写真を撮ることを前提にイベントを設計する

リアルなイベントでユーザーに見たものや体験したことを写真で投稿してもらうキャンペーンを、本書では「体験型キャンペーン」と呼びます。この方法で重要なのは、イベントそのものを、インスタジェニックな被写体や体験を提供する内容にすることです。

イベントのブースで商品やサービスが持つ色彩や形を生かした展示を撮影できるようにしたり、キャラクターや会場の仕掛けで盛り上げたり、といった手法が考えられます。

ユーザー自身に「自撮り」してもらうことを想定するならば、友達どうしで撮影し合うシチュエーションを作ったり、撮影用のスタッフを配置したり、といった配慮も必要です。

もちろん、ブランドや商品の認知向上を意識することも大切です。撮影用のスペースの壁紙にブランドロゴを印刷するなどして、写真にロゴが写り込み、ひと目で何の写真かがわかるようにするのが一般的です。

「水」でアピールした「い・ろ・は・す」キャンペーン

大がかりなものになりますが、日本コカ・コーラ株式会社が2015年7〜8月に「六本木ヒルズ夏祭り」で実施した「い・ろ・は・す」の「LOVE WATER PHOTO」キャンペーンは、よく練り込まれた仕掛けで話題になりました。

撮影用のスペースに、ユーザーの手元で柱やボール、ハート型などの形に水が飛び出す仕掛けを用意して、一瞬の動きを捉えられるハイスピードカメラを使い、水がはじけた瞬間を撮影し、ユーザーにメールで送信します。この写真をその場でユーザーのスマートフォンからInstagramなどに投稿すると、記念品として「い・ろ・は・す」がもらえます。

超高速撮影による通常では撮影できない写真、しかも暑い夏に涼しさを運ぶ写真は、その場でイベントを楽しんだ記念にもなり、ぜひ投稿したいと思えるものです。撮影された写真に「い・ろ・は・す」ロゴが合成されて、投稿されたときに商品がきちんと認知されることもポイントとなっています。

日本コカ・コーラ「LOVE WATER PHOTO」キャンペーン

飲料水「い・ろ・は・す」のキャンペーンとして実施。肉眼で捉えにくく、スマートフォンや一般的なカメラでも撮影が難しい水がはじけた瞬間の写真をハイスピードカメラで撮影した写真は、InstagramなどのSNSに投稿したいと思わせる魅力がある。

LINK 日本コカ・コーラ「LOVE WATER PHOTO」キャンペーン

HINTハッシュタグの周知も重要

体験型キャンペーンでは、写真を投稿したくなるイベントの仕掛けに加えて、同じイベントに参加した投稿であることを示すためのハッシュタグを必ず付けてもらうよう、周知することにも気を配りましょう。

ハッシュタグは効果測定にも重要で、イベントの参加者数とハッシュタグが付いた投稿数を比較して、どの程度の割合の参加者に投稿してもらえたかを調べることもできます。

ハッシュタグについて詳しくは、覚えやすくユニークな専用のハッシュタグを作る目立つ場所や手にする物でハッシュタグを露出するも参照にしてください。