高機能化にともないインターフェースも変化

 有料の中継用ソフト「Ustream Producer Pro」は、Ustream Producerからアップグレードすることで購入できます。支払いにはカード決済などが利用できます。
 Ustream Producer Proの画面は、一見したところではUstream Producerと似ています。しかし、高度な機能を多数搭載し、ユーザーインターフェースは複雑になっており、似て非なるソフトだと思えるほどです。ここでは、Ustream Producer Proの特長を紹介します。

「レイヤー」と豊富な機能による高い表現力

 Ustream Producerではすべての操作を1つのウィンドウだけで行いましたが、Ustream Producer Proでは、さまざまな操作のために「インスペクター」と呼ばれる別のウィンドウが開きます。
 さらに、もっとも大きな違いとして、ショットにレイヤー(階層)という概念が存在します。[シーン(ノーマル)]をベースに、[タイトル]、[フォアグランド]、[バックグランド]、[オーディオ]と5つのレイヤーがあり、これらの重ね合わせでショットができあがっています。Ustream Producer Proを使いこなすには、このレイヤーの概念をマスターする必要があります。
 [タイトル]は、いちばん上の階層で、ショットに文字を挿入するためのレイヤーです。[フォアグランド]は[シーン]よりも上に表示され、透過情報を持った画像を合成することができます。[バックグランド]はもっとも下のレイヤーで、PinPを利用したときなどに、すきまに表示されます。[シーン]では3画面までのPinPが利用でき、エフェクトの種類も豊富です。ショットを切り替える際のエフェクトも、大幅に増えています。
 5つのレイヤー、タイトル、PinPや切り替えの多彩なバリエーションを組み合わせることで、表現の幅はUstream Producerよりも格段に広がります。その一方で、使いこなすには、センスとある程度の慣れが必要になります。あれもこれもと盛り込もうとすると「機能を使わされている」ような印象の画面になってしまうので、少しずつ機能を試しながら利用していきましょう。

ショットを右クリックし[ショットを編集]をクリックすると、レイヤーを含むショットの編集を行うことができる,[タイトル]レイヤーの[ライン1]‾[ライン3]に文字を入力し、中継のタイトルやテロップを表示させることができる

[シーン]では、さまざまなパターンのPinPを設定できる

複数台のカメラ対応とHD画質に対応

 Ustream Producer Proでは、同時に利用できるカメラの台数に制限がありません。数人での対談や座談会などでは、カメラを複数切り替えることで、立体的な映像を提供できます。HD(High Definition:高精細)画質にも対応し、さらに「HDV Option」を購入すれば、業務用ビデオカメラから高精細なHDV規格の映像を、そのまま取り込むことができます。
 演出にこだわり、複雑なショットの切り替えをしたい場合には、プレビュー機能が役立ちます。画面下の[オートライブ]のチェックをはずし、メニューから[レイアウト]-[プレビュー]をクリックしてプレビューを表示させましょう。
 Ustream Producer Proは、機能が増え表現力が増すことで、よりわかりやすく、伝わりやすいライブ中継を行うことができます。個人の趣味でのライブ中継といったレベルを超えて、企業などが利用するのにも十分な機能があります。

ここでショットを切り替えるときのエフェクトを選択する,配信中のショット表示される  ,[ゴー]をクリックすると、現在プレビューしているショットに切り替わる,[レイアウト]-[プレビュー]をクリックすると、切り替え予定のショットのプレビューが表示される

[ヒント]Ustream Producer Proにアップグレードする方法

Ustream Producerの画面で[Upgrade]-[Upgrade to Ustream Producer Pro]をクリックし[環境設定]が表示されたら[Purchase Now]をクリックすると、[Ustream Store-Catalog]が表示されます。ここで[Ustream Producer Pro-Windows]を購入して支払い手続きを済ませると、Ustream Producer Proのシリアルナンバーが発行されます。次に[環境設定]から[Enter Serial Number]をクリックしてシリアルナンバーを入力すると、アップグレードが完了します。なお[Upgrade][-TryUstream Producer Pro Futures]をクリックすると、試用版のUstream Producer Proが起動し、Ustream Producer Proの全機能を試すことができます。

[ヒント]Ustream ProducerとUstream Producer Proの違い

Ustream ProducerとUstream Broadcasterはコンセプトが異なるソフトだと説明しました。一方、Ustream ProducerとUstream Producer Proの関係は、あくまでも同じコンセプトのソフトだと考えられます。機能の高度化にともなってユーザーインターフェースが異なる部分が多いですが、Ustream Producerでできることは、すべてUstream Producer Proでもできます。下の表は、両者の違いをまとめたものです。

Ustream Producer Ustream
Producer Pro
サポートする解像度 SD SD/HD
サポートするカメラの台数 1 無制限
ショット切り替えエフェクトの種類 3 Windows:9
Mac:20
映像の重ね合わせやタイトルの挿入 不可
HDV の利用 不可
PinP のカスタマイズ 不可