できるネット編集部より:ALSOKの子どもを見守るGPS端末「まもるっく」と、ホームセキュリティの使い方や体験レポートを紹介。元小学校教員のITジャーナリスト、高橋暁子さんによる連載の第18回(最終回)です。
まもるっくのレポート&操作解説まとめ
ホームセキュリティのレポート&操作解説まとめ
こんにちは、高橋暁子です。
本連載ではALSOKのホームセキュリティや子ども向けGPS「まもるっく」といった、私たちを守るサービスを見てきました。これらのサービスを支えるのが、いざというときに駆けつけてくれるガードマンの存在です。
ALSOKのガードマンは、いったいどのような人たちなのでしょうか? 今回は、ガードマンを育成する研修施設を見学して、どのような訓練をしているのか聞いてきました。
ALSOKの研修施設は東京都稲城市、京王相模原線「若葉台」駅から徒歩10分ほどの場所にあります。
研修所の案内をしていただいた、綜合警備保障株式会社(ALSOK) 東京研修所 警備司令長 溝田拓巳さん。
ALSOKのガードマン研修は「ベッドメイク」から
ガードマンになるには、ALSOKへ入社後に研修を修了し、さまざまな技術や知識、心がまえを身に付ける必要があります。具体的には防護術や救急法、法律の知識のほか、日常生活の中で厳しく規律を守ることも重要だと、研修所で指導員を務めるALSOK教育・訓練部の溝田さんは言います。
ALSOKでは、ガードマンはもちろん、営業や管理部門のスタッフにいたるまですべての社員が、最初に「初任研修」と呼ばれる5日間の泊まり込みの研修に参加するとのこと。ここでまず身に付けるのが、研修中に使うベッドや身の回り品の徹底した整理整頓です。
研修所の部屋は2人部屋で、ベッドと机、椅子が2つずつあります。見学した部屋はまるでプロのホテル従業員がベッドメイクした、これから宿泊者を迎える部屋のようでした。しかし、実際には研修者が起床後に自分のベッドを整えたあとなのだそうです。ここまで徹底するのかと驚きました。
きれいに整頓されたベッドですが、溝田さんの目からは「まだまだです」とのこと。
お客様の大切なものを預かるには、自分の管理が基本
このような徹底した整理整頓が、ガードマンとしての心構えの基本につながるのだと溝田さん。「我々の仕事は、お客様の大切な物を預かる仕事です。自分のものの管理もできずに務まる仕事ではありません。だから規律の徹底が大切なのです」とのこと。深く感心してしまいました。
研修中は朝6時に起床してベッドを整え、朝食などを済ませて、8時から研修がスタート。昼休みと夕食をはさんで夜の19時~20時ごろまで続きます。研修所の浴室も見学しましたが、桶がそろって並んでいるのはもちろん、シャワーヘッドの向きもすべてぴったりとそろっていました。
脱衣所のドライヤーも、すべてコードをきれいに巻き取って同じ向きに置かれています。洗面所には布巾が用意されていて、自分が濡らしたところは使ったあとで拭くルールだそうで、まるで新装開店直前のスーパー銭湯のようです。このように徹底して規律を守る中で、研修後に「人生観が変わった」という感想を持つ人もいるそうです。
洗面所の様子。ドライヤーの置き方や蛇口の取っ手の角度がすべてそろえられていて、ひとつの水滴も見当たりません。
真剣な救命実習。防護術は競技として取り組む
防護術などの実習を行う講堂を見学すると、中途採用で入社した社員が研修を受けている真っ最中でした。人工呼吸やAEDを利用して、心肺停止した方への対応と、救急隊へ引き継ぐまでの動きを学ぶ応急救護の訓練だそうです。
若い男性が多いですが、中には女性や年配の人の姿もありました。訓練中の参加者の「もしもーし! もしもーし! (中略)呼吸なし。人工呼吸に入ります!」という声が響き渡ります。すべての人が大きな声を出し、表情からも真剣に取り組んでいることがよくわかります。
今回、直接は見学できませんでしたが、防護術も重要な技術です。溝田さんいわく「警報を受けて駆けつけるということは、危険がある可能性が高いわけですから、お客様を守る技術は必要です」ということで、素手のほか警戒棒を使った防護術があり、競技として大会も定期的に行われているそうです。
救急法の訓練の様子。私たちが見学していても誰も気にも止めず、皆さん訓練に集中しています。
座学も重要。法律から一般的なビジネスマナーまで学ぶ
座学のための教室もありました。座学の研修では、警備業法(警備事業者または警備業従事者のための法律)、刑法、道路交通法などの法律の知識やセンサーの動作のほか、電話の応対や挨拶など、一般的なビジネスマナーについても学ぶそうです。
社員間で挨拶するときの、敬礼の角度も決まっているそうです。15度の敬礼を身に付けられるよう、目印の付いた鏡が教室の後ろに置かれていました。警備の現場などでALSOKの社員同士が会話するときも、規律正しく敬礼を交わすことで、しっかりとした頼れる組織だなという印象を周囲に与えます。
「ガードマンは人々の生命、財産を守る仕事です。そのために必要な精神と、我々がお守りする皆さまに信頼していただける態度を身に付けさせたいのです」と溝田さん。顧客である私たちや周囲の人たちの信頼を得るため、徹底して規律を守ることが必要だというわけです。
大教室では一度に100人以上が受講可能です。
強く優しい「ガードマン」という仕事
ガードマンになる社員は、初任研修のあとでさらに役割に応じた専門的な研修を受け、現場での仕事に就きます。
ALSOKのガードマンには、大きく分けて3つの役割があります。大きなビルやイベント会場などを警備するのは「常駐警備」。現金などの貴重品を安全・確実に目的地まで届けるのは「輸送警備」です。そして、ホームセキュリティに対応して出動するガードマンは、センサーなどの機械を利用して警備するという意味で「機械警備」と呼ばれます。
ALSOKの機械警備のガードマンは、全国に約2,400カ所ある待機所で、常に出動の機会に備えています。侵入者や火災のほか急病やケガ、機器のトラブルなど、さまざまな用件で出動する合間を縫って、機械のメンテナンスなどの作業も行います。
子どもからの通報を受けて駆けつける場合も、しゃがんで同じ目の高さで話すなどの応対を、自然に行うとのこと。守るべき人たちの気持ちを常に考え、適切な行動を取れる教育が徹底されていると感じました。
「一般的な企業でいえば『顧客視点』ということになりますが...」と、自分たちが守る人たちの視点や心理を意識した行動が重要、という溝田さんの話が印象的でした。
親として感じた大きな安心感
ガードマンは人を守る仕事です。研修所では、誰もが徹底して真剣に向き合っていました。「お客様を守る」ために全力を尽くそうとする強い使命感が伝わってきます。
あとでALSOKの社員の方に聞いたのですが、すごく穏やかで優しそうな溝田さんも、いざ指導するときには「鬼教官」になるのだとか。それだけガードマンという仕事を大切に思い、育成にも真剣に取り組まれているのだと感じました。
ホームセキュリティや「まもるっく」の先にこのような人たちがいるのは、とても心強いですね。親として、もしも子どもに何かがあったときでも、安心して頼ることができると思いました。
研修所の入り口には、防護術で使用する防具や競技の様子が展示されていました。
まもるっく&ホームセキュリティ
提供:ALSOK