音質が悪い、音量が小さい、音声が途切れる

 視聴ユーザーは音のトラブルに敏感です。ソーシャルストリームで指摘があったら、すぐに確認しましょう。
 まず、マイクの位置や接続、レベル設定を確認します。複数のマイクを使用したライブ中継で特定の人の声だけに問題があるような場合は、これらに原因がある可能性が高いです。音量が小さい、または音が割れて聞きづらいという場合には、中継用ソフトの音量設定を確認し、適切な音量に設定しましょう。
 音が途切れる場合、ほとんどの原因は上り回線(中継用パソコンからインターネットに動画をアップロードするための回線)の帯域不足です。イベント会場でイー・モバイルなどの回線を利用している場合、イベントの参加者が増えて皆が同じキャリアの回線を使うことで、いちじるしく帯域が狭くなってしまうこともあります。来場者には利用を自粛してもらうなどして、帯域を空けるようにしてみましょう。
 帯域を空ける努力をしても音声が途切れるようであれば、画質を下げてデータ量を減らします。このとき、音質を下げてはいけません。聞き取りにくくなるだけでなく、音質を下げてもデータ量はさほど減らないからです。
 Ustream Broadcasterの場合は[アドバンス設定]の[フレームレート補正]でフレームレートを下げます。講演会など動きが少ないライブ中継の場合は、15程度にしてもまったく問題はありません。それでも途切れる場合は[画質]のスライダーを下げます。70ぐらいまでは許容範囲です。
 Ustream Producerの場合は、ライブ中継中にクオリティを変更することができません。いったんライブ中継を中断し、設定を変更しましょう。その際には、スピードテストサービス(http://netspeed.studio-radish.com/など)を利用して上り回線の速度を調べ、その70%程度の画質にすれば(上り回線が500kbps前後であれば、350kbpsの[Standard SD]以下。詳しくはレッスン20を参照してください)、問題が起こることは少なくなります。

Ustream Broadcasterで画質を下げるには[アドバンス設定]をクリックする,[フレームレート補正]を[15]程度まで下げる,[画質]を下げることもできる  

映像が表示されない

 映像に関するトラブルの多くは、パソコンが映像入力を正しく認識できていないことに起因します。外部Webカメラをノートパソコンで利用している場合には、接続するUSBポートを変更すると解決することがあります。その他にオーディオインターフェースなどをUSB接続していると、ポートの電力不足が原因で正常動作しなくなってしまう場合があります。

中継用ソフトの動作がおかしい

 Ustream BroadcasterもUstream Producerも、まだ未成熟で不安定な部分があります。パソコンの環境によっても動作状況が変わるので、ソフトの動作がおかしいときに原因を見極めるのは、なかなか困難です。ここでは一般的に有効な、中継用ソフトを安定動作させるための方法を紹介します。
 まず重要なのは、余計なソフトを起動しておかないことです。動画配信には膨大なCPUパワーが必要になるため、中継用ソフト以外はすべて終了しましょう。
 次に冷却です。ノートパソコンでは、下に設置して冷却を助けるクーラーパッドを利用してもいいでしょう。

[Ustream Producer]以外のソフトは終了する,[Windowsタスクマネージャー]で起動中のソフトを確認する

インターネットに接続できなくなった

 インターネット接続回線のトラブルには、3つの原因が考えられます。1つ目はイベント会場のルーターがダウンしてしまう場合。会場のネットワーク担当者がいるはずなので、すぐに再起動をしてもらえるよう、連絡体制を整えておくことが大切です。
 2つ目はケーブルが抜けた場合。イベント会場で用意されている有線LANケーブルは「カチッ」と固定するためのツメが折れてしまっていることも多く、注意が必要です。
 3つ目は、回線速度が急激に落ちて接続できなくなってしまう場合です。これは先述の音声が途切れる場合と同様に、回線の帯域不足がさらに深刻になった結果起こります。
 重要なライブ中継には、イー・モバイルやWiMAXなどのモバイル回線をバックアップ用に用意しておきましょう。カメラからの映像やマイクの音声を2つに分岐できるようなら、最初から有線LAN経由のメイン番組とモバイル回線経由のサブ番組の2つを中継しておきましょう(パソコンが2台必要になります)。メイン番組が止まってしまいそうなときにソーシャルストリームで「回線トラブルのため別のURLに変更します」とサブ番組のURLを告知することができます。

[ヒント]回線が万全でない状況ではUstream Broadcasterがおすすめ

ヒマナイヌでは数々の経験から、安定したインターネット回線が提供されるわけではない場所でのライブ中継には、Ustream ProducerよりもUstream Broadcasterをおすすめしています。Ustream Producerではいちどライブ中継を開始したら動画のクオリティを変更できないため、回線に関するトラブルが発生したとき、柔軟に対処できないからです。

[ヒント]ソーシャルストリームのURLが途切れることがある

ソーシャルストリームでURLを含むツイートをすると、自動的にリンクが張られます。しかしURLにハイフン(-)などの記号が含まれると、正常なリンクが張られません。これはUstreamの問題ですが、暫定的な対策としては、bit.ly(http://bit.ly/)などの短縮URL作成サービスで短縮したURL を入力するようにします。