こんにちは、できる編集部の井上薫です。私、仕事から帰宅すると「アプリ徘徊」しているんです。インスタ見て、いいね押して、ゲームして、マンガ読んで、動画見て...、そしてまたインスタ見て。無意識にいろんなアプリを徘徊して、気づけば1~2時間。スーパー時間の無駄使いですよね。

スマホへの依存をやめたく、住職で精神科医、書籍『「あるある」で学ぶ 余裕がないときの心の整え方(できるビジネス)』の著者でもある川野泰周さんに、相談してみました。

スマホに主導権を握られている!?

――今回は、スマホの依存をやめたいという相談です。いつでも繋がれるSNS、大量にある動画、中毒性のあるゲーム...ついついスマホに時間を取られてしまいます。

川野 スマホにかじりついている人、街でも多いですね。日本のみならず世界的な傾向で、リアルなコミュニケーションを阻害するという意味で「Phubbing」(ファビング)という新しい英単語まで生み出しました。

世界中の多くの人が「今この瞬間」を生きていないということになります。

――まさに歩きスマホしている人とか、「今この瞬間」を生きていないですね。

川野 常にスマホが気になってしまう人のほとんどの人が無意識に同じ動作を繰り返しています。これを「自動操縦」といい、「今この瞬間」と正反対の概念です。

この状態を変えるには行動パターンを具体的に変えることです。

――スマホを触る時間を減らそうと、頭では分かってはいるんですが......

川野 それだけでは、井上さんの習慣を変えるのは難しそうですね。では、まずどのアプリを無意識に起動したか認知しましょう。そして、そのアプリは人生において必要なのか自分に問いかけましょう。

――このゲーム、私の人生に必要でしょうか? いや必要ではありません。

川野 ちょっと強硬手段ですが、スマホから削除してしまいましょう。

――えー!

川野 アプリ徘徊やめたいんですよね?

――...えいやっ! あっ、意外と消しても心穏やかですね。

でも、SNSアプリは仕事や友達とのコミュニケーションにおいて、大切なので消せません。

川野 私もSNSアプリを活用しているんですが、通知を出さないように設定します。そして、見る時間帯も自分で決めています。

通知を出さないことで、スマホに支配されなくなります。自分が見たいときだけ見るという自己肯定感も生まれることも、スマホ中毒を脱する大事なポイントです。

――それならできそうです。とりあえず、スマホアプリの断捨離始めます。

スマホも禅的シンプルライフを目指そう!

川野 禅宗寺院を訪れたことがありますか?

――小さいころにあります。それがスマホ中毒となんの関係が?

川野 鎌倉の建長寺や円覚寺、京都の妙心寺や建仁寺、福井県の永平寺など、禅宗の大本山を一度訪れてみてください。そこは非常にシンプルで無駄のない空間が広がっています。

何もない空間のことを「がらんどう」と言いますよね。これは僧侶が集まる場所である伽藍堂に物が置かれてないことから広まった言葉です。

――仏教用語なんですね。禅僧は何も持たないシンプルライフなイメージがあります!

川野 周囲にいろんな物に溢れるほど、気を配り、気が散るのは人間の性です。気が散る物を置かないということは禅宗の長い歴史に培われた先人の知恵といっていいと思います。ぜひ、スマホの中身もシンプルライフを目指してみてください。

川野泰周(かわのたいしゅう)さん
精神科・心療内科医/臨済宗建長寺派林香寺住職。

1980年横浜生まれ。2004年慶応義塾大学医学部医学科卒業後、精神科医として診療に従事。2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行、2014年末より横浜にある臨済宗建長寺派林香寺住職となる。現在寺務の傍ら都内及び横浜市内にあるクリニック等で、うつ病、神経症、PTSD、睡眠障害などに対し薬物療法と並び禅やマインドフルネスの実践を含む心理療法を積極的に取り入れた診療にあたっている。
著書「『あるある』で学ぶ 余裕がないときの心の整え方(できるビジネス)」。