「はてなブックマーク」は2005年のサービス開始以来、情報収集の拠点、バズ(または炎上騒ぎ)の発信源として確固たる地域を保ち続けています。一時期は乱立した「ソーシャルブックマーク」の最大手として生き残っているサービスだけあり、うまく使えば非常に有意義な情報源となってくれます。
この記事は、「はてなブックマークって何?」という人にはiPhone向けの利用ガイドとして、「以前は使っていたけど最近はあまり使っていない」という方には活用方法の見直しのヒントとして読んでいただければと思います。
老舗サービスだから、ユーザーの利用方法の見直しも必要かもしれない
筆者はサービス開始時から「はてなブックマーク」を利用していますが、一時期「どうも使いにくいな」と感じることが多くなっていました。
「使いにくい」と感じるようになった理由は主に2つ。1つはスマートフォンが普及し、圧倒的にパソコンスマートフォン(iPhone)を使う時間が長くなった中で、従来どおりの使い方に無理が生じてきたためです。iPhoneでブックマークする操作が意外と面倒でしたが、iOS 8の「App Extension」(共有ボタンへによるアプリ連携)の登場で「はてなブックマーク」アプリが大幅に使いやすくなったことで、使い勝手がよくなりました(2014年の話ですが)。
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もう1つはユーザーの変化です。ほかのユーザーを「お気に入り」に追加して、彼らのブックマークを一覧できる機能を利用していましたが、時間が経てば自分の好みもほかの人の好みも変わります。
メンテナンス(人の入れ替え)をしていなかった「お気に入り」は、いつのまにか自分のたいして興味がない情報の集合体になっていました。こちらは「お気に入り」をあまり見ないという、消極的な解決方法をとることにしました。
長く続くサービスでは、ユーザー自身も使い方をときどき考え直した方がいいのかもしれません。
忙しいから「やること」を減らしたい
私たちが「情報収集」にかけられる時間は、あまり長くありません。ひと昔前は出社してから小一時間ほどパソコンの前で「情報収集」していたけれど、最近は通勤の行き帰りにスマホを見るのが主だ、という人も多いでしょう。忙しさだけが原因でなく、スマートフォンがそれだけ高機能だということでもありますが。
一般的な情報収集の作業の流れを、簡単な図にしてみましょう。
(1)情報を収集する
「Twitter」や「Facebok」などのSNS、「SmartNews」「LINE NEWS」などのニュースアプリやニュースサイト、メールマガジンなど、利用しているさまざまなメディアから情報を集めます。
(2)(あとで)読む
細切れの時間では見出しを見たり流し読みしたりはできても、じっくり読めない場合があります。そこで、どこかにまとめて一時保存しておき、時間のあるときに読むようにします。いわゆる「あとで読む」です。「Pocket」や「Safari」の「リーディングリスト」などが「あとで読む」ためのサービスとして知られています。
(3)情報を保存する
あとでまた利用したい情報のある記事は、どこかに保存しておけば検索しやすくなります。コメントやタグ付けで気になったポイントなどを書き留めておけば、資料としての有用性も増します。「Evernote」のほか、「はてなブックマーク」の本分も保存のためのサービスだと言えます。
(4)共有する
気になった情報は、友達やフォロワーと共有するためにTwitterやFacebookで共有します。
筆者は主な情報収集源として「はてなブックマーク」のほか各種SNS、メールマガジンのほかにフィードリーダーの「Feedly」、「あとで読む」は「Pocket」、保存用には「はてなブックマーク」と「Evernote」と複数のアプリを使っていました。
しかし、アプリが増えるほど操作の手間がかかるのと、各アプリがどんどん多機能化して使い分け方がわからなくなってきたので、最近は各種情報源→「はてなブックマーク」と単純化しています。
図にすると以下のような感じです。情報収集作業で必要な操作を「保存する」(ブックマークする)の1つだけにしながら、「あとで読む」「共有する」も可能にします。
同時に「はてなブックマーク」の「あとで読む」機能を使い、その場で読み切れなかった記事は「あとで読む」タグを付けて、あとで読む目印とします。
またブックマークすると同時にTwitterとFacebookに共有できるので、共有のために特別な操作も必要なくなります。これらすべてが1つの操作で行えるサービスは(「IFTTT」などで自動処理を設定した場合を除けば)「はてなブックマーク」ぐらいだと思います。
これで「やること」が単純化され、あれこれ気にしながらニュースを読まなくてもよくなりました。
「はてなブックマーク」アプリで保存、「あとで読む」、共有を使う
ここからは、iPhoneの「はてなブックマーク」アプリでの「保存(ブックマーク)する」「共有する」「あとで読む」を利用する手順を解説します。
さまざまなアプリから共有ボタンでブックマークする
ブックマークの追加は、各種アプリの共有ボタンから行えます。「はてなブックマーク」アプリをインストールしたら、以下の手順を参考に初期設定をしましょう。
1共有を開始する
[Safari]を起動して、画面下中央の共有ボタンをタップします。
2[その他]のアプリを選択する
共有先のアプリの一覧をスワイプして右端の[その他]をタップします。
3[ブックマーク]を有効化する
[アクティビティ]が表示されたら[ブックマーク]をオンにして有効化します。また、右の三本線を上下にドラッグして並び順をを変更できます。選びやすいように上にしておくきましょう。有効化できたら[完了]をタップします。
4ブックマークする
共有するアプリの選択画面に戻ると[ブックマーク]が表示されているので、これをタップします。以降は手順2、3の設定は必要なく、すぐに[ブックマーク]を選択できます。
5「あとで読む」や共有を設定する
コメントなどを入力するダイアログボックスが表示されました。タグのアイコンをタップして「あとで読む」と入力すると「あとで読む」タグが付きます(「あとで読む」タグは数回使うと[おすすめタグ]として表示され、入力しやすくなります)。
「Twitter」と「Facebook」の連携を設定しておきアイコンをタップして色を付けると、ブックマークと同時に共有ができます。それぞれの使い方は後述します。
共有ボタンがあるアプリならば、ほとんどのアプリからブックマークが可能です。例えば「SmartNews」からも、以下のようにブックマークできます。
記事を選択した状態で画面右上に表示される共有ボタンをタップし、[ブックマーク]をタップすることで元サイトの記事をブックマークできます。
アプリで「あとで読む」の記事などを読む
「はてなブックマーク」アプリを起動したら、以下のように1タップで「あとで読む」タグを付けてブックマークした記事の一覧を表示できます。
1[最近のあとで読む]を表示する
「はてなブックマーク」を起動して画面右下のリボンのボタンをタップします。
2読みたい記事を選択する
[最近のあとで読む」が表示されました。ここで読みたい記事をタップします。
3記事とコメントを読む
記事が表示されました。画面下部の吹き出しのボタンをタップすると、ほかのユーザーがブックマークしたときに付けたコメントの一覧が表示されます。記事の「読みどころ」となるポイントやほかの人の反応を簡単に知りたいとき、コメントの一覧は非常に役立ちます。
基本的なメニューの切り替え
リボンのボタンの上にある家のボタンをタップすると、このようにメニューが展開します。各ボタンでメニューの切り替えが行えます。この切り替えは少し慣れが必要になると思うので、覚えておきましょう。
フィード
ユーザーのSNSでのつながりをもとにおすすめの記事を紹介する[マイホットエントリー]、関心があるキーワード記事を紹介する[関心ワード]、「はてなブックマーク」で「お気に入り」に追加したユーザーがブックマークした[お気に入り]が利用できます。
マイページ
自分がブックマークした記事の一覧[ブックマーク]、最近見た記事の[最近見た]、「あとで読む」タグを付けた記事の一覧[あとで読む]が利用できます。
総合
最初の画面と同じです。「人気エントリー」「新着エントリー」などが利用できます。
設定
共有するSNSとの連携、「あとで読む」の機能の設定など、各種設定を行います。
HINT長押しだけでも「あとで読む」できる
[フィード]と[総合]の記事一覧では、一覧に表示されている記事を長押しするだけで「あとで読む」タグを付けてブックマークできます。
「あとで読む」の設定
[設定]画面で[あとで読む]をタップすると、[あとで読む]の設定画面が表示されます。
[非公開設定でブックマーク]をオンにすると、「あとで読む」タグを付けたブックマークを非公開とします。
[既読時にあとで読むタグを削除]をオンにすると、いちど記事を表示したときに「あとで読む」タグが自動で削除され、未読記事だけが[最近のあとで読む]画面に表示されるようになります。
[リマインダーを受け取る]をオンにすると、設定した時刻にアプリから未読記事の通知が届きます。
SNSに共有するための設定
[設定]画面で[外部サービス連携]をタップすると、TwitterとFacebook、およびEvernoteと連携する設定ができます。
TwitterとFacebooに共有する設定ができるほか、Evernoteと連携してブックマークと同時にEvernoteに保存することも可能です。
「気になった記事を忘れない」を簡単に実現
「はてなブックマーク」は、
・「保存する」「あとで読む」「共有する」を一気にできる
・ブックマークコメントで記事のポイントや反応を簡単につかめる
という2点が大きな利点です。一方で、日本国内でしか使われていないため、ほかのメジャーなサービス/アプリとの連携が弱く、スマートフォン上では不便さを感じることが少なくありません。
本稿では共有ボタンを使ってさまざまなアプリから記事を保存しつつ、それ以降の作業を「はてなブックマーク」(および連携可能なサービス)で完結させることで弱点をカバーしています。「気になるニュースをSNSなどで見かけても、いつのまにか見失っている」ことが多い人は、ぜひ試してみてください。