イギリスの馬具メーカーと取引
娘が、わりと本気で競技としての馬術をやっていた関係で、キュロット(乗馬用ズボン)だの、ブーツだの、ここ数年、いろいろなグッズを買わされてきたのだが、これが国内で買うとやたらと高い。
なので、イギリスやドイツなどの馬具ショップの通販をよく利用していたのだが、ある日、突然、「これ自分で輸入して日本で売ったら儲かるんじゃね?」と思い、思い切って、イギリスのとあるメーカーにメールで打診してみた。
もちろん、英語はGoogle翻訳。しかも、内容は「日本で売りたいから買いたい」と、かなり稚拙。こちらとしては、ダメもとなので、断られる覚悟で連絡してみたのだが、結果はあっさりとOK。「おい、マジか」と、こっちがビックリしてしまった。
ただ、まあ、ここからが苦労の連続だった。
小売り店用のサイトにアクセスできるようにしてくれたのはいいものの、オーダーはExcelのシートでやるみたいだし、細かな契約内容もいろいろと送られてきたが、内容も半分くらいしか理解できない。
どこで売るんだ? どんな会社なんだ? と、先方もそりゃあ気になるので、メールで何度も、何度も、やりとりする始末。しかしながら、あきらめなければ何とかなるもので、結果、話がまとまり、とりあえず最低オーダーの2,000ポンド以上の商品を仕入れられることになった。
しかし、今度は、代金をどうやって支払えばいいのかがわからない。「カードで払いたいんだけど、え、ダメ?」なんて、トンチンカンなやりとりをしながらも、先方も仕事なので、粘り強く対応してくれた。
結果、取引している銀行に相談して海外仕向け送金の契約をして、何とか代金は支払うことはできたのだが、そもそも仕入れた商品をどこで売るのかも、あまり考えてなかったので、急きょAmazon.co.jpや楽天に連絡してと、てんやわんやの騒ぎだった。
ほどなくイギリスから段ボールが数箱届いたので、Amazon.co.jpに商品登録して、タグを貼り付けて、倉庫に送った。
後は売れるのを待つだけと、楽しみにしていたのだが、もともと馬術なんてマイナーなスポーツなので、これがまったく売れない。
そろそろ1年が経過するが、売り上げは5万円くらいだろうか。
その数倍の在庫がAmazon.co.jpの倉庫に眠っているし、その保管料に毎月費用がかかっているので、実は大赤字。どうしようか困っている。
競技自体にも費用がかかったが、欲で手を出した通販でも痛い目にあった
というわけで、何が言いたいのかというと、思いつきでも何でも、やれば「できる」ということ。
何か思いついても、大抵はリスクや手間を考えてなかなか実行に移せないが、やってしまった方が、面白いし、意外に何とかなる。
ボクの場合は、負債もたっぷり抱えることになったが、良い勉強になったので、それほど後悔はしていない。
清水理史(しみずまさし)
1971年東京都出身のフリーライター。書籍やWeb媒体、雑誌を中心にOSやネットワーク、ブロードバンド関連の記事を数多く執筆。「INTERNET Watch」にて「イニシャルB」を連載中。
主な「できるシリーズ」の著書