こんにちは、ITジャーナリストの高橋暁子です。

今、家族や財産を守るためにしていることはありますか? 留守中の防犯、小さい子どもの安全、火災の予防、高齢者やペットの見守りなど、家庭によって気になる点はさまざまです。

近所で空き巣事件があり、心配になったので防犯カメラを設置したという人もいれば、自宅を建てたときにホームセキュリティを導入した、という話も聞きます。果たして、こうした機器やサービスはどのようなことができ、いくらくらいお金がかかるのでしょうか?

今回は、家庭の安全を守るさまざまな方法を紹介し、その機能や料金を比較します。

※本記事は2018年6月現在の情報に基づいています
※特別な記載がない限り、掲載している金額は消費税別です

自分で「見守り」か? ホームセキュリティで「警備」か?

家の安全を守る方法には、大きく分けて、自分で見守る「セルフセキュリティ」と、警備会社が警備する「ホームセキュリティ」の2タイプがあります。

「セルフセキュリティ」とは、屋外や屋内にカメラを設置して映像をスマートフォンで見られるようにするなどして、自宅の安全を見守る機器やサービスのことです。外部からの侵入を監視したり、子どもの帰宅や留守番の様子を見守ったりできるようになります。

比較的安価で、さまざまな種類の機器やサービスが提供されているのが、セルフセキュリティの特徴です。ただし、万が一のトラブル発生時、例えば侵入者があった場合には、自分で警察に通報するなどの対処をする必要があります。

対して、警備会社が提供する「ホームセキュリティ」は、プロのガードマンが家を守ります。侵入者や火災などのトラブル発生時には自分が何もしなくてもガードマンが駆けつけ、対処してくれます。自宅で急病の際にも通報して助けを呼べたりと、高い安心感を得られるのがホームセキュリティの特徴です。

自分で見守るか、ホームセキュリティの安心感を手に入れるか、詳細な機能や料金を比べながら、最適なサービスはどれか考えていきましょう。

ホームセキュリティ

自分で安全を守るセルフセキュリティと、警備会社に依頼するホームセキュリティ。機能や料金の違いを詳しく見ていきましょう。

「どこを/誰を見守るか」でセルフセキュリティを考えよう

セルフセキュリティでは、自分で家に屋外カメラや屋内カメラを設置していきます。サービスを選ぶときには、最初に「どこを/誰を見守るか」を考えてください。

屋外からの侵入者を監視したい場合は、屋外カメラ(防犯カメラ)が必要です。屋内カメラでは屋内への侵入者を監視できるだけでなく、子どもや高齢の家族、またはペットの見守りにも活用できます。屋外と屋内の両方に設置したり、複数の部屋に設置したりすることも可能です。

また、提供形態として、機器を購入したら月額の利用料金はかからない「機器販売型」と、月額の料金を支払う「サービス型」の2種類があります。機器販売型は機器代金が高く、サービス型は安めです。

必要な機能を利用できることが第一の条件ですが、長期間利用するなら機器販売型、短期間だけ利用したい場合にはサービス型が向いています。

おすすめセルフセキュリティ4サービス

機器が豊富! 留守番中の子どもと話せるカメラも

ホームネットワーク システム(パナソニック)

ホームセキュリティ

「ホームネットワークシステム」は機器販売型のセルフセキュリティです。屋外カメラ、屋内カメラなど多彩な機器があり、自宅のWi-Fiルーターに「ホームユニット」と呼ばれる中継機器を接続し、さらにカメラなどの機器を接続して利用します。

機器の豊富さが特徴で、1台のホームユニットに50台まで接続できます。機器の価格は1台1~2万円程度。例えば、バッテリー駆動で設置が簡単な屋外カメラとホームユニットとセットになった「KX-HC300SK-H」は、実勢価格24,000円程度。ホームユニットが付属しない「KX-HC300SK-H」は実勢価格18,000円程度です。

ペットの見守りに向いた可動型屋内カメラ「KX-HC600-W」は実勢価格20,000円程度。アプリでカメラを操作しながら部屋の様子を見られます。

通話機能を搭載し、留守番をする子どもと会話も可能な屋内カメラ「おはなしカメラ」の「KX-HC500-W」は実勢価格18,000円程度。アプリをとおしてカメラの前の子どもと会話できるのはもちろん、カメラ側からアプリを呼び出すこともできるので、留守番中の子どもから親に連絡したい場合にも使えます。

抜群の手軽さ! スマホやタブレットで自宅を見守る

dリビング 部屋のみまもり機能(NTTドコモ)

ホームセキュリティ

「dリビング」は、ハウスクリーニングや水まわりのトラブルサポート、健康相談など、暮らしに関するさまざまなサービスを提供しています。NTTドコモの携帯電話を利用していなくても、dアカウントを取得すれば利用可能。個々のサービスを依頼したときに都度料金を支払うシステムとなっています。

「部屋のみまもり機能」はdリビングのサービスの1つで、月額450円。自宅に設置したタブレットやスマートフォンのカメラを利用して見守りを行うことが特徴で、見守り用に使える端末があれば、新規に購入する必要がなく安く始められる点がユニークです。

この機能には2つのモードがあり、「るすばんモード」では動体(侵入者やペットの動き、子どもの帰宅など)を感知して撮影し、同時にメールで通知できます。見守り用の「家ログモード」では、カメラの前に動きがあったことを記録でき、離れて暮らす高齢の家族の活動をチェックするのに適しています。

屋内カメラだけでなく、暮らしを便利にする個性派の機器も

au HOME(KDDI)

ホームセキュリティ

「au HOME」は、auの携帯電話または光回線「auひかり」の契約者向けのオプションサービスです。料金は月額490円(初期費用2,000円)。別途機器を購入・設置したうえで契約する必要があります。

機器には、スマートフォンのアプリを通じて家電をコントロールする「赤外線リモコン01」、アプリで電気使用量がわかる電源プラグ「スマートプラグ01」など、さまざまな機能を持つものがあります。

セルフセキュリティ用の屋内カメラ「ネットワークカメラ01」の直販価格は10,800円。可動型で通話機能も持つカメラで、アプリを通じてペットの様子を確認したり、留守番中の子どもと会話したりできます。

au HOMEでは、オプションとして警備会社のセコムが提供する駆けつけサービス「ココセコム for au HOME」を契約できます。初期費用や月額料金は無料で、緊急時に通報して駆けつけを要請可能。駆けつけ1回あたり10,000円の料金がかかります。

駆けつけサービスも利用できる屋内カメラ

HOME ALSOK アルボeye(ALSOK)

ホームセキュリティ

ALSOK(綜合警備保障)が提供する屋内カメラのサービスです。カメラには可動型、固定型の2種類があります。サービスの利用料は、可動型カメラでは月額2,500円、固定型カメラでは月額2,000円。2年間でカメラの割賦分が終了し、3年目以降はどちらも月額1,000円となります。

カメラに人体感知機能があり、カメラの前に人が来たときに、自動的に撮影した画像付きメールで通知します。また、標準でALSOKの駆けつけサービスを利用でき、いざというときにはプロのガードマンに頼れることが、アルボeyeの大きな特徴です。人体感知で撮影した画像付きメールを使って通報し、ガードマンの駆けつけを要請できます(駆けつけは1回3,000円)。

このほか温度計も搭載していて、高齢者が一人暮らししている部屋などの熱中症対策にも役立ちます。

セルフセキュリティ 製品・サービス比較

メーカー名/サービス名パナソニック
ホームネットワーク システム
NTTドコモ
dリビング 部屋のみまもり機能
KDDI
au HOME
ALSOK
HOME ALSOK アルボeye
提供形態機器販売型サービス型サービス型サービス型
月額料金/初期費用なし月額490円/初期費用なし月額490円/初期費用2,000円
(au契約者のみ)
可動型月額2,500円、固定型月額2,000円(3年目以降はいずれも月額1,000円)/初期費用なし
機器の価格機器1台の実勢価格約1~2万円。ホームユニットは1万円弱程度なし室内カメラの直販価格10,800円
屋外カメラ×××
屋内カメラ
その他の特徴屋内カメラ「おはなしカメラ」から親のスマホの呼び出しが可能手持ちのスマートフォンやタブレットを利用オプションでセコムの駆けつけサービスが利用可能ALSOKの駆けつけサービスが利用可能

自宅をまるごと警備するホームセキュリティ

警備会社が提供するホームセキュリティは、家全体にセンサーを設置し、そのデータを警備会社が受信して警備を行います。留守中に侵入者があった場合などは、利用者が何もしなくても異常があれば警備会社からガードマンが駆けつけ、対処してくれます。

各社とも基本的なサービスは、窓やドアからの「侵入感知」、火災を感知する「火災感知」、通報を受けて駆けつける「緊急通報」の3つ。急な病気やケガのときも、緊急通報によってガードマンを呼ぶことができます。

自分で見守る対象を決めるセルフセキュリティとは異なり、ホームセキュリティは家全体を警備します。そのため、自宅のための詳細なサービス内容は見積もりを取って確認する必要があります。

このほか、ホームセキュリティの比較で参考にしたい点の1つに、ガードマンの待機拠点の数があります。

何かがあったときには、できるだけ早くガードマンが来てくれるサービスを選びたいですよね。ホームセキュリティの駆けつけ所要時間は25分以内と「警備業法」という法律で定められています。そのため、各社とも全国にガードマンの待機施設を持ち、早く駆けつけられるようにしています。

悪用を避けるために、待機施設の具体的な場所は公開されておらず、自宅からどのサービスの待機施設がもっとも近いかはわかりません。しかし、待機施設の数が多ければ、近所に待機施設がある可能性は高くなります。

おすすめホームセキュリティ2サービス

日本で最多の拠点数を誇る警備会社

セコム・ホームセキュリティ

ホームセキュリティ

待機拠点の数は全国約2,800カ所と、国内最大の拠点数を持つ警備会社です。一般的な戸建て向け、マンションや小型住宅向け、二世帯住宅向けなどのサービスを提供しています。

最初に機器を買い取る「機器お買い取り」と、レンタルで利用する「機器レンタルパック」の2種類の料金プランがあり、機器レンタルパックでは、間取りに関係なく一律6,800円の月額料金となっています(他社では間取りにより変動する可能性があります)。

初期費用ゼロの「ゼロスタートプラン」で始めやすい

ALSOK ホームセキュリティ

ホームセキュリティ

ALSOKは全国約2,400カ所の待機拠点を保有。ホームセキュリティの料金プランは、買い取りの「お買い上げプラン」、レンタルの「レンタルプラン」に加えて初期費用が必要ない「ゼロスタートプラン」を用意しているのが特徴です。

ホームセキュリティの初期費用は機器をレンタルしても数万円規模になるため、お金をかけずに始めたい場合や、2~3年程度の短期間だけ利用したい場合には、ちょうどいいサービスです。

一般的な戸建て向け、マンション向け、大型住宅向けのほか、高齢者の見守りや健康相談に特化した「HOME ALSOKみまもりサポート」も提供しています。

ホームセキュリティ サービス比較

ここでは、各社が公開している4LDKの戸建てにおける料金サンプルを掲載します。なお、各社で設定している条件(設置する機器の数など)には違いがあり、完全に同じではありません。

名称セコム・ホームセキュリティALSOK ホームセキュリティ
拠点数約2,800カ所約2,400カ所
プラン機器お買い取り機器レンタルパックお買い上げプランレンタルプランゼロスタートプラン
初期費用427,300円
(機器・工事費)
58,000円
(工事費)
20,000円
(保証金)
194,600円
(機器費)
53,000円
(工事費)
53,000円
(工事費。保証金不要)
0円
月額料金4,500円6,800円3,500円6,870円7,760円

求める条件を家族で話し合ってみよう

主なサービスを比較して、セルフセキュリティは数万円の機器または月額500円程度から、ホームセキュリティは月額6,000~7,000円程度(機器レンタルの場合)と、料金の目安がわかりました。

戸建て住宅で、子どもや高齢者だけでいることも多いなら、ホームセキュリティのサービスはとても心強いでしょう。セキュリティがしっかりとしたマンションなら、屋内カメラを中心としたセルフセキュリティが手ごろかもしれません。

家族で話し合い、心配なことや求める条件を整理して、ぴったりくるサービスを見つけましょう。

ホームセキュリティ

家族みんなが安心できる機器・サービスを選びましょう。