやTwitterで共有できるようになっていて、話題が拡散する設計もされています。

「ペット」や「子ども」は多くのユーザーにとって身近で、Instagramで多く投稿されている被写体です。ハードルが低く、工夫して撮影したい欲求をうまくくすぐることもでき、ブランドへの親近感も醸成できる、実に秀逸なテーマ設定だといえます。

ヤマト運輸「撮って送って! ニャン箱コンテスト」

「箱に入った猫」の写真を投稿してもらうキャンペーン。Instagram、Facebook、Twitterなどで関連の投稿が拡散された。2015年12月でキャンペーンは終了している。

LINK ヤマト運輸「撮って送って! ニャン箱パココンテスト」