本コンテンツでは、無料で使えるBIツール「Googleデータポータル」(旧:Googleデータスタジオ)の使い方を連載形式で解説していきます。隔週ペースで更新予定。
連載の記事一覧
今回の連載第19回では、昨今のコロナ禍を踏まえたデータポータル活用の一例を紹介します。
普段から売り上げやGoogleアナリティクスのデータを参照していると、評価単位が「月」や「日」であることが多いと思います。本連載で紹介してきたサンプルも「月次」や「日次」の例が中心でしたが、Googleデータポータルでは「時分」単位の情報も表示できます。
この機能を活用すれば、リアルタイムのオフィス内人数を把握するダッシュボードを作成することも可能です。
「分刻みのデータ」をデータポータルで表現
データポータルには、さまざまな日付関連のデータ型が存在します。
データのタイプから[日付と時刻]を選択すると、上記のデータ型が確認できます。
この中にある「年月日時分(YYYYMMDDhhmm)」(以下、「タイムスタンプ」と記載)と呼ばれるデータ型を利用することで、データポータルにおいて「分刻みのデータ」を表現することが可能です。
この「分刻みのデータ」のサンプルとして、筆者が勤務する株式会社クレストのサービス「RETAILSCOPE」から取得したデータを提供します。RETAILSCOPEは、本来は店舗計測のためのサービスなのですが、ここでは「オフィス内にいる従業員の人数」を計測しました。
コロナ禍により、オフィス内が「密」にならないよう出社の制限、テレワークの推奨をしている企業は多いと思います。つまり、データポータルを使ってリアルタイムに「今オフィスに何人いるのか?」を計測しようというわけです。
RETAILSCOPEではタイムスタンプ型のデータを保管しており、スプレッドシート(CSV)に出力してみると、以下のようになります。このサンプルはGoogleスプレッドシートで公開しています。
- タイムスタンプ......1分単位のタイムスタンプ(日時時刻表記)
- カウント...1分単位でシステムがカウントする人数
- 検知エリア......検知エリア(オフィスを2方向から2エリア計測)
なお、Googleスプレッドシートにも、ちゃんと同様のデータ型があります。
Googleスプレッドシートにおける数値の表示形式。タイムスタンプは自動設定の場合、「YYYY/MM/DD hh:mm:ss」の形式になります。
オフィス内の過密度をグラフにする
先ほどのサンプルデータを「時系列グラフ」で表現すると、下図のようになります。データポータルへのリンクも参照してみてください。
19.【Googleデータポータル】タイムスタンプ型を使って「分刻みのデータ」を表現する
グラフには「執務スペースA」「執務スペースB」のデータを同時に計測・出力しています。また、マスターデータとして「密ライン」というしきい値を設定し、「執務室内のソーシャルディスタンス評価」を定量的に判断できるようにしています。
「検知エリア」列をデータポータルの「内訳ディメンション」に設定することで、3種のデータとしてに塗り分けされるようにしました。こうすることで、ほぼリアルタイムのデータを更新・表示することが可能になります。
実務上、リアルタイムで表示することに必然性があるデータは多くありませんが、オフィスの過密度は1つのテーマになるかと思います。リアルタイムデータは、上手に使えばとても利用価値の高いデータ表現になることがわかるはずです。
データの更新頻度を設定する
せっかくデータを分刻みにしたのであれば、データもできるだけ「今」の状態を反映し続けたいものです。データポータルでは、データソースの「更新頻度」を15分に設定しておくことで、最新のデータを取得できます。
データソースの設定画面を開き、[データの更新頻度]をクリックします。
[15分ごと]を選択し、[データの更新頻度を設定]をクリックします。
ただし、データソースの更新頻度を細かくすると、データベース側への負荷が上がります。API接続などをしてデータを取得している場合、APIの接続制限に引っかかる場合もあるので、接続条件を確認のうえ設定してください。
今後はソーシャルディスタンスを維持したオフィス管理だけでなく、オンラインセミナーやライブ配信といったコミュニケーションの選択肢が増えることで、オフラインではできなかったデータの取得が容易にできるようになってきます。「リアルタイムの閲覧者数」などを求めたい場面も、より増えてくるのではないでしょうか。
データポータルを活用したリアルタイムデータのダッシュボード化も、ぜひ視野に入れてみてください。