ルール 21
普段から決まったフォントだけを使う
統一された書体と書式設定で1秒でも早い理解を促す

よく使うフォントに見慣れることがミス防止

Excelのワークシートを新しく作成するにあたっては、最初に決めておきたいルールがあります。それは、使用するフォント（書体）を統一することです。

数値を見て、すぐに状況を把握できるようにするには、普段から統一されたフォントを使い、それに見慣れておく必要があります。見慣れたフォントにはミスを見つけやすくする作用もあるので、非常に効果の高いルールといえます。

Excelの最新バージョンにおける既定のフォントは「游ゴシック」で、旧バージョンでは「MS Pゴシック」が使われていました。しかし、Excelでよく見かけるフォントはほかにもあります。主なものを桁区切り付きの数字で示したのが、以下の例です。

よく使われるフォントの一覧

筆者の経験では、建設や医療、行政機関では「游明朝」「MS P明朝」といった堅い印象のフォントが使われることが多いようです。一方、IT関連やベンチャーでは、WindowsとMacで互換性がある「メイリオ」をよく見かけます。外資系では英語版のExcelを使うため、「Arial」（アリアル）に統一されている印象があります。

また、業界によっては暗黙の了解が存在します。例えば、不動産や保険の契約書類にメイリオが使われていたら、多少なりとも違和感を覚えることでしょう。フォントは見た目を大きく左右するため、業界や書類の用途にあわせて適切に選ぶべきです。

既定のフォントを変更するには

新規に作成するワークシートで使うフォントを統一するには、自分が使っているExcelでの既定のフォントを、普段使うフォントにあらかじめ変更しておくといいでしょう。

Windowsの場合は、［ファイル］タブの［オプション］から表示できる［Excelのオプション］画面で、以下のように設定します。Macの場合は、［ファイル］メニューから［環境設定］を開き、［全般］タブで設定します。

［Excelのオプション］ダイアログボックスの［全般］

フォントだけではなく数字の見栄えにもこだわりたい

フォントを統一したら、次は数字の見栄えにもこだわりましょう。金額を入力したセルでは［通貨］の書式設定を使うのが一般的ですが、以下のように1の位と右側の罫線が近く、数字が見づらい印象があります。

書式設定に［通貨］を使用

そこで使いたいのが［会計］です。これは会計事務所や税理事務所など、お金をメインに取り扱う職種でよく使われる書式設定で、以下のように数字が見やすくなります。

書式設定に［会計］を使用

なお、［会計］の通常の設定では「\」マークがセルの左端に表示されます。一列に並んで見やすいのですが、これが不要な場合、次ページのように［セルの書式設定］ダイアログボックスで設定することで、さらにスッキリとした見栄えにできます。

［セルの書式設定］ダイアログボックスの設定

設定後の［会計］の表示

数字の見栄えを変えるために、わざわざセルの書式設定までするのは面倒に思えます。しかし、この少しの手間で見やすいワークシートになり、見た人はスッと頭に数字が入るでしょう。数字が腹落ちすれば、異常な数値が出たときでも、すぐに原因究明ができるようになります。

こうした設定は、集計段階のワークシートにまで反映する必要はありません。しかし、顧客への提出書類や会議での報告資料を作成するときには、見る人に1秒でも早くデータを読み取ってもらえるよう、小さな配慮を心がけてください。