ウェアにフリースを選ぶ理由とは?
トレッキングのプロが選ぶアクセサリーと装備

歩く時と立ち止まっている時とで撮影方法を使い分ける

原宿店でシューズ全般を担当する澤田さんは、トレッキングを中心に、ラフティングからスノーボードまで幅広いスポーツをこなします。それらのスポーツの撮影に使用している機種は「GoPro HERO4 Silver」。タッチディスプレイを内蔵しているのが特徴ですが、映像のプレビューや撮影済みデータのチェックは主にスマートフォンとのこと。

「画面が大きいのと、GoProの電池の消耗も少ないのがスマホで見る利点です。防水機能のないスマホを使っているので、沢を歩く時や、ラフティングの時のように、水辺で使う場面でのみ内蔵ディスプレイを使っています」とその理由を話します。

主に使用するマウント/アクセサリーは、伸縮可能なポールもしくは「ザ・ハンドラー」、「チェストマウントハーネス」で、シチュエーションに応じて使い分けるのがコツ。歩行時は山登り用のポールを使うことから、手持ちではなくチェストマウントにGoProを取り付けて撮影し、立ち止まって風景や自身を撮影する時にポールやザ・ハンドラーを使用しています。

「チェストマウントハーネスは臨場感が出るけれど、身体の動きでブレが出やすい」ことに注意が必要だとし、ブレ軽減のためにもフレームレートを60fpsにしておいた方がいいとのこと。

ラフティングではザ・ハンドラーを使うと万が一の落水時にも安心

チェストマウントハーネスでは
ノイズの入りにくいウェアを選ぶ

チェストマウントハーネスを使う時はウェアにも気を使ってほしい、と澤田さん。例えば触れると音が出るウェアでは、歩くたびに胸に装着したGoProのマイクにその音が入ってしまい、せっかくの臨場感や雰囲気が損なわれてしまいます。

そのため、澤田さんは音の出にくいフリースを好んで着ていると言い、気温の低い季節でも、できるだけ柔らかい繊維で起毛処理されているウェアを選ぶのがベターとのこと。ノイズが入ってしまった時は、動画編集時に録音音声をカットして、代わりに音楽を流すようにしているのだとか。

トレッキング中にGoProで撮影している人は年々増えているとも語り、動画でアクティビティを記録するニーズの高まりに驚いているという澤田さん。歩くコースの状況に応じたシューズを選ぶのと同じように、GoProに使うマウントやアクセサリー、それに直接触れるウェアについても状況に合わせて選ぶことの重要さを知って、安全に、楽しく撮影してほしいと語りました。

澤田剛史
株式会社オッシュマンズ・ジャパン 原宿店 トレーニング担当
休憩時など撮影しやすいタイミングではザ・ハンドラーやポールを使用する

スノーボードを思う存分楽しめる
GoProのアクセサリーとアイデア

本連載でシチュエーション別の撮影方法を紹介てきしましたが、用途を絞ると、具体的な使いこなし方や注意すべきところがもっと見えてきます。的確なアドバイスとともにGoProを販売しているオッシュマンズ 原宿店で、トレッキング、スノーボード、ボディボードに関する3人のプロに、一歩進んだGoProの使い方を聞きました。

手に持って良し、刺して良し
使い勝手抜群のポールを活用

服部さんは原宿店でスノーボード用品を担当し、自らも頻繁に雪山に通うスノーボーダーとして活動しています。以前はGoPro HERO3+を使っていたものの、現在は澤田さんと同じく「GoPro HERO4 Silver」を使用、画質が明らかに進化しており、ディスプレイで確認しながら撮影できるのがメリットだと強調します。

そんな服部さんが主に活用しているマウント・アクセサリーは、やはり伸縮自在のポール。先行する仲間の滑りを「追い撮り」する際にも、自分の滑りを「自撮り」する際にも、ポールは使い勝手が良いのだとか。

ただし、ポールの使い方にはコツがあるとも話します。それは、できるだけポールを長く伸ばすことと、GoProが下向きになるように構えたり角度を調整したりすること。そうすることで手ぶれが軽減し、さらにスノーボーダーとして最も注目したい板の動きが分かりやすく撮れるのだそう。

また、ポールを斜面途中にあるジャンプ台などの脇に刺しておき、仲間が滑ってくるのを待ち構えて撮影すれば、面白い派手なアクションを撮りやすくなると言います。

ウエストバッグやショルダーバッグに入れて持ち運べば、滑りに集中できる

ポールをポケットに突っ込んだまま滑ると、転倒した時に危険

追い撮りの時は低く構え、下に向けるのがポイント

撮影する時だけでなく、
撮影していない時のことも考えた装備に

本気で滑りたい時は、ヘルメットを装着したうえで、ベンテッドヘルメットマウント、もしくはヘッドストラップで頭部にGoProを固定します。しかし、滑っている間は常に撮影しているとは限りません。ただ純粋に滑りを楽しみたい時もあるでしょう。そんな時、ポールのようなかさばるマウント類はどうすればいいのでしょうか。

ポケットに入れたとしても全て収まらず、転倒時にはけがにつながります。そのため、服部さんは防水仕様のショルダーバッグを愛用。「これにGoProをしまっておくことで、安心して滑りに集中できます」。

気温が低く、バッテリーが消耗しやすい雪山では、撮影していない時はこまめに電源を切るか、ポケットにしまいます。分厚いグローブ越しの操作になるため、その際にはしっかり撮影が停止しているか、電源がオフになっているかを確認することも重要です。

さらに、1日ごとに「アンチフォグプレート」を交換して、ハウジングが曇らないようにするのも大切だとアドバイスしてくれました。

ヘルメットの下にゴーグルを装着する服部さんならではのスタイル。GoProをヘルメットに固定する時に都合がいいとのこと

服部謙介
株式会社オッシュマンズ・ジャパン 原宿店 アウトドアスポーツ担当

プロボディボーダーが行き着いたGoPro撮影テクニック

逆光と順光で撮り分け
波の大きさも強調できるように

ボディボードやサーフィンの関連用品を担当する阿部さんは、JPBA(日本プロフェッショナルボディボーディング連盟)公認のプロボディボーダーとして活躍する選手でもあります。これまで自らが波に乗る姿や、他のボディボーダーを撮影するのにGoProを活用してきたなかで、最も扱いやすく、きれいに撮影できる方法を模索してきました。

「リストハウジング」やボードに固定する方法も検討してきましたが、最終的に伸縮可能なポールが最も扱いやすいアクセサリーだったと話します。

波に乗る自分の姿と、大きな波、その背後の青い空を絶妙なバランスで撮影するには、中程度まで伸ばしたポールを使うのがちょうどいいとのこと。逆光の時は太陽光の透ける波がきれいな青緑となり、対して順光の時は赤みがかって見えることから、その「撮り分け」を考えながら撮影するのにも好都合だと明かします。

なお、GoProの設定はフルHD 60fps Wideとしていることが多く、高い波を強調するような形で映像に収めたい時は、960p(1,280×960ピクセル)や1440p(1,920×1,440ピクセル)など縦のサイズの大きい解像度で撮影しています。

ポールを使って前方から撮影する例

波や太陽の方向によっては後方にポールを差し出す

手持ち撮影では「波を予測する」ことも必要

従来は一般的なカメラやビデオカメラで遠くから撮影するしかなかったところ、今や気軽に波に乗っている様子を間近で撮影できるようになったという意味で、GoProは「世界が広がる、すばらしいツール」と賞賛する一方、阿部さんは「海の上で誰でも自在に使えるわけではない」と釘を刺します。

というのも、海上やボードの上でバランスを取るのが難しいボディボードでは、「とりあえず波に乗る」だけでもかなりの技量が要求され、その上でGoProを手持ちしながら撮影するのは「相当の技術をもった、ひと握りの人たちだけ」だからです。

広角のGoProでは、1 〜2メートルという至近距離まで近寄らなければ迫力ある映像が撮れないことから、特に他の人の姿をうまく撮影するのは困難を極めます。「相手が向かってくるであろう場所で待つには、波を予測しないとならない。しかもその場に居続けられる技量もいる」と阿部さん。

慣れない人は手持ちではなく、「サーフボードマウント」や「ボディボードマウント」などのボードに固定するマウントを上手に活用してほしいと話しました。

慣れない人は、サーフボードマウントなどでの固定撮影がおすすめ

阿部正太
株式会社オッシュマンズ・ジャパン 原宿店 アウトドアスポーツ担当 マネージャー

オッシュマンズ 原宿店
総合スポーツショップ「オッシュマンズ」の旗艦店として、流行に敏感な若者が多く集まるJR山手線・原宿駅の目の前に店舗を構える。スポーツ用品だけでなくGoPro本体やアクセサリーも取り扱っており、撮影したいアクティビティやスポーツのジャンル、その人のスキルに応じて、各スポーツに精通したショップ店員が自らの経験を元にベストなアイテムを提案している。

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