なぜメルカリ? ヤフオク!じゃダメなんですか?

こんにちは、スマホアプリライターの鈴木梢です。みなさん「メルカリ」は使ったことはありますか? メルカリは2013年7月にサービスを開始した比較的新しいサービスで、名前は聞くけれど使ってみたことはないという人も、まだ多いでしょう。

一般のユーザーがネットで品物を売買できるサービスといえば、古くは「ヤフオク!」が有名です。ヤフオク!とメルカリはどう違い、なぜ今メルカリが人気なのでしょうか?

「メルカリ」はiPhone/Android対応の無料アプリで利用します。「ヤフオク!」はパソコンまたはiPhone/Androidの無料アプリから利用です。
メルカリ
ヤフオク!

制限時間まで入札が続くヤフオク!、即決のメルカリ

両サービスのシステム上の大きな違いは、価格決定と成約までの仕組みです。ヤフオク!は出品者が最低落札価格を指定し、設定された期限まで入札が行われ価格が上がっていくオークション型、一方でメルカリはフリーマーケット型で、出品者の設定した価格で買い手が付きしだい取引が成立します。

そのため、できるだけ高額での販売を狙った出品者や出品がヤフオク!には多く、メルカリは「お金になりそうなものをとにかく売りたい」という考えの出品者が多く見られます。

パソコン向けのWebサービス出身のヤフオク!に対し、メルカリは最初からスマートフォン向けに作られていて、出品から購入の操作や商品のやりとりまで、比較的手軽にできるようになっています。

メルカリの商品画面(左)と、ヤフオク!の商品画面(右)。メルカリでは[購入手続きへ]をタップして、すぐに表示された価格で購入を決定できます。ヤフオク!では現在の価格と入札終了までの時間を確認し、[入札する]をタップして自分の出せる金額を入力し、終了時刻を待つ必要があります。

メルカリは売り手と買い手の交渉も特徴

メルカリでは出品後、ただ買い手が現れるのを待つだけでなく、コメントによる交渉をすることになります。

例えば「値下げしてくれませんか?」「セットで安くなりませんか?」「(複数のセットで出品した商品の)一部だけ売ってくれませんか?」などなど。さまざまなコメントが書き込まれ売りたい人と買いたい人の攻防戦が始まります。

一方でヤフオク!の場合、買いたい人は交渉をするのではなく、入札額を上げていくしかありません(質問などは可能です)。そのため出品者が考えないといけないことは少なく、シンプルだと言えます。

メルカリでは出品した商品に対してコメントが書き込まれ、出品いた価格よりも安い価格で買いたい、ほかの商品をセットにしてほしいなどの要求をされることがあります。

このように、メルカリとヤフオクは、ユーザー同士が取り引きする点は同じですが、システムはまったく異なるサービスです。それぞれの特徴に合わせて使い分けるのがいいでしょう。

ヤフオク!以上の「掘り出しもの」が見つかる理由とは?

具体的な使い分けのポイントとして、出品するときに自分で価値が判断できない(適切な値付けができない)と思えるものはヤフオク!、価値が判断できるものはメルカリをおすすめします。

カメラが趣味で、カメラ関連の機材を買うためにメルカリもヤフオク!も利用しているというMさん(20代・男性)の例を紹介します。

Mさんいわく、出品する商品の価値を最大限高く見積もって取引をするケースが多いヤフオク!に対し、メルカリは価値をよく知らない人が機材を出品しているケースが多いのだとか。

メルカリでカメラのズームレンズを検索したところ。中古カメラ見せやヤフオク!での相場を知っていれば、掘り出し物を探すことができます。

「メルカリでは『祖父の遺品から出てきたんですが、不要なので売ります』とか『父にもらったけど、使わないので売りたいです』といった理由で、市場価格よりもべらぼうに安くカメラやレンズが出品されていることがあります。それを狙って平日の昼間から張り付いている人もいるみたいです」(Mさん)

ヤフオク!は自分で価値がわからなくても、その商品に価値を感じた複数のユーザーが見つけてくれれば、どんどん入札額が上がっていきます。しかし「メルカリ」では出品者が付けた値段以上の金額にはなりません。

買う側からすれば、驚くほど安い掘り出し物がすぐ買えるのは魅力です。しかし出品する側としては、商品の価値に合った金額で売りたいと考えるなら、手間はかかりますが値付けには慎重になった方がいいかもしれません。

買いたいものがあるときは両方で探すのがベストですが、時間をかけず簡単に買いたいならばメルカリがいいでしょう。ヤフオク!は入札の手間がかかり、時間をかけても最終的に競り落とせない可能性もあるため、不確実な要素が多いです。

買い手の気持ちを考え、売り方を工夫する楽しみがある

メルカリの交渉は面倒だと思われるかもしれませんが、買い手の気持ちを想像しながら売り方を工夫し、何をどのように考えていくことには楽しい面もあります。

例えば、こんな展開も。メルカリでタブレットを出品したTさん(30代・男性)は、"あること"をしたところすぐに買い手がついたのだと言います。

「最初は、タブレット単体1万円・カバーを3,500円で出品していたんです。すると『セットだといくらですか?』とコメントがついて、セットにして値下げをしたら、すぐに買ってくれました」(Tさん)

当初設定した金額よりは安くなってしまいましたが、カバーだけを買おうという人はなかなかいないため、「カバーだけが売れ残るよりは、多少安くなってもセットで買い取ってもらえてよかった」とTさんは満足そうでした。

このようなとき、メルカリでは商品の情報を随時修正していきます。投稿(出品)内容はいつでも手軽に編集できるため、価格を変えたり、写真や商品説明を変えたり、セットで1つの商品にしたりと、売り方を工夫して変えていくのが簡単なのです。

部屋を整理するために服を売ったというAさん(20代・女性)は、さまざまな季節の服をいっぺんに売って、わかったことがあるといいます。

「季節はずれの服は買い手が付きにくかったです。すると、たくさん値下げ交渉をされるんですよね。最初は送料別にしていたのが、交渉の結果、送料込み+値下げで売ることになりました。厳しいですが、こっちとしても売れ残るよりは引き取ってもらいたいし...。買い手はやっぱり(ヤフオク!よりも)メルカリが得なんじゃないですかね」(Aさん)

商品によっては「この価格以下では売りたくない。交渉に応じる気はない」という場合もあると思いますが、そのような場合は、最初から交渉を考えなくていい「ヤフオク!」に出品した方が気楽かもしれません。

使い方の提案しだいで「ラップの芯」も売れる!

メルカリでは、売り方の工夫次第で、普通では商品になると思えないものを商品として成立させてしまうこともできます。

先日見つけて驚いたのが、トイレットペーパーや食品用ラップの芯です。幼稚園や小学校の工作で必要になることがありますが、お子さんが伝え忘れていて、家庭で「来週持っていかないといけない! でもこの前捨てちゃった!」と慌てた経験はないでしょうか? 急に必要になっても「芯だけを買ってくる」というわけにもいかず、意外と困る品物です。

こうした場面を想像して「工作用に」と出品することで、ラップの芯もお金になります。最近ではリサイクルショップやメルカリで安く「仕入れ」をして、紹介方法を工夫するなど独自に「商品開発」し、高い価格を設定して売っているユーザーも増えているようです。

メルカリで「工作」をキーワードに検索したところ。工作の材料となるさまざまな品物や、工作で作られた商品が見つかります。

出品や交渉の経験を積んだ一般の学生や主婦が、一種のマーケティング視点をもち、"おみせやさん化"しているのです。ヤフオク!でも似たことはありましたが、複数の入札者に興味を持たれないと高値で売ることはできません。メルカリは誰か1人に価値を認めてもらえれば自分が付けた価格ですぐに売れるため、商品開発の自由度は非常に高くなります。

物を売るアイデアやアピールに自身のある人は、ぜひメルカリの出品を試してみてください。ヤフオク!の経験がある人も、また違った経験ができるはずです。

HINT即決勝負だからこそ生まれたメルカリの「取り置き」

メルカリでは「○○様専用」と書かれた商品を見かけることがあります。これは俗に「取り置き」と呼ばれるもので、決まった人とやりとりするためのものです。

商品を出品すると、買いたいけれどすぐに払えるお金がないという人から「取り置き」を依頼されることがあります。これに応じる出品者は商品に「○○様専用」と書いて、ほかの人には売らないようにします。

買い手が付いたら即終了となるメルカリだからこそ、「買い手が現れる前にどうしても確保したい」という考えから取り置きの要求をするのでしょうが、設定した取り置きの期限に間に合わず延長を要求されたり、取り置きしたのに連絡がつかなくなったりして、面倒な思いをさせられることもあります。

マナーの悪いユーザーは実際には少数だと思いますが、もしも自分が出品して「取り置き」を要求されたときには、あまり長い期間を設定せず、延長には応じないことを約束させるのがいいでしょう。

▼関連記事
メルカリの新アプリ「メルカリ アッテ」。"直接会って"で広がる可能性とは?

HINT「Ingress」との提携を発表

本日2016年6月13日より、メルカリはNianticの位置情報ゲーム「Ingress」(イングレス)との提携を発表しました。[ハンドメイド]→[二次創作物]→[Ingress]カテゴリーで商品を探すことができます。

メルカリを通じてIngressの二次創作物を販売すると、メルカリを通じてライセンス許諾料の支払いが行われ、ファンによるグッズなどを安心して取り引きできるようになります。

▼ケータイWatchの記事
フリマアプリ「メルカリ」とIngressが提携 - ケータイ Watch

▼Ingressの遊び方
Ingress(イングレス) 遊び方・操作方法解説