【Excel講師の仕事術】自己流のエクセル、卒業しませんか? この連載では、エクセルを操作するときの「ルール」を決めることで、ミスを減らして業務を効率化していく仕事術を解説します。

ルール 19
上書き保存のミスにはクラウドで備える
「しまった!」というときも以前のバージョンに戻せる

OneDriveやGoogleドライブの履歴を活用

入力や操作をミスしたことに気付かずにファイルを上書き保存してしまい、ワークシートを元の状態に戻せなくなった経験は、誰しもあるのではないでしょうか。自分だけが使うファイルであればまだしも、職場のサーバーにある共有ファイルを誤って上書きしてしまったらと思うと、背筋が凍ります。

こうしたミスに備える基本はバックアップで、例えば「サーバー上のファイルは直接編集せず、いったん自分のパソコンに保存してから作業する」といったルールにも、一定の効果はあると思います。しかし、手動での操作となると、忘れた、面倒くさいといった理由で守られないことも多いでしょう。

そこで提案したいのが、「OneDrive」や「Googleドライブ」などのクラウドストレージサービスの導入です。これらにExcelファイルを保存しておけば、上書き保存をするたびに、履歴として以前のバージョンを自動的に残してくれます。誤って更新してしまったときでも、ファイルの復旧が可能です。

例えば、OneDriveでは下図のように、ファイルごとに選択できる[バージョン履歴]から、上書き保存前の状態に戻せます。Microsoft Officeのサブスクリプション版である「Microsoft 365」(旧称:Office 365)が導入済みなら、Excelと一緒に大容量のOneDriveが使えるので、システム担当者などに確認してみてください。

OneDriveのバージョン履歴①

エクセルファイルの保存はクラウドに! いざというときの「転ばぬ先の杖」【Excel講師の仕事術】

OneDriveのバージョン履歴②

エクセルファイルの保存はクラウドに! いざというときの「転ばぬ先の杖」【Excel講師の仕事術】

一方、筆者はGoogleのオフィススイートである「G Suite」を導入しているため、Googleドライブを愛用しています。Googleドライブも同様に、ファイルごとに選択できる[版の管理]から以前のバージョンに戻せるようになっています。どちらも便利なサービスなので、職場の環境や好みで使ってください。

Googleドライブのバージョン履歴②

エクセルファイルの保存はクラウドに! いざというときの「転ばぬ先の杖」【Excel講師の仕事術】

ミスそのものは防げないので過信は禁物

こうしたクラウドサービスは専門知識をあまり必要とせず、中小企業や個人事業主でも簡単に導入できます。世の中の動きとしては確実に、これらを積極活用する方向に進んでいます。

また、OneDriveはWindowsなら標準で、Googleドライブは「ドライブファイルストリーム」、または個人アカウント向けの「バックアップと同期」というアプリをインストールすることで、パソコン内の通常のフォルダーと同じように扱えます。複数人でのファイル共有も簡単で、最終更新者の名前も表示されるため、誰がいつ更新したのかを追跡することも可能になっています。

とはいえ、クラウドサービスはあくまで「転ばぬ先の杖」。ミスをする前に戻すことはできても、ミスそのものを防ぐ効果はありません。その他のルールの整備や、職場にルールを周知するコミュニケーションが大切であることも忘れないでください。

まとめ
  • 手動でのバックアップはアテにならない
  • クラウドサービスならいつでもファイルを復旧できる