長く続けていることというと、昨年INTERNET Watchに連載している「イニシャルB」というコラムが1,000回を迎えた。ただ、これは仕事なので、そんなに長く続けてきたという実感が自分にない。おそらく、みなさんが会社で日々仕事をしているのと同じような「日常」という感覚だ。

むしろ、自分でも、長く続けていることに感心しているのはミュージカル、というか劇団四季の作品の観劇だ。と言っても、妻のお供として、ついて行ってるだけなのだが、気が付けば年に4~5回のペースで25~26年ほど続いている。

家には会員向け情報誌やパンフレットがたくさん。おそらく観てない演目を数えた方が少ないくらい。

同じ演目を何度も観たおかげで、それなりに知識も蓄えられ、今では「The Point of No Return」とか「Defying Gravity」とか英語版でも曲名が言えるようになったり、アンドリュー・ロイド=ウェバーとか作曲家の名前も言えたり、子供ミュージカルはあなどれないよねとか、華奢なファントムも悲哀があっていいよねとか、マニアの方々の会話に巻き込まれても、それなりに雑談に参加できるくらいになっている。

役に立つかわからないが、何を観るべきかと聞かれたら、おそらく初めてならディズニーミュージカル、たとえばアラジンあたりがシンプルに面白いと思うが、個人的には「オペラ座の怪人」か「ウィキッド」をおすすめしたい。

そんな中、最近、感慨深かったのが、今年の春に、劇団四季が講演する「ゴースト&レディ」という演目を知ったときだ。

ゴースト&レディのチラシ。

この演目の原作は、2007年に講談社のモーニングで連載が開始された「黒博物館」というシリーズで掲載されていた藤田和日郎氏の漫画だ。

中学生になってお小遣いをもらうようになってから、月曜はスピリッツとヤンマガ、火曜は休み、水曜はサンデーとマガジン、木曜はモーニング、金曜はヤンサン(初期は隔週)をなるべく買い続けてきたのだが、ちょうど2006~2007年頃、子供が小学生になったあたりで、思い切って、全部、スッパリやめてしまった。

漫画を買い続けていれば、漫画とミュージカルという違いだけでなく、漫画を読んでいた当時の自分と、年を経た今の自分の感覚の違いを楽しめたはずなので、少々、惜しいことをしたと後悔している。

そういう意味では、同じく劇団四季が2025年に公演予定の「バック・トゥ・ザ・フュチャー」は、世代的にドンピシャで、まさにそうした当時の自分の感覚との違いを楽しめるのではないかと期待している。

漫画をやめてしまったことは後悔した一方で、なんとなくでも続けることで、思わぬ楽しみが見つかるものだと感心した。


清水理史(しみずまさし)
1971年東京都出身のフリーライター。書籍やWeb媒体、雑誌を中心にOSやネットワーク、ブロードバンド関連の記事を数多く執筆。「INTERNET Watch」にて「イニシャルB」を連載中。

主な「できる」シリーズの著書

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